腎梗塞と腎動脈閉塞は何が危険?治療や予防はできるの?

2018/1/19 記事改定日: 2018/12/13
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腎梗塞とは、腎臓に血液を供給している血管が何らかの理由で詰まってしまうことをいいます。
軽度のものであれば無症状のこともありますが、重度のものは側腹部の痛みや血尿、嘔吐などの症状が現れます。
この記事では腎動脈閉塞の危険と治療方法について解説しています。

腎梗塞と腎動脈閉塞とは!?

腎梗塞(じんこうそく)とは、主に血栓(血のかたまり)が腎臓付近で血管をふさぎ、腎臓組織が壊死する「梗塞(こうそく)」の状態に陥ることを言います。腎臓に血液を運ぶ血管が血栓で閉塞することが原因であり、閉塞する血管の太さによって、症状の有無や程度は変わってきます。

太い血管である腎動脈が閉塞すると、突然急激な側腹部の痛み、嘔吐、発熱、血尿などなどの症状に見舞われるのが特徴です。

腎臓に血液を送る大きな動脈に血栓がつまり、閉塞することを「腎動脈閉塞(じんどうみゃくへいそく)と呼びます。
小さな血管が閉塞すると小規模な腎梗塞を起こしますが、この場合は自覚症状がない場合もあります。

腎動脈閉塞で高血圧が起こるのはなぜ?

腎動脈閉塞や腎動脈狭窄によって高血圧が引き起こされることがあります。
高血圧は何らかの病気が原因となっていることがあり、それらの高血圧症を「二次性高血圧」と呼びます。
二次性高血圧の約半数は腎臓の病気によって引き起こされているとされており、特に腎動脈の閉塞や狭窄は高血圧を生じやすい病気です。

高血圧が引き起こされるメカニズムは、腎臓の機能低下によって尿の生成量が減り、体液量が増えることと、腎臓への血流が低下することで腎臓から血圧を上げる作用のある「レニン」が盛んに分泌されるようになることです。
腎動脈閉塞・狭窄による高血圧は突発的に発症して、200台などの急激な高血圧に至ることも少なくありません。脳出血などのリスクになりますので注意が必要です。

腎動脈閉塞の原因は?なぜ起きるの?

腎動脈閉塞の原因には、大きく分けて以下の2つがあります。

血栓が腎動脈に詰まる

体内の他の場所、または腎動脈内部で発生した血栓が詰まることによって、腎動脈閉塞が起こるパターンです。
特に、心臓付近で発生した血栓の断片や、大動脈内で発生し脂肪による沈着物が流れ着いて、腎動脈を詰まらせるケースが多いといわれています。

しかし、稀に過去の医療行為や腎動脈内部の膜がはがれるなどの理由によって腎動脈に損傷が起き、腎動脈内部で血栓が作られ、腎動脈閉塞の引き金となることもあります。

腎動脈そのものの異変

腎動脈に硬化や線維性物質形成などの異変が起き、これによって腎動脈の流れが悪くなり、結果的に閉塞を起こしてしまうパターンです。
閉塞が起きているのに、血栓が確認できない場合はこちらが原因が疑われます。

腎動脈閉塞の治療法は?

腎動脈閉塞には、血流の確保・回復をはかるための治療が行われます。

代表的な治療法は「抗凝固薬による治療法」「手術による治療法」「腎動脈の動脈硬化や線維筋性異形成が原因で生じた閉塞を解消する治療法」の3つです。

抗凝固薬

血栓の増大や発生を防ぐ抗凝固薬(こうぎょうこやく)を投薬するもので、閉塞が不完全であったり、血栓がすぐに溶ける場合に有効な治療法です。まず静脈注射で投与し、その後は経口で数か月単位の長期的な投与をします。状況によっては、あわせて血栓を溶かす薬の投与が行われる場合もあります。

手術療法

閉塞を解消するために、血栓を除去する外科手術を行います。
ただし、患者への負担が大きく、死亡や合併症のリスクが高くなるため、薬物治療が優先的に選択される傾向があります。

腎動脈の動脈硬化や線維筋性異形成が原因のときの治療法は?

血栓ではなく、腎動脈そのものの硬化や、線維性物質による狭窄が原因で腎動脈閉塞が起こっている場合は、カテーテルによる血管拡張を行います。これは、太ももの太い血管からカテーテルを腎動脈まで通し、カテーテルの先についたバルーンを膨らませる治療法です。
カテーテルを通す際、血管を拡張した状態を維持するため、ステントを呼ばれる短いチューブを残しておく場合もあります。

腎動脈閉塞を予防するには?

腎動脈閉塞は、腎動脈の動脈硬化や血栓が詰まることによって引き起こされます。
腎動脈の動脈硬化は、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病や肥満・喫煙といった生活習慣が大きく関与しています。これらの病気や生活習慣に心当たりがある場合は、適切な治療を行い、食生活や運動習慣を改善するようにしましょう。

また、血栓は心房細動などの不整脈によって生じることがありますので、定期的な健康診断を受けて体調管理を行うのはもちろんのこと、動悸や脈の乱れなどを自覚した場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。さらに、脱水症にも気を付け、適度な水分を摂るように心がけて下さい。

おわりに:腎動脈閉塞と腎梗塞には、早期の適切な治療が有効

腎動脈閉塞と腎梗塞は、痛みなどの辛い症状が出るばかりか、放っておくと腎機能に致命的なダメージを受ける病気です。側腹部や尿の異常を感じたらすぐに病院に行き、早期に症状にあった適切な治療を受けましょう。

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