末梢性顔面神経麻痺の症状と原因について

2018/1/26 記事改定日: 2019/3/26
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

顔の筋肉を思うように動かせなくなる症状を顔面神経麻痺と言います。なかでも末梢性顔面神経麻痺は、脳幹から末梢の顔面神経に障害があらわれたことで発症します。
この記事では、末梢性顔面神経麻痺の症状と原因について解説していきます。

末梢性顔面神経麻痺とは?

顔面神経麻痺は、顔の筋肉を動かすための神経に異常があり、思うように動かせなくなってしまう病気です。

顔面神経麻痺には脳幹から末梢の顔面神経に障害が生じる末梢性顔面神経麻痺と、脳の中の中枢神経系内に異常が生じることで起こる中枢性顔面神経麻痺の2種類に分けることができ、顔面神経麻痺の約9割は末梢性顔面神経麻痺であるといわれています。

末梢性顔面神経麻痺には、急性かつ原因不明で発症してしまうベル麻痺と、帯状疱疹ウイルスなどによって耳の内部から症状が出始め、聴覚障害を起こした後に顔面麻痺になるラムゼイ・ハント症候群(ハント麻痺)などがありますが、発症数はベル麻痺のほうが多くベル麻痺は年齢が上がるにつれて、発症する人が増える傾向があります。

末梢性顔面神経麻痺の症状の特徴とは?

末梢性顔面神経麻痺では、以下のような症状が現れます。

  • 口角が下がる
  • 口の動きが悪くなる
  • よだれや飲食物が口角からこぼれることがある
  • 目が閉じられず、充血しやすくなる
  • 眉毛を上げることができない
  • 額にシワを寄せられない

脳の病気によって引き起こされる中枢性顔面神経麻痺は、片側の脳にダメージが加わっても正常な反対側の脳がその働きを補う仕組みが作用します。
このため、麻痺の程度は軽いのが一般的です。しかし、末梢性顔面神経麻痺は左右に分岐したどちらかの顔面神経にダメージが加わることで発症するため、麻痺側を補う仕組みが存在せず、中枢性よりも強い麻痺症状が現れるのです。
特に、額にシワが寄せられるか否かは、中枢性か末梢性かを簡易的に判断するよい指標となります。

末梢性顔面神経麻痺はどうやって治療するの?

顔面麻痺の原因が判明している場合、その原因を治す必要があります。
中耳炎などウイルス性の症状が原因の場合には抗生物質などによる治療を行い、がんなどの腫瘍が原因の場合は、外科的な手術で腫瘍を取り除く必要があります。
また、薬や手術での治療とあわせて、顔面に温かいタオルなどをあてて血流を良くする、マッサージや顔の体操で筋肉を動かしやすくするといったリハビリに取り組む必要があります。

ベル麻痺のように麻痺の原因がわからない場合は、薬物による治療が一般的です。ステロイド剤や抗ウィルス剤、ビタミン剤などを併用しながら治療する場合が多く、麻痺が軽度であれば1~2カ月ほどで治療を終えることができ、重度のベル麻痺の人でも90%近くの人が完治するとされていますが残りの10%近くの人には後遺症が残ることがあります。

おわりに:原因不明の末梢性顔面神経麻痺も完治する可能性がある。まずは病院に相談を

ベル麻痺のように、原因がはっきりしない末梢性顔面神経麻痺でも、薬物治療などで完治する可能性はあります。まずは病院を受診し、自分の状態や症状にあわせた適切な治療・リハビリを続けていくことが大切です。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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