インスリノーマの診断法と治療法とは?!低血糖発作はどう対処する?

2018/1/11 記事改定日: 2018/9/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

インスリノーマとは、膵臓のβ細胞に腫瘍ができることで低血糖状態が続いてしまう病気です。ほとんどの腫瘍が良性とされていますが、まれにがん化するリスクがあります。この記事では、インスリノーマの発症原因と検査・診断、治療法、低血糖に対する処置について解説していきます。

インスリノーマの症状とは!?

インスリノーマとは、膵臓(すいぞう)という臓器に腫瘍が発生し、血糖値を下げるインスリンを過剰に分泌させてしまうことで慢性的な低血糖状態に陥る病気です。インスリノーマによる腫瘍は、がん化するリスクがあるとされていますが、90%は良性のものといわれています。

とはいえ、低血糖状態は、ときに人間を命の危機にもさらしてしまいます。血液中の血糖値が高すぎることは健康によくないと多くの人はご存知でしょうが、低血糖が続くこと生命を維持するエネルギーが不足してしまうので体によってよくないことには変わりません。

インスリノーマは、インスリンの過剰な分泌によって、低血糖を引き起こし、人体を危機的な状態に陥らせてしまいます。
動悸や発汗、思考能力の低下や昏睡状態、異常行動などの症状を引き起こしますが、特に脳は血糖を多く消費する臓器ですので低血糖状態になると真っ先にダメージを受けてしまいます。

インスリノーマの原因は?なぜ発症するの?

膵臓の中のランゲルハンス島と呼ばれる組織に、β細胞(ベータさいぼう)が存在します。膵臓のβ細胞は、血糖が増えすぎて動脈硬化などのリスクが生じることのないように、インスリンという物質を分泌して血糖値を下げ、正常値まで下がった段階で分泌を止めるという役割を果たしています。

しかしβ細胞にインスリノーマの腫瘍ができてしまうと、自律的な調整が利かずインスリン分泌が止められなくなってしまうのです。

インスリノーマはどうやって検査・診断するの?

まずは血液検査を行います。空腹時に血液中のインスリン成分が高く、血糖値が正常値よりも低い状態のとき、インスリノーマが疑われます。

ただし、体質や食習慣は人によって違うので、空腹時のインスリノーマの症状がそれほど頻繁に出ないケースもあります。その場合は入院検査で絶食状態のときにインスリノーマの症状が現れるかを改めて確認することもあるでしょう。

次に、膵臓の画像検査で、インスリノーマ状態になっているβ細胞(腫瘍の位置)を特定します。超音波検査機やCTスキャン、PET(陽電子放出断層撮影)などの画像診断装置が用いられます。
ただ、腹部からの超音波検査など、身体の外からの画像診断で、インスリノーマを見つけるのは困難です。超音波発生装置の付いた内視鏡を身体の消化管内部へ入れて検査するほうが発見しやすいといわれています。

インスリノーマの治療方法は?

インスリノーマは、外科手術によって腫瘍を取り除いて治療するのが一般的であり、手術による治癒率は約90%といわれています。治癒しない場合や手術できない事情がある際は、ジアゾキシドなどの内服薬によって治療を目指すこともあります。

インスリノーマで低血糖発作が起こったときは、どうやって対処する?

インスリノーマはインスリンが過剰に分泌されるため、突然低血糖状態となることも少なくありません
低血糖になると、強い空腹感や倦怠感、冷や汗、震えなどの初期症状が生じ、重度になると集中力や注意力の低下を引き起こし、意識障害やけいれんなどを生じることもあります。

低血糖になったときは、素早く初期症状に気づき、速やかにジュースや飴、砂糖などを口にして体内にブドウ糖を補給することが大切です。また、急激な低血糖状態となって意識消失などが生じた場合には、速やかに救急車を要請するようにしましょう。

おわりに:低血糖は失神などの深刻な状態を引き起こすことも。疑わしい症状があるときはすぐに病院へ!

インスリノーマとは、一般には聞き慣れない病名で、実際に稀な症状といわれています。しかし、空腹時には失神や異常行動などを引き起こすおそれがあり、満足に日常生活を送れなくなる恐ろしい病気です。思い当たる節がある人は、早めに医師に相談しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

低血糖(48) 超音波検査(18) インスリン(61) PET(3) 空腹時血糖値(7) インスリノーマ(3) β細胞(2) ランゲルハンス島(1)