脳震盪の後に起こるセカンドインパクト症候群の危険性とは?

2018/2/5 記事改定日: 2018/12/20
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脳震盪(のうしんとう)とは、頭部に強い外的衝撃が加わることで生じる一過性の意識障害や記憶障害です。
脳震盪を起こしても、しばらく安静にしていれば元通りに戻ることが多いのですが、頭部への強い衝撃が重なるとセカンドインパクト症候群を発症することがあります。この記事では、セカンドインパクト症候群とはどのようなものかを解説します。

脳震盪(のうしんとう)が起こるメカニズム

脳震盪は、頭部に外側から強い力が加わることで起こる、一過性の意識障害や記憶障害です。
ただし、意識障害に関しては必ず意識がなくなるというわけではなく、意識の変調であることもあります。
また、意識があっても頭痛やめまい、吐き気などが出てくることもあります。症状が強くなるにつれて、呼吸や脈拍不正などの症状も出やすくなってきます。

このような症状が起こるのは、外部からの衝撃が頭部に加わったために脳が大きく揺さぶられるためです。ただし、揺さぶられて引き起こされた障害はあくまで一時的なものなので、脳震盪による意識障害などは元に戻ることが大きな特徴です。

基本的には、脳震盪によって脳に器質的な損失が発生することはありません。
ただし、5分以上の意識障害や頭痛が見られた場合は重度の脳震盪の可能性があるので、早急に医療機関にかかるようにしましょう。

脳震盪の重症度

先にも述べたように、脳震盪は一時的な症状なので、時間の経過と共に少しずつ症状は落ち着いていく場合がほとんどです。ただし落ち着かない場合もあり、そのときは命の危機に関わることもあるため、早急な対応が求められます。脳震盪の危険度を判断する上で、その症状に応じた3段階のレベルを参考にします。

まず第1段階は、軽症と判断されるレベルです。これは意識はあるものの、体を動かすことはできないという症状です。

第2段階は、中度と判断されるレベルです。このレベルでは意識の消失がみられます。また、2分以内に目覚めた場合もこのレベルに該当すると判断できます。

第3段階になると、重度の場合は意識を失った状態が2分以上続きます。
軽度の場合でも絶対安静が必要ですが、中度以降になると一刻を争うような事態になることもあるため、すみやかに医療機関に向かうことが求められます。

軽度の脳震盪でもセカンドインパクト症候群の危険がある!?

たとえ軽度であっても脳震盪が恐ろしいところは、セカンドインパクト症候群を引き起こすリスクが潜んでいることです。

セカンドインパクト症候群とは、脳震盪もしくは脳震盪を発症するのに匹敵する外的衝撃を頭部に受けた後、数日~数週間後に2回目の頭部外傷を負い、場合によっては命にかかわるような症状(たとえば急性硬膜下血腫)が引き起こされてしまうことです。

セカンドインパクト症候群が危険な理由は、1回目、2回目の頭部外傷が重症でなかったとしても発症する可能性がある点です。
また、この症状で命を落とすリスクは30~50%と非常に高く、仮に一命を取り留めたとしても脳が損傷しているため、全身に後遺症があらわれることも少なくありません。

脳震盪を起こした場合は、たとえ軽度であってもすぐに体を動かしたりせず、必ず安静にすることが重要です。

どれくらいの期間様子を見ればいい?

セカンドインパクト症候群を防ぐためには、脳震盪を発症した後はすぐに意識が戻ったとしても1~2時間は横になって安静にし、受傷後1週間は特に症状がなくても運動などは避け、なるべく静かに日常生活を送るようにしましょう。
また、ラグビーなどのコンタクトスポーツを行う場合は、受傷後3~4週間は練習を控えるよう、アメリカ神経学会が勧告しています。

ただ、安静にするべき期間は年齢や症状などによって異なりますので、スポーツなどを再開する際には主治医から許可を得るようにしましょう。

セカンドインパクト症候群の治療

セカンドインパクト症候群では、急激に脳が腫れたり、急性硬膜下血腫などの重篤な状態を引き起こすことがあります。

治療方法は、どのような脳の障害が生じているかによって異なりますが、出血を除去するための開頭手術や、脳のむくみによる脳ヘルニアを防ぐために頭蓋骨の一部を切除して脳圧を下げる開頭減圧術などが行われます。
また、呼吸状態が悪化している場合には人工呼吸器などで呼吸管理を行う必要もあります。

このように、セカンドインパクト症候群は、致命的な脳損傷を引き起こすことがあり、治療も手術など身体の負担が大きなものになります。
手術によって一命を取り留めたとしても、運動麻痺や言語障害、意識障害などの重い後遺症をのこすこともありますので、セカンドインパクト症候群を発症しないよう、脳震盪後は慎重に様子を見るように心がけましょう。

おわりに:脳震盪の症状が軽くても、セカンドインパクト症候群を発症することはある

一般的に、脳震盪を起こしても脳そのものに器質上の問題が生じることはありません。しかし、後日ふたたび頭部に強い外的衝撃を受けてしまうと、セカンドインパクト症候群を発症するリスクがあります。
セカンドインパクト症候群になると、全身に後遺症が残る可能性があります。脳震盪を起こした後、しばらくは頭に衝撃を与えないよう静かに過ごすようにしましょう。

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