腰部脊柱管狭窄症は保存療法で改善する?!手術の必要性あるの?

2017/12/20

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

腰部脊柱管狭窄症は、何らかの原因で脊柱管が狭くなってしまうことで脊髄が圧迫され、しびれや麻痺などの症状が現れる整形外科疾患です。根本治癒には手術が必要とされていますが、保存療法でも症状が改善するといわれています。この記事では、腰部脊柱管狭窄症の保存療法についてと手術の必要性について解説しています。

腰部脊柱管狭窄症はどんな病気?

脊柱管は、腰椎内部の神経の通路です。腰部脊柱管狭窄症とは、骨や靭帯の肥厚、椎間板の突出などにより、脊柱管が狭くなることで脊髄が圧迫され、腰痛や脚のしびれなどを発症する病気です。長い時間歩くと症状がひどくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる、「間欠跛行(かんけつはこう)」が典型的な症状として現れるようになります。

腰部脊柱管狭窄症は加齢により骨や靭帯などが変性して起こることが多く、推計では高齢者の10~20%程度が腰部脊柱管狭窄症の症状を自覚していて、年齢が上がる程、その割合は増加するといわれています。

手術以外にはどんな治療法があるの?

手術以外の治療法として主に用いられているのは薬物治療です。使われる薬として、消炎鎮痛剤や血管拡張血流改善剤、抗てんかん薬や抗うつ薬などが挙げられます。また症状によっては、神経そのものや神経の近くに麻酔薬または鎮痛薬を注射し、神経を一時的に麻痺させる神経ブロック療法が行われることもあります。
また、マッサージや鍼治療などの手技療法を組み合わせて症状の緩和を目指すケースもあります。

保存療法の効果について

ブロック注射

硬膜外ブロックや神経根ブロックは、麻酔剤により痛みの伝導を一時的に遮断する治療です。

ブロック注射は普通の投薬療法よりも薬による身体への悪影響が少ないとされ、圧迫されている神経付近に麻酔をすることで、痛みなどの症状を抑えるとともに、痛みによって緊張状態だった筋肉を柔らかくして血行を促進させ、圧迫によって炎症を起こしていた神経を回復しやすくする効果が期待できます。

しかし、脊柱管狭窄症の治療においては、狭窄病態は放置したままなので治療効果は限定的なケースが多く、症状の改善も一時的にしか現れない傾向が高いといわれています。

手技療法

マッサージなどの手技療法や鍼治療は、脊髄や脳幹レベルでの疼痛抑制機構を活動させることによる痛みの改善を目的にするものです。
痛みやしびれなどの症状が治まっても一時的である可能性が高く、特に加齢による黄色靭帯の肥厚や骨の変形が原因の脊柱管狭窄症については、症状を抑えながらだましだまし過ごしているうちに悪化してしまったというケースもあるので注意が必要です。

薬物療法

薬物療法の中で、消炎鎮痛剤は、現在生じている痛みを一時的に和らげたり解消したりする目的で投与します。原因病巣の消炎鎮痛に効果を発揮するため急性期の痛みには効果がありますが、狭窄症が慢性化すると効果は低いとされています。

運動療法

運動療法(エクササイズ)は腰椎支持機構を強化し、脊柱管拡大の治療的意義を有する唯一の治療手段であり、ある程度の持続する有効性が確認されています。ただし、効果には限界があるため医師による管理が必要です。

腰部脊柱管狭窄症は放っておかずに早めに治療が必要

投薬などの保存治療を長期間受け続けた場合、多くのケースで改善するといわれています。ただし、脊柱管が狭くなった原因は骨や靭帯の肥厚であり、これらは放置しておいても状況が好転するわけではありません。長い時間が経過すると、それだけ狭窄が強くなる可能性も高まります。
狭窄した脊柱管を広げ、根治を目指すには手術が必要です。全ての脊柱管狭窄症に手術が推奨されるわけではありませんが、手術のタイミングを逃してしまわないためにも、初期のうちから定期的に医師に診てもらうようにすることをおすすめします。

おわりに:保存療法でも改善するケースはある。ただし、再発リスクもあるので定期的に病院で診てもらおう

腰部脊柱管狭窄症の治療法としては、手術以外に、薬物療法や神経ブロック療法などが挙げられます。これらの治療で改善に向かうことも多いといわれていますが、骨や黄色靭帯の肥厚や骨の変形などが原因のものについては、狭窄自体が劇的に改善されたわけではないので、再発リスクがあります。
手術のタイミングを見逃さないためにも、定期的に通院して状態を確認してもらうようにしましょう。

難病情報センター の情報をもとに編集して作成 】

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