記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/20 記事改定日: 2018/12/11
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
低血圧のために眠気やあくびが止まらないとき、どうすればおさまるのでしょうか?低血圧が眠気を引き起こすメカニズムと併せて、対策をご紹介していきます。また、注意すべきあくびのサインや食後の眠気や頭痛についても解説します。
低血圧の人が眠気を感じる理由は主に2つあります。
1つは身体の血液循環が悪いため、脳への血流が悪くなることが原因です。血流が悪くなると脳へ酸素が届かなくなってしまうため、その結果として眠気が症状として見られます。また、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかずに眠気が出現することがあります。
特に、食事後に強烈に眠気を感じるという場合には、食事をすることによって血液が胃に集中してしまっており、脳に血流がいかなくなるため、眠気が出現します。これはもともと血の巡りが悪い低血圧の人に顕著にみられる症状です。
低血圧の症状には、眠気以外にも以下のようなものがあります。気になる症状が多く当てはまる人は、血圧をチェックしてみましょう。
「食後低血圧」とは、食後に急に血圧が下がることを言います。食物を消化するには大量の血液が必要になります。そのため食後に血液が腸に集まると、全身の血圧を維持しようとして心拍数が上昇し、腸以外の部分の血管が収縮します。この時に血圧を維持できるほど十分に心拍数が上昇せず、血管も収縮しなかった場合に結果として血圧の低下が起こるのです。
食後低血圧は、主に自律神経機能が低下しやすい高齢者や高血圧の人、自律神経系を制御している脳の中枢に異常の見られる病気、糖尿病の人に見られます。特に食後30分~1時間に見られますが、徐々に血圧は戻ってくることが特徴です。
日常生活で食後低血圧を予防する方法はいろいろあります。
まず、食べ過ぎないことが大切です。特に炭水化物は一度に食べすぎると、食後に血圧が下がってしまいます。食べ過ぎだけでなく早食いも食後低血圧を招く原因となるとされています。
なお、低炭水化物食を少しずつ頻回に食べると食後低血圧を予防できる可能性があるといわれています。食事はゆっくりと少しずつ食べるように意識していきましょう。
また、食後低血圧の疑いがある方は食後は横になって1時間ほどゆっくりと休むようにしましょう。
さらに、カフェインには血管を収縮させて食後低血圧を防ぐ効果があるといわれています。そのため、食後に緑茶やコーヒー、紅茶などを飲むようにするとよいでしょう。
中には、食後すぐに歩くことで全身の血流が巡るため、低血圧を予防できるという方もいますが、この場合歩くのをやめるとすぐに腸へ血液が集中し、血圧が下がる可能性があるといわれています。また、低血圧によりめまいが生じてしまう可能性もあるため、あまりお勧めはできません。
低血圧の人が昼間の眠気を解消する対策は他にもいろいろあります。
まずは朝起きたら太陽の光を浴びたり熱めのシャワーを浴びて交感神経の働きを高めましょう。交感神経を活性化させることで、血圧が上昇し、眠気を防ぐ働きがあるとされています。
また、ストレスによる自律神経の乱れは血圧のコントロールに影響を及ぼします。自律神経が乱れることで血圧が低下し、昼間の眠気につながる可能性もあるため、ストレスをためないように適宜ストレスを解消するように心がけましょう。
さらに、ウォーキングなどをすることでふくらはぎの筋肉がポンプとして働き、下肢の血液を心臓へ戻してくれるため、眠気解消に効果があるとされています。身体を動かすことが苦手という場合にはゆっくり散歩をするだけでも効果的です。
眠気がないのにあくびが出るという場合、ほかに大きな病気が隠れている可能性が考えられます。具体的には、脳が血流不足に陥っており、脳が貧血の状態となっているサインです。そのため、脳が酸素を取り込もうと眠くないのにあくびをするのです。
眠くないのにあくびがでる病気は、動脈硬化や不整脈、低血圧、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、脳炎などの脳の病気や、心筋梗塞などの心臓の病気、胃潰瘍などからの大出血などがあります。特に、意識が低下しており、あくびを頻回にしているという場合には注意が必要です。
他にも、低血糖に陥っている場合には眠気がないのにあくびをする傾向にあります。脳はブドウ糖からしかエネルギーを供給することができません。そのためブドウ糖が不足して低血糖の状態となると意識が低下しないように、覚醒度を上げるために眠気がないのにあくびをすることがあります。
低血圧による眠気対策としては、朝シャワーを浴びたり、定期的にウォーキングをしたりといった身近な方法がたくさんあるので、ぜひ実践してみてください。なお、眠気がないのにあくびが出る場合は、脳梗塞などの重篤な病気のサインの恐れがあるので、すぐ専門の医療機関を受診しましょう。