マウスピース、かみ合わせ治療・・・咬合性外傷の治療法について

2018/1/30

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

咬合性外傷とは、食いしばりや歯ぎしりなどで歯や歯槽骨に負担がかかり歯がぐらつくことです。原因はさまざまありますが、かみ合わせの治療やマウスピース治療が有効とされています。この記事では、咬合性外傷の治療について詳しく解説していきます。

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咬合性外傷とは?

咬合性外傷とは、歯の噛み合わせが整合していないことが原因で、歯や歯茎などに生じる症状の総称です。
食事のときや就寝時の歯ぎしりなどで噛む動作を行うたびに、私たちの歯にはとても大きな力がかかっています。その衝撃は歯茎がある程度吸収してくれますが、その衝撃が長い歳月にわたって続いていたり、歯並びの不整合などで不自然な方向へ力がかかっていたりすると、歯茎の底で歯を支える「歯槽骨」にダメージが蓄積してきて、一部の歯がぐらぐらと揺れてくることがあります。これが咬合性外傷です。

見た目は歯並びがいいからといって、咬合性外傷にならないわけではありません。顎の骨格がずれている場合もありますし、心理的ストレスなども咬合性外傷の遠因となりうるからです。歯を強く食いしばったり、就寝時に無意識に歯ぎしりをしている場合は、知らず知らずのうちに歯槽骨に強い衝撃が蓄積されている場合があるのです。

歯周病など、歯茎が特に弱っている要素がないにもかかわらず、歯が揺れてくるものを「一次性咬合性外傷」と呼び、歯周病などで歯茎が弱っていることで起こっているものを「二次性咬合性外傷」と呼びます。
二次性咬合性外傷のほうが一次性よりも進行がはやく、治療が手遅れになってしまいやすいといわれています。重度の咬合性外傷になると抜歯の必要が出てくる場合もあるので、早めに治療を始めることが重要です。

咬合性外傷によって起きる症状

咬合性外傷によって、歯や歯茎の痛み、歯の摩耗や欠損、知覚過敏などの症状が出てくる場合があります。また、奥歯などに被せ物や詰め物で治療した跡が脱落してしまうこともあります。二次性咬合性外傷は、歯周病がさらに進行する原因にもなります。

咬合性外傷は治療できるの?

摩耗したり欠損したりした歯を歯科的に治療することはできます。歯周病も治療の対象です。しかし、それは咬合性外傷の対症療法であって、根本的な治療にはなりません。
歯の食いしばりや歯ぎしりは、精神的なストレスや、もともとの癖や生活環境が複雑に影響しあうことで発症します。これらの原因を全て取り除くのは難しいですが、歯科治療で食いしばりや歯ぎしりの治療が可能な場合があるのです。
歯科でできる咬合性外傷の予防法として代表的なものは、以下の通りです。

<方法①>マウスピースで歯の負担を減らす

歯ぎしりや食いしばりが長期間継続すると、歯が欠けるほどの大きな力がかかることがあります。特に就寝中に無意識に行う歯ぎしりは、意識的に歯を食いしばったときの倍以上の力がかかるといわれます。そこで、就寝中にマウスピースを歯に装着して噛む力を分散させることで歯へかかる負担を軽減し、咬合性外傷を予防します。歯ぎしりや食いしばりの状態によって、食事や歯磨きの時以外はずっと装着する場合もあれば、就寝時のみの装着となることもあります。

<方法②>噛み合わせを治す

歯の噛み合わせは、咬合性外傷だけでなく、全身のバランスにまで影響します。噛み合わせは歯科医院でチェックしてもらうことができます。必要に応じて歯列矯正などで治療します。

おわりに:咬合性外傷は歯科医院で適切に治療してもらおう

咬合性外傷は、つい歯を強く噛みしめたり、歯ぎしりをしてしまう人に起きる、歯や歯茎へのダメージが原因です。歯の周辺だけでなく、頭痛や、あごの痛み、肩こりにまで進行してしまうことがあります。原因はストレスや個人的な癖など、簡単には取り除けない要因が多く、歯周病などの病気が原因になる二次性咬合性外傷もあります。未然に防ぐためにも、症状をこれ以上進行させないためにも、早めに歯科医に相談するようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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