記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻出血(鼻血)の多くは、キーゼルバッハ部位の毛細血管が刺激されたことで起こるものです。正しい方法で止血すれば10分程度で出血が止まります。この記事では、鼻出血の正しい応急処置の方法を紹介しています。鼻血は身近なトラブルなので、この機会に習得しておきましょう。
鼻出血(鼻血)のほとんどは、小鼻の内側にある鼻中隔のキーゼルバッハ部位というところから出ます。この部分は粘膜におおわれ、細い血管が網の目のように走っているため、ちょっとした衝撃でも傷ついて出血してしまいます。アレルギー性鼻炎などで鼻をかみすぎたり、いじりすぎたりして粘膜を刺激してしまうことが出血の原因となることもあります。
また、高血圧や動脈硬化、白血病や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)といった病気に伴い、出血することもあります。
その他、急激に血圧が上がったりのぼせたりした場合や、刺激物の過剰摂取も鼻出血につながりやすいとされます。
鼻出血の対処法として、上を向いて首筋を手でたたく方法が紹介されることがありますが、この対処法には出血を止める効果はありません。そのうえ、上を向くと鼻血が鼻から口へ逆流するおそれがあります。口の中に血が逆流して不快感や吐き気をもよおしかねないので、避けた方がよいでしょう。
鼻血が出たら、静かに座ってややうつむき加減になるよう頭を少し下げ、小鼻の上の方を強くつまみます。ただし顔を下に向けすぎると、うっ血して出血量が多くなってしまうので注意しましょう。そのまま5~10分ほど安静にしていれば、キーゼルバッハ部位からの出血であれば止まります。なお小鼻とは、鼻の一番下の部分の鼻翼が左右に張り出している場所です。外から触って骨が無く硬くない部分を、左右から押さえましょう(圧迫止血)。
脱脂綿やティッシュペーパーは、鼻の入り口にだけつめても止血効果がありません。入り口から2~3cm鼻の奥に押しこみ、きちんとキーゼルバッハ部位を圧迫しましょう。また、脱脂綿をつめた状態で小鼻の上をつまんでも止血効果が得られます。
脱脂綿やティッシュペーパーは、血で汚れると換えたくなりますが、あまり頻繁に交換するとそのときにかえって粘膜を傷つけたり、再出血のおそれがあるので、ある程度は汚れても圧迫を続ける方がいいでしょう。
圧迫止血で止まるのはキーゼルバッハ部位からの鼻血のみです。それより奥からの鼻血の場合、外部からの圧迫止血では効果が乏しく、出血部位の血管を直接止血する外科的な処置が必要な場合があります。鼻血が30分以上続くような場合は救急車を呼ぶことも考えましょう。いきなり大量に鼻血が出た場合も、念のため病院にいくようにしましょう。
突然の鼻出血に対してうろたえずに対応するには、正しい応急処置を知っておくことが重要です。正確な知識をもとに、冷静に応急処置を行いましょう。ただし、大量の出血や長時間出血が止まらないなどの事態が発生した場合は、すみやかに病院を受診してください。