記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻出血のほとんどは鼻中隔にあるキーゼルバッハ部位からの出血といわれています。大半は一時的な出血で心配がないものですが、中には深刻な病気が隠れていることがあるのです。この記事では鼻出血の原因疾患について詳しく解説しています。
鼻出血の90%は、小鼻の内側にある鼻中隔のキーゼルバッハ部位が、何らかの原因により傷つくことで起こります。
キーゼルバッハ部位は、鼻に指を少し入れたときに指先が内側に触れる部位です。ここは薄い粘膜でできているうえ、たくさんの毛細血管が網の目のように走っているので、ちょっと傷がつくだけでも出血します。たとえば、転んだり人とぶつかったりして鼻を打つなど原因はさまざまです。
骨髄で異常な白血球細胞が増殖し、がん化した造血細胞やリンパ球が骨髄を占領するため、正常な血液細胞(赤血球・白血球・血小板)がスムーズに作られなくなります。出血しやすくなったり出血が止まりにくくなるのは、血小板が不足することで破れた血管を修復する機能が低下しまうためです。
かなり頻繁に鼻出血が出て、なかなか止まらなかったり出血量が多かったりする場合には注意が必要です。
自身の血小板に対して何らかの理由で自己抗体がつくられ、膵臓で血小板が壊されてしまうことで血小板の数が減少するため、出血症状があらわれる疾患です。なぜ自己抗体がつくられるかはまだ解明されていません。
最初は顔や体に赤く小さな点状の内出血がたくさんあらわれることで気づきます。進行すると、鼻出血や歯茎からの出血、血尿や血便などがみられ、重症化すると脳出血を起こすこともあります。
遺伝や肥満、塩分のとりすぎなどの生活習慣が原因で、最高血圧140mmHg以上、または最低血圧90mmHg以上、もしくはその両方が続いている状態のことを高血圧症といいます。特徴的な自覚症状はほとんどありませんが、放置すると動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こします。
血圧が高いと常に血管に負担がかかっていることになるので、ちょっとしたことでキーゼルバッハ部位にある毛細血管が切れてしまうため、鼻出血を起こしやすくなります。この場合の鼻出血は、鼻腔の奥にある動脈で起こりやすくなるため、勢いよく出血して量も多くなりがちです。
日本では患者数が現在約4000万人といわれ、近年は子供の高血圧も増えています。
血液中のLDLコレステロールが動脈の血管壁に沈着し、動脈の層が厚くなったり、硬くなる疾患が動脈硬化症です。動脈硬化が進むと、血管は弾力性を失い、もろくなるため出血しやすくなり、まれに鼻血がみられることもあります。高血圧同様、鮮やかな鮮血が勢いよく出血してなかなか止まらないケースも多くみられます。
血圧が高いときや鼻の粘膜が弱っているときには、鼻出血が出やすくなります。とくに、高血圧や動脈硬化によって血管がもろくなっている人は、緊張や興奮、のぼせや飲酒、長時間の入浴など、血圧が上昇する要因には注意が必要です。このような場合、多くは鼻の奥のほうからの出血が考えられます。鼻の奥には太い動脈が走っているため、大量出血にもつながりかねません。
鼻出血の大半は、粘膜の弱いキーゼルバッハ部位が傷つくことによるものですが、場合によっては病気が潜在していることもあります。なかなか止まらない鼻出血や、出血が頻繁な場合などは原因を探るため病院を受診するとよいでしょう。