腎血管筋脂肪腫の治療法のひとつ、「腎動脈塞栓術」について

2018/1/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

腎血管筋脂肪腫とは、腎臓にできる腫瘍です。主な構成成分は血管、筋肉、脂肪であり、大半が良性腫瘍といわれています。ただし良性腫瘍とはいっても治療が必要になることもあるのです。この記事では腎血管筋脂肪腫の治療のひとつ腎動脈塞栓術を紹介しています。

腎血管筋脂肪腫はどんな病気?

腎血管筋脂肪腫とは、文字通り、腎臓に腫瘍ができる症状で、その腫瘍が血管・筋肉・脂肪で構成されているものをいい、腎AML(angiomyolipoma)ともいいます。腎血管筋脂肪腫のほとんどは良性の腫瘍です。

また、全身のあちこちに良性腫瘍ができる「結節性硬化症」と呼ばれる疾病を持つ人の一部が、腎血管筋脂肪腫の合併症を持っているといわれています。

良性であることが多いのに治療が必要な理由は?

腎血管筋脂肪腫のほとんどは良性の腫瘍で、初期は症状が出ません。たとえ、CTやMRIなどでの画像診断で、腫瘍の存在が認められても、一般的には経過観察となります。

しかし、腫瘍の直径が4センチ以上、あるいは腫瘍にできた動脈瘤が5ミリ以上になると、腹痛や便秘、腹部の膨満感、腫瘤触知(触ってわかる大きさのこぶ)などの具体的な症状が出るようになります。
また、腎血管筋脂肪腫の中の、血管が破裂して出血すると、それが尿に混じって血尿として排尿されることがあります。出血が特に多い場合は、ショック症状を起こすこともあり危険です。出血しなくても、腫瘍を放置していると腎不全の原因になるリスクがあるともいわれています。
さらに、良性から悪性腫瘍(がん化)へと転化するケースも稀にあるといわれています

このような腎血管筋脂肪腫の症状に対しては、血尿が出た場合に、止血の作用がある「アドナ錠®」「トランサミンカプセル®」を、腹痛には痛み止めの「ロキソニン錠®」を処方することがありますが、これらはあくまでも対症療法です。

根治を目指す治療法には、「腎動脈塞栓術」と「外科手術」の2通りがあります。

腎動脈塞栓術は、カテーテルを用いた施術です。カテーテルで腫瘍に直接アプローチして、腫瘍を壊死、撤去させられますので、腎血管筋脂肪腫の症状を元から絶つことができます。

腎動脈塞栓術の具体的な流れ

太ももから動脈へ針を突き刺し、その穴にガイドワイヤーを差し入れ、ワイヤーに沿ってカテーテルを体内に挿入します。大腿動脈から大動脈を経由し、腎動脈へ挿入し、腫瘍を撮影しながら腫瘍の血管の状態を把握し、どのようにして腫瘍の血管を止めて壊死させるかを見極めます。

そして、マイクロコイルやスポンジ製剤という、腫瘍の血液を遮断する専用の道具を用いて、腫瘍を壊死させます。道具を用いにくい状況では、瞬間接着剤で血液遮断を実施することもあります。腫瘍の壊死を確認したなら、治療は終了です。終了までに要する時間は、状態や設備などによる個人差はありますが、おおむね2~4時間ほどといわれています。

おわりに:良性腫瘍でも治療が必要になることも。医師と相談しながら適切なタイミングで治療を始めよう

腎臓にできる腎血管筋脂肪腫は、その腫瘍が小さいうちは自覚症状がありません。しかし、大きくなると腹痛や血尿、腎不全などの合併症を引き起こすことがあるため、治療対象となります。開腹して手術で取り除く方法がありますが、より身体への負担が少ないカテーテルによる「腎動脈塞栓術」も注目されているので、どのタイミングで治療を始めるか、どの方法で治療を行うかについて医師と相談しながら決めていきましょう。

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