高血圧の治療は薬を飲むの?血圧を下げる方法はほかにもある?

2017/12/20 記事改定日: 2018/4/9
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

高血圧を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気に発展する可能性があるので危険です。治療のためには食事療法や運動療法が有効とされていますが、これはなぜでしょうか。この記事では、高血圧症の治療としての食事療法と運動療法について解説しています。

高血圧の治療は薬でするの?

高血圧を治療するために、最初は薬ではなく、生活習慣の見直しから行います。「高血圧ガイドライン2014」によると、生活習慣の見直しは、以下の6つの観点から行います。

1.減塩(1日6グラム未満)
2.野菜・果物(野菜・果物の積極的摂取[※])
3.脂質(コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚、魚油の積極的摂取)
4.運動(心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)行う)
5.摂取(エタノールで男性は1日20-30ml以下、女性は1日10-20ml以下)
6.禁煙(受動喫煙の防止も含む)

[※]
重篤な腎障害を伴う患者の場合、高カリウム血症を発症するリスクがあるため、野菜・果物の積極的摂取は勧められない。また、糖分の多い果物の過剰な摂取は、肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者には勧められない。

【公益財団法人 日本心臓財団の記事を元に作成】
http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/post_3.html

高血圧の治療で服用する薬について

生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合、生活習慣の改善とともに、薬物治療も行うことになります。高血圧の治療では、以下のような薬を服用します。

<カルシウム拮抗薬>
血管へのカルシウムイオンを減らし、血管を広げることで血圧を下げる働きがあります。ただし、グレープフルーツを食べると薬が効きすぎることがあります。

<ACE阻害薬>
血管上昇作用を持つアンジオテンシンを減らして血圧を下げます。副作用として、咳が出ることが挙げられます。

<利尿薬>
腎臓から塩分と水を排出することで血圧を下げる効果があるだけでなく、ほかの降圧薬の効果を強める作用があります。利尿薬は、サイアザイド系利尿薬と、ループ利尿薬、およびカリウム保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)があり、それぞれ効能や副作用が異なります。

<β遮断薬>
主に交感神経の心臓への作用を抑えて血圧を下げる働きがあります。虚血性心臓病への効果が大きく、頻脈性不整脈や心不全にも有効です。副作用として、徐脈(不整脈のひとつ)やぜんそくの悪化などがあります。

高血圧の治療に有効な運動療法とは?

高血圧症の改善には運動療法が有効とされています。運動することで、体内のホルモンや血液量、交感神経系の働きなどが血圧を下げる働きがあるためです。また、汗をかくことで塩分を排出することも、高血圧を改善する要素と言えます。

とくにおすすめしたい運動は、有酸素運動です。ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、テニス、ラジオ体操など、気軽に始められるものから取り組んでみましょう。1日30分の早歩きを継続するだけでも、血圧を下げる効果が期待できるといわれています。

一方、ウエイトリフティングのような筋力トレーニングは無酸素運動と呼ばれ、血圧を下げる目的にはあまり適していないので注意が必要です。ただし、肥満解消のための代謝アップのためにウエイトリフティングを取り入れることもあります。運動療法は医師や専門家に相談しながらトレーニングメニューを作ることをおすすめします。

高血圧の治療に有効な食事療法とは?

高血圧を引き起こす原因のひとつに、塩分の過剰摂取があります。そのため、高血圧症改善には、塩分量のコントロールが重要です。

1日の塩分摂取量の目安は6gとされています。日本人の平均塩分摂取量は11.2gと言われているので、かなり厳しい制限が必要となります。漬け物や佃煮などの塩辛いものを控えるのはもちろん、ラーメンやうどんのスープは飲まないようにしたり、寿司や刺身に醤油をあまりつけないようにするなど、少しずつ塩分を減らしていく工夫をしましょう。

また、カリウムには、ナトリウム(塩分)を排出することで血圧を下げる働きがあると言われています。納豆やバナナ、ひじき、ほうれん草などカリウムを豊富に含む食品を積極的に食べるのもおすすめです。ただし、腎臓の病気などの持病があり、医師から食事制限の指示をされている場合は、必ず医師から許可をもらった上で食事療法を行うようにしてください。

高血圧の治療には睡眠不足・ストレス解消も大切

睡眠とストレスは、どちらも血圧を調整する役割を持つ自律神経に大きく関わっています。
睡眠不足や強いストレスなどが続くと、自律神経の中のひとつである「交感神経」が優位になります。交感神経が優位になると血圧は上昇してしまうため、高血圧症が悪化しやすくなってしまいます。

また、睡眠不足やストレスは、脂質異常症や糖尿病のような「高血圧症を引き起こす可能性がある病気」の発症リスクを高めるといわれています。

睡眠を改善するうえで重要なことは、生活リズムを整えることです。睡眠時間の長さにこだわりすぎると心が落ち着かなくなってしまい、睡眠の質が下がってしまうおそれがあります。時間は多少短くてもかまわないので、質が高い睡眠をとれるように工夫しましょう。
そのためには、下記のことを心がけてください。

・最適な入眠時間を見つける
・寝るときには、明るい光(PCやテレビ、スマートフォンの光も含む)を見るのを避ける
・リラックスできる方法をみつけて、寝る前に実行する

また、社会生活を送るうえで、ストレスを完全に避けることは不可能です。そのため、ストレスが溜まってしまう前に、こまめに解消することが重要です。血圧上昇を抑えるためにも、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

高血圧の治療のために、お酒やタバコも控えよう

高血圧の人が飲酒、喫煙を制限すべきなのは、どちらも血管など体に対してのダメージが大きく、その影響を受けて高血圧症が悪化しやすくなる可能性があるためです。また、高血圧症と関係が深い糖尿病や動脈硬化の発症リスクも高めるといわれています。

飲酒量の制限や禁煙を成功させるコツを、下記で簡単に紹介します。

飲酒量を制限するコツ

純アルコールで換算すると、1日平均で20g程度の摂取に留めるのが最適とされています。これはビール瓶であれば中1本、日本酒だと1合程度です。一気のみや長時間だらだらと飲むようなことは避け、週に2日はアルコール摂取しない日を設けるようにしましょう。

また、イライラしているときにお酒を飲むと飲酒量が増えやすいので、いらだっているときはアルコールを目にしないような環境に身をおくようにしてください。

禁煙のコツ

高血圧の人は、基本的には禁煙が必要です。どうしてもタバコがやめられない場合は、ニコチンパッチやニコチンガムなどを利用することをおすすめします。また、近年では禁煙外来を設けている病院もあるので、不安な人は相談してみましょう。

おわりに:高血圧症を改善するには、飲酒制限・禁煙・睡眠改善・ストレス解消を心がけよう

高血圧の状態が長期間続き、生活習慣の改善だけでは血圧を下げられないと判断された場合は、降圧剤などを使った薬物治療が必要になります。ただし、薬での治療と並行しながら生活習慣も改善していくことが重要です。食事療法と運動療法を取り入れることが一般的ですが、それらにあわせて飲酒制限や禁煙、睡眠改善やストレス解消にも心がけるようにしてください。

この記事に含まれるキーワード

有酸素運動 食事療法 動脈硬化 運動療法 カリウム 塩分制限 高血圧症