肝臓がん(肝細胞がん)の症状と、末期治療の緩和ケアの進め方

2017/12/21 記事改定日: 2018/9/21
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山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

肝がん(肝臓がん:肝細胞がん)はある程度進行しないと自覚症状が現れないことも多く、発見したときには既に末期になっていたいうケースも少なくありません。この記事では、肝臓がんの症状の進み方と治療の進め方、肝がん(肝細胞がん)の症状や治療、末期の緩和ケアについて解説しています。

肝がんの症状の経過

肝がんは進行するまで自覚症状が現れにくいのが特徴です。

肝がんを発症すると、徐々に肝臓の細胞を破壊することで肝機能が低下していきます。しかし、肝機能は低下しても、ある程度進行するまで症状が現れないことが多いのです。
血液検査では、ALTやASTなどの肝臓機能を反映する数値が徐々に上昇し、AFPなどの肝がんの腫瘍マーカーの上昇が認められるようになります。

しかし、ある程度肝機能の低下が生じると、肝臓での有害物質の解毒が行われなくなるため、倦怠感や疲労感などが現れ、胆管などが詰まると黄疸とそれに伴う皮膚のかゆみなどが現れます。

末期の状態になると、腹部にしこりや痛み、圧迫感などを生じることもあります。また、肝機能が非常に低下した状態となるため、体内にアンモニアが過剰に蓄積して意識障害を引き起こす「肝性脳症」を発症したり、体内に水分が蓄積して腹水や浮腫などが見られるようになります。

また、肝臓の重要な機能の一つである血小板の産生を促すトロンボポエチンの産生が低下して、血小板数が減少することで出血しやすいなどの症状が現れます。

肝がんの治療の進め方

肝がんの治療は、肝機能の状態やがんの大きさ、数、転移の有無によって異なります。
肝機能がある程度保たれており、がんの数が3個以内で他臓器への転移がない場合はがんを取り除くための手術が第一に行われます。がんが大きい場合は、術前に動脈塞栓術を行って腫瘍を縮小させてから手術を行うことも少なくありません。

その他にも、体への負担が少ない治療法として、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、エタノール注入療法などの局所療法も選択することが可能です。

肝がん(肝細胞がん)末期とは、どんな状態?

多くのがんでは、遠隔転移をしている段階で末期とされますが、肝がんでは遠隔転移がなくても、リンパ節転移のある場合や、腫瘍の数が2個以上の場合に末期とされることがあります。
また、肝臓がどの程度ダメージを受けているかによってA・B・Cの3段階に分類する肝障害度分類も重視されることもあり、この分類によって治療法も変わってくることになります。

肝がん(肝細胞がん)末期の症状

肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくい臓器です。それでも末期になると肝機能は著しく低下し、さまざまな症状が現れます。
肝がん末期の症状としては、体重減少や黄疸、腹水、全身のかゆみ、むくみ、疲労感のほか、腹痛や下痢などが挙げられます。

さらに、有害物質を解毒するという肝臓特有の作用が低下することによって、脳の神経が有害物質に障害され、肝性脳症と呼ばれる症状が現れることもあります。肝性脳症を起こすと認知症のような状態になったり、昏睡状態に陥りそのまま命を落としたりすることもあります。
また、リンパ節や骨など、他の臓器への転移も起こります。骨転移した場合は骨の激しい痛みを起こすなど、転移したがんは、それぞれの臓器に応じた症状をもたらします。

肝がん末期にはどんな治療が行われるの?

肝がんの代表的な治療方法には、がんの切除や肝臓移植のほか、皮膚の上から針を刺して肝臓のがん組織を直接治療する局所療法、肝臓へ流れ込む血流を遮断することでがんを壊死させる肝動脈塞栓術などがあります。

しかし、肝がん末期の状態で全身に転移が見られる場合には、がんの切除は行わないことがほとんどです。この場合には、抗がん剤を用いた化学療法や放射線療法によって、転移したがんの進行や、がんによる症状を抑える緩和的な治療が行われます。
ただ、肝臓は放射線に弱い臓器であり、化学療法も効果が出にくいとされているため、抗がん治療そのものを行わないケースもあります。

「緩和ケア」の大切さについて

肝がんは他のがんに比べて、治療が難しいがんといわれています。また、肝がん末期の場合にはすでに行える治療がないケースもあり、予後に関しては非常に厳しいことも多いようです。患者とその家族は、身体に現れるさまざまな症状や痛みだけではなく、こうした厳しい現実にも向き合う必要が出てくるため、緩和ケアがとても大切になってきます。

緩和ケアには、つらい痛みや症状に対する医療的ケアに加え、死への恐怖や社会的な不安などの精神的な苦痛に対するケアも含まれます。たとえ完治ができなくても、最期までその人らしく生きられるようサポートすることが、大切な治療の一環となるといえるでしょう。

おわりに:治療が難しい肝がん末期には、緩和ケアを

自覚症状を感じたときにはすでに行える治療がないケースもあるほど、肝がんは治療が難しいとされています。末期の場合には、緩和ケアによって身体的・精神的な苦痛を取り除くことが、残された時間をその人らしく過ごせることにつながることもありますので、慎重に検討するようにしましょう。

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