記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/11 記事改定日: 2019/1/9
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急性扁桃炎とは、扁桃にウイルスや細菌が感染することで炎症を起こすことであり、発熱や喉の痛みなど風邪のような症状が現れます。
この記事では急性扁桃炎の薬を使った治療について詳しく解説していきます。
急性扁桃炎にかかると、40度前後の高熱を発する場合があり、そのほか、頭痛や喉の痛み、関節痛、悪寒、全身のだるさなど、風邪に似た症状が出てきます。
また、急性扁桃炎はインフルエンザなどのウイルス感染症や中耳炎などの合併症を引き起こすリスクもあるので注意が必要です。また、溶連菌が扁桃に入ることで、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などにもかかるおそれもあります。
扁桃から白く膿が詰まった斑点が生じることがありますが、これは扁桃の血液中の白血球が、体内に侵入しようとしてきた細菌やウイルスなどの病原体と戦った痕です。
急性扁桃炎を年に何度もぶり返している状態は、慢性扁桃炎と呼ばれます。
急性扁桃炎を初期段階でしっかり治療していないと、慢性扁桃炎にかかりやすくなるので、症状が現れた段階ですぐに病院を受診しましょう。
急性扁桃炎は、薬物で治療することができます。その場合、扁桃炎の原因が細菌によるものか、ウイルスによるものかで異なります。
扁桃の表面を直接、綿棒などでぬぐい、先端に付いた組織から、どのような微生物(細菌やウイルスのこと)によって急性扁桃炎が引き起こされているかを特定することができます。
細菌が原因になっている場合は、抗生物質による治療となります。ペニシリン系やセフェム系の抗生物質、またアジスロマイシンが多く処方されます。
ウイルスが原因の場合ですが、単純ヘルペスだと特定できれば、アシクロビル(ゾビラックス®)、バラシクロビル(バルトレックス®)を処方して対処できます。
ただ、それ以外のウイルス感染では特効薬といえるものがないので、対症療法によって目先の症状を抑え、身体の自然治癒を促す方向性となります。喉の痛みや発熱に対して、ひとまず解熱剤やうがい薬などで症状を処置し安静にして回復を待つことになります。
なお、炎症を起こした扁桃を手術で取り除いて処置することもありますが、これは口蓋扁桃ではなく、咽頭扁桃(アデノイド)のことを指します。
急性扁桃炎は重症化すると入院治療が必要になることがあります。
とくに、免疫力が低い小児や高齢者では高熱や喉の強い痛みなどによって十分な水分が摂取できず脱水状態になりやすくなります。このような場合には入院して点滴治療が必要になることがあります。
また、扁桃が大きく腫れることで気道が狭くなり呼吸困難などの症状がある場合は入院して厳重な呼吸管理が必要となります。
急性扁桃炎の治療期間は重症度によっても異なりますが、多くは1週間の投薬治療で改善します。
しかし、重症化して入院治療が必要になる場合や、扁桃に膿瘍を形成しているような場合にはさらに2~3週間ほどの治療が必要になることも少なくありません。
また、溶連菌が原因の場合には、扁桃炎の症状がよくなった後に腎炎などを引き起こすこともあるため、発症後1か月程度は慎重な経過観察が必要になります。
基本的な習慣ではありますが、うがいと手洗いが重要となります。扁桃へ不用意に細菌やウイルスが入り込みすぎないよう、普段から徹底することが大切です。
また、喉が乾燥しすぎないよう、冬には加湿器などで部屋を保湿することも大切ですし、外出時にはマスクの着用もおすすめです。
急性扁桃炎は、こじらせると慢性化して厄介です。ウイルス感染が原因の場合は対症療法で治療が進められることが多く、長期化する可能性があるため、まめにうがいや手洗いをするなどして予防に努めましょう。
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