黄色靭帯骨化症の手術療法と合併症のリスクとは!?

2018/1/12 記事改定日: 2018/12/3
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

黄色靭帯骨化症とは、背骨を縦に走行している靭帯が骨化することで神経が圧迫されてしまい、しびれや麻痺などの症状が起こる整形外科疾患です。この記事では黄色靭帯骨化症の手術と合併症について解説しています。

黄色靭帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)はどんな病気?

黄色靱帯骨化症とは、脊椎(背骨)の病気です。文字通り、黄色靱帯という本来はしなやかな内部組織(靭帯)が硬くなり、骨のように硬く分厚くなってしまいます。

黄色靱帯が通常の何倍にも厚くなるので、すぐそばにある神経や脊髄を圧迫してしまい、足のしびれや麻痺を引き起こします。進行すると排尿障害や歩行障害に発展し、日常生活に支障をきたすこともあります。そして転んだことがきっかけで脊椎に衝撃を受けると、麻痺などの症状が進む危険もあるため、移動時には注意が必要です。

黄色靱帯骨化症は40歳以上の人に出ることが多いことから、加齢による代謝の悪化がひとつの原因だと考えられています。しかし、外部から脊椎に強い力がかかることで、黄色靱帯骨化症になるケースがあったり、親から子へ黄色靱帯骨化症が受け継がれやすい家系があることも確認されていますので、遺伝的要素もある可能性も示唆されています。

黄色靭帯骨化症の手術の目的と内容

軽度のものは薬物治療などの保存療法で経過観察となりますが、日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合や近く悪化が予想される場合には、手術治療が検討されます。黄色靱帯骨化症の外科手術は、進行している黄色靱帯の骨化を取り除き神経の圧迫を食い止めることと、痛みやしびれ、麻痺などの症状を軽減させるという2つの目的で実施されます。

全身麻酔で、うつ伏せにした状態により、背中を切開して、手術用の顕微鏡で細部まで確認しながら、背骨の内部にある骨化した黄色靱帯を見つけ出し、取り除きます。
患部を取り除いたときに体液が出てくる場合がありますので、創部ドレナージと呼ばれる体液排出用の誘導管を患部付近に備え付けて、背中の皮膚を縫合します。

手術後の経過と合併症のリスク

手術後の合併症のリスクとして、まず挙げられるのは、骨化した組織を取り除く際に、手術道具で神経などを傷つけてしまい、麻痺などが残るおそれがあることが挙げられます。このほか、髄膜炎、肺炎、深部静脈血栓症などの合併症が起こる可能性も否定できません。
また、手術で骨化部分を取り除いても、期待通りに症状が回復しないケースもあります。

手術後の過ごし方の注意点とリハビリの方法

黄色靭帯骨化症の手術は、より小さな傷口で行うことができる顕微鏡手術が行われるのが一般的です。傷口が少ないため、術後の痛みも少なく、感染症などの合併症も少ないのが特徴です。

しかし、手術直後は手術の操作によって神経に刺激が加わったり、圧迫を受けていた神経が急激に減圧されるため不安定な状態にあります。手術直後はなるべく安静にして、神経への刺激が鎮まるのを待つ必要があります。手術後、2週間ほどは安静にしていましょう。

また、通勤や通学などの日常生活は術後1か月ほどから開始し、徐々に背中の筋肉を鍛えるなど無理のない範囲でリハビリを開始しましょう。ただし、重たい荷物を持つ、ラグビーなど背中に大きな負担がかかる可能性のあるコンタクトスポーツは当分控えるようにしてください。

おわりに:早めに検査して、進行状況にあった治療を受けるようにしよう

黄色靭帯骨化症は手術で症状の改善が見られるケースも多く、保存療法でも回復がみられることもあります。
腰痛気味の人や最近つまづきやすくなった、歩くとふくらはぎが痛くなって歩けなくなるなど、疑わしい症状がある場合は、早めに検査して適切な治療を受けるようにしましょう。

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