腎結石の治療方法とは?薬や手術以外にできることはある?

2018/1/11 記事改定日: 2020/6/23
記事改定回数:3回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎結石とは、腎臓内に結石ができる尿路結石です。自覚症状が出ないことが特徴ですが、結石が動くと激しい痛みが起こることがあります。この記事では、腎結石の痛みの原因と治療方法について詳しく解説しています。

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腎結石で痛みは出る? 何が原因なの?

腎結石は、結石(シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのかたまり)が腎臓にある状態で、女性よりも男性に多いといわれています。

腎結石は「腎臓の中に結石がおさまっている状態」であれば痛みがでることはほとんどありませんが、小さな結石が腎臓から尿管に移動するときに詰まったり引っかかったりすると「背中から腰にかけて激痛」が現れます。

このような痛みのことを腎疝痛とよび、一度痛みが出始めると結石が排出されるまで痛みが続く傾向があります。また、痛みがあるときは、尿の濁りや血尿、吐き気や冷や汗、めまいなどを発症することもあります。

このように、腎結石は腎臓内に結石があるうちは無症状のことが多いため、別の病気で超音波検査を受けたときに偶然見つかるケースも少なくありません。ただし、結石が大きくなると腎機能に問題が起こり、残尿感や血尿などの自覚症状が現れることがあります。

腎結石の原因

腎結石の多くはシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどが結晶化したものです。
このような結石ができる原因としては、タンパク質や脂肪の過剰摂取などの食生活の乱れ、水分摂取不足、運動不足などが挙げられます。とくに汗をかきやすい夏場は水分が不足しがちになるため、腎結石を発症する方が増えるので注意が必要です。

また、腎結石はカルシウム代謝を司るホルモンを産生する「副甲状腺」の機能異常によって引き起こされることがあります。具体的には、副甲状腺の機能が過剰に高まる「副甲状腺機能亢進症」を発症すると骨に蓄えられているカルシウムが血液中に移行することで血中のカルシウム濃度も上昇するため結石ができやすくなります。

腎結石の治療薬

腎結石が小さいうちは、下記で挙げる内服薬などを使って結石が出るのを待つ場合があります。

ウラジロガシエキス(商品名:ウロカルン®)
  • 結石を溶かして小さくし、排出しやすくする
  • 抗炎症作用や利尿作用が期待できる
  • 副作用が少ないが強い効果も得られないため大きい結石への効果は乏しい
  • 効果が弱いため、長期間の使用が必要になる
フロプロピオン(商品名:コスパノン®)
  • 尿管の痙攣を抑制して痛みを軽減し、尿管を広げて結石の排出を促進する

また、激しい痛みがあるときは、ジクロフェナク(商品名:ボルタレンサポ®)やロキソプロフェン(商品名:ロキソニン錠®)、セレコキシブ(商品名:セレコックス錠®)などが使われることがあります。

腎結石の手術ではどんな方法が用いられるの?

尿路結石は、痛みの原因となる結石が尿路のどこに存在しているかによって治療法はまったく異なります。
腎結石は、大きさが10mm以下の場合は無症状のことも多いですが、結石によって痛みや腎機能の低下の兆候がみられる場合は結石の大きさに関わらず治療が検討されます。

腎結石の薬以外の治療では、体の外から衝撃を与えて結石を破壊する手術療法(体外衝撃波結石破砕術)と、全身麻酔をして尿道から細い内視鏡を挿入し、レーザーで結石を破壊する手術療法(経尿道的結石破砕術)とがあります。

これらの手術では改善が見込めない巨大な結石の場合は、全身麻酔をして皮膚に内視鏡が挿入できる穴を開け、結石を砕く手術が検討されることもあります。
また、体外衝撃波結石破砕術を行う際には、尿管閉塞や感染症を防ぐために尿管ステント留置術を併行することもあります。

腎結石の人が食事や運動で気をつけることは?

腎結石の治療では、結石の生成の予防と排出を促進するために、食事療法と運動療法の指導が行われます。

食事療法

腎結石は、カルシウムがシュウ酸やリン酸などと結晶化したカルシウム結石が90%近くを占めています。とくにシュウ酸カルシウムの生成は、飲食によって体内に過剰に取り入れられることが原因となることが多く、腎結石を発症した場合は食事や飲み物に注意する必要があります。

食事の注意点として、以下のことが挙げられます。

  • シュウ酸を多く含むホウレン草やキャベツ、ブロッコリー、レタスなどの野菜類を多く摂りすぎないこと
  • 腸内のシュウ酸を増加させる肉類を多く摂りすぎないこと
  • シュウ酸を分解するクエン酸を多く含むオレンジやグレープフルーツなどの柑橘類を多く摂ること
  • 尿中のシュウ酸量を減らすカルシウム量を十分量摂取すること

また、コーヒーや紅茶などの飲み物はシュウ酸を多く含みますので、腎結石の人はなるべく控えるようにしましょう。シュウ酸を多く含む飲みものは牛乳などを混ぜるたほうがいいといわれています。

水分補給としては、ミネラルウォーターが最適ですが、結石の排泄を促すためにも1日に2ℓ以上の水分を摂るように心がけましょう。

運動療法

腎結石は適度な運動を行うことで排出を促すことができます。運動療法としては、十分な水分を摂取しながら、縄跳びなどジャンプする運動を行う「水運動療法」が行われることがあります。
また、腹筋運動などを行うと尿管の蠕動運動を促して結石の排泄につながることもありますので、痛みが落ち着いている場合には積極的に行うようにしましょう。

おわりに:腎結石は、はっきりとした自覚症状が出ないこともある尿路結石。排尿に違和感を感じたら早めに病院へ!

腎結石は、尿管結石のようにはっきりとした症状が出ない結石です。しかし、小さな結石であっても、長期化すると腎機能の低下を招く可能性があるため、自覚症状に乏しいものでも医師に経過観察をしてもらうことをおすすめします。

結石の状態や本人の健康状態などで、適した治療方法や治療のタイミングが変わってくるので、医師と相談しながら自分にあった方法を選択しましょう。また、残尿感などの排尿の違和感があるときは早めに病院を受診するようにしてください。

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