子供の夜尿症は早いうちに治した方が良いの?

2018/1/9

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

夜尿症とはいわゆるおねしょのことですが、一般的には幼児期の寝ているときのおもらしをおねしょ、5~6歳以降のおもらしを夜尿症と区別しています。子供が夜におもらしをするのは、ある意味普通のことですが、5~6歳以降のおねしょは放置してもいいのでしょうか。この記事では、子供の夜尿症は早く治すべきかについて詳しく解説しています。

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夜尿症について

「夜尿」は、夜寝ている間に無意識におしっこをもらしてしまうことです。これは、睡眠中につくられる尿量と、それをためる膀胱(ぼうこう)の大きさとのバランスがとれていないことから起こります。
赤ちゃんの尿は昼夜関係なくつくられ膀胱も小さいため、同じ間隔で排尿されます。しかし2~3歳になり膀胱にためられる尿量が増えると同時に夜つくられる量が減り、4~5歳では安定しはじめて7~8割の子どもは夜尿をしなくなっていきます。「おねしょ」も夜尿ですが一般的に幼児期のものをいい、5~6歳以後の夜尿を適切な対応をとった方が良いという意味で「夜尿症」といいます。

病院で診てもらう目安はどのくらい?

4歳以下であれば、夜尿の回数に関係なくまずは生活習慣の工夫から始めることをおすすめします。しかし5歳以上になっても夜尿が続く場合、特に週に数回以上の頻度でみられ生活習慣の工夫で改善されない場合には、早いうちに小児科や内科、泌尿器科を受診しましょう。

夜尿症は治療してすぐに治るというものではなく、少なくとも3~6カ月かかりますし長期の適正な治療でより確実な対応が可能になります。小学校に入る前に改善できるようにということがひとつの目安になるでしょう。
また、昼間にもおしっこやうんちを漏らしてしまう場合には泌尿器系の病気も考えられるので、年齢に関わらず医療機関を受診して下さい。

夜尿症は早いうちに治した方が良いとされる理由

夜尿症の多くは自然に治りますし、身体に何か悪影響を及ぼすというものではないので放置されがちです。しかし、夜尿が小学校に入っても続いてしまうと、子供が自信をなくし、心理面、社会面、生活面にさまざまな影響を与えることがあります。これらのストレスが治りにくい原因となってしまうこともあるので、早めに治療するのがよいとされています。

放っておいても、多くの場合第二次性徴を迎える12歳を過ぎるころには治りますが、成人まで続いてしまうことも決してまれではありません。思っている以上に時間がかかることがありますので、子供の状態に合わせた適切な治療を受けることをおすすめします。

幼児期の夜尿症対策で気をつけたいこと

幼児期については、あまり神経質にならずに前の年からの変化を観察しながら生活改善を心がけることが大切です。対策として「起こさない」「怒らない」「焦らない」の3点に注意しながら子供と接するように心がけ、夜尿のなかった朝にはたくさんほめてあげるようにしましょう。また、夜中に何度も起こすと睡眠のリズムを乱して尿量の調整や膀胱のためる力を下げ、夜尿を悪化させてしまうことがありるので注意してください。

同時に、水分は朝と昼には多めに夕食時以降は控えるようにするなど「水分の摂取時間や量に注意する」、昼間のトイレは自発的に行かせ「寝る前にはトイレに行く習慣をつける」、お風呂や布団などで「冷えに配慮する」といった、無理のない範囲での生活指導を進めることも大切です。

おわりに:大半の夜尿は治る可能性が高い。ただし5歳になっても続くようなら早めに受診を

夜尿は夜の尿量と膀胱のためる力のバランスの不具合から起こります。まずは生活改善をこころがけ、生活のリズムをつくるようにしましょう。学童期前に治せば無用なストレスを回避できます。5歳になっても続く場合には、早めに受診することをおすすめします。

【 厚生労働省HP の情報をもとに編集して作成 】

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