重症筋無力症によって生じる合併症について

2017/12/20

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

重症筋無力症は、筋肉と神経のつなぎ目に異常が起こることで、脳から筋肉へ信号が伝わらなくなってしまうことが原因で発症します。発症者の1割に合併症がみられるといわれていますが、合併症にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、重症筋無力症の症状と合併症について解説しています。

重症筋無力症はどんな病気?

重症筋無力症は、神経筋接合部(末梢神経と筋肉のつなぎめのこと)に異常が生じ、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなることで発症する自己免疫疾患です。
末梢神経の末端からはアセチルコリン(ACh)という神経伝達物質が放出され、これを筋肉側が受け取ることで指令が伝達されます。ところが、なんらかの原因で、この受取り口(受容体AChR)を「異物」とみなす免疫作用が働き、受容体を攻撃し、破壊してしまうのです。その結果、アセチルコリンが受け取れなくなり、筋肉を動かすことができなくなります。

発症の要因は不明ですが、胸腺(心臓の前にあるリンパ性器官)の異常が関与していると考えられています。

重症筋無力症の代表的な症状について

重症筋無力症の代表的な症状や特徴として、下記のものが挙げられます。

・全身の筋力低下や疲れやすさ
・日内変動・・・1日の中でも、午前中より午後、夕方の方が症状が出やすい特徴がある
・日差変動・・・日によって疲れやすさが違う
・眼瞼下垂・・・まぶたが垂れ下がること
・複視・・・ものが二重に見えること

とくに眼の症状だけの場合を眼筋型、全身の症状があるものを全身型とよび、眼筋型は全体の約1/3を占めるといわれています。

この他にも嚥下困難や構音障害(発声、発音が上手くできないこと)が現れることがあり、重症化すると呼吸筋が麻痺して呼吸困難になり、自分で呼吸ができなくなり人工呼吸器が必要となる状態(クリーゼ)に陥るおそれがあります。

どんな合併症が起こる可能性があるの?

重症筋無力症全体の10%前後に他の自己免疫疾患が合併することが報告されています。なかでも、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や橋本病(甲状腺機能低下症)などの甲状腺疾患、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病が高頻度で合併する疾患としてあげられています。

また、胸腺の異常が原因と考えられる他の疾患や症状の合併が起こることもあります。代表例として、赤芽球癆(せきがきゅうろう)や円形脱毛があげられます。赤芽球癆は、胸腺腫関連の重症筋無力症患者の5%に、円形脱毛は10~15%に認められるといわれています。

おわりに:合併症を防ぐためにも、早期の治療を心がけよう

重症筋無力症は自己免疫疾患の一種であり、同じ自己免疫疾患が合併症として発現する確率の高い病気です。治療法には共通性がみられ、合併症の治療をすることで重症筋無力症が快方に向かうこともあります。早期治療が重要になってくるので、疑わしい症状が現れたらすみやかに治療を受けましょう。

難病情報センター の情報をもとに編集して作成 】

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