記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/26 記事改定日: 2018/12/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
漠然とした不安がずっと続いてしまう「不安神経症」。
今回は、不安神経症の人の家族やパートナー、職場の人に向けて、接し方のポイントや注意点をお伝えしていきます。
不安神経症の人のサポートのためだけでなく、家族やパートナー自身のためになる情報ですので、しっかり覚えておきましょう。
不安神経症とは、はっきりした理由が分からずに、いつまでも些細な事で不安な気持ちになる症状が続く病気で、自分自身で気持ちのコントロールができなくなります。
誰でも起こり得る病気ですが、性格的に内向的で神経質、不安を感じやすい人がなりやすく、男性より女性に多い病気です。
精神的には、物事に過敏になったり、落ち着きがなくなったり、イライラしたりするようになり、身体的には、筋肉の緊張による首や肩のコリ、頭痛、動悸、めまいなど多様な症状があらわれます。
しかし、このような体や心の異常を訴えて、診察や尿、血液検査、心電図など一般内科の検査を受けても、不安神経症であれば身体疾患は見つかりません。
多くの時間を一緒に過ごすご家族やパートナーは、相手が不安神経症だからと構える必要なく、今まで通り接するようにするのが「接し方の基本」です。
不安神経症の人は些細なことでも不安になりやすいですが、変に気を遣ったり、接し方を変えてしまうと「自分は周りに気を使わせてしまっているのではないか」と不安をあおってしまいます。
そのため、周りが患者さんの要求に全てに応じようとするのではなく、逆にある程度の所で切り上げたり、本人と少し距離を置くことも必要な場合があるのです。
不安神経症が原因で本人が感情的になったり、人間関係に警戒心を持つこともあり、性格にも変化があらわれる可能性もありますが、症状が落ち着いてくると本来の姿に戻ることが多いので、上手にサポートしながら、温かく見守ってあげましょう。
まず、本人の話を聞くなどして「本人にとっては非常に辛い症状である」ことを理解してあげましょう。
不安神経症は一見、変わった様子が分からないので、小さいことで悩んだり不安がっていると、家族はその態度に怒りの感情をぶつけてしまったり、批判したくなることもあるかと思います。しかし、その何気ない態度や一言で、不安症状がさらに悪化してしまうこともあります。
不安神経症の人は、自分自身の神経質な性格に悩んでいる事が多いです。
あまり聞きなれない病気ではありますが、どのような病気なのかを家族が一番理解をしてあげる必要があります。
ただし、たとえ家族でも、長い期間にわたって相手にしていると、疲れてしまうこともあるでしょう。ほかの家族とよく話し合いながら、気分転換するよう心がけてください。
不安神経症の治療では、生活リズムを整えたり、アルコールやタバコを控えたりする努力が必要になります。しかし、生活習慣を整えていくには、一緒に過ごす家族やパートナーの協力が必要不可欠です。
本人も、家族の支えがあると安心感が持てるようになります。
まず、不安神経症の人の生活リズムに合わせるのではなく、家族の生活リズムに合わせられるようにサポートして行きます。たまに薬の効果で眠気が出たり、症状が酷くあらわれることもあるかと思いますが、そういった場合は、無理をさせずに自分の意思でコントロールできる日を待つようにします。
なお、朝になったらカーテンを開ける、夜ふかしをしないよう呼びかける、といったことを家族が全て行うのではなく、あくまでもサポート側に回ることが大切です。
不安神経症に対しては、専門家による治療を続けていくこと、そして安全性の高い薬での治療を長い時間をかけて行う必要がありますので、上手にサポートしていきましょう。
職場に不安神経症の人がいる場合は病気のことを理解して、その人がうまく就労することができるように支援していくことが大切です。
不安神経症の患者は、思いもよらない場面で強い不安感や心配を覚え、パニック状態になってしまうことも少なくありません。
このため、重要な会議やプレゼンなどでは常にだれかが付き添って、不安感が強くなった場合は代役を担えるようになるとよいでしょう。
また、そのような場で毎回のように症状が現れる場合は、デスクワークなど緊張が生じにくい業務を分担するのも一つの方法です。さらに、産業医と連携を取って、症状が強い場合は配置換えや業務量・就労時間などにも配慮する必要があります。
このように、不安神経症の人が仕事を続けるには周囲からのサポートが必要になります。多忙な時には、ついつい自分の業務のことで手一杯になってしまうこともあるでしょうが、できるだけ職場全体で患者を支援できるような体制を整えるようにしましょう。
患者さんのことが心配で、いろいろと手伝いたくなってしまうご家族の方は少なくありませんが、不安神経症の改善のためには、患者さん本人が自立し、自分でコントロールする術を身につけることが重要です。ご家族のためにも本人のためにも、適度な距離を置いて、気長に見守るような心構えで接してください。
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