記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/23 記事改定日: 2018/7/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胸焼けは、食道付近にチリチリとした灼熱感や不快感、しめつけ感が現れることです。胃から消化液が逆流して炎症が起こることで発症します。この記事では、胸焼けの原因と発症を防ぐ方法について解説しています。
姿勢のことや食生活のことなど、すぐに始められることを紹介しているので参考にしてください。
「胸焼け」とは、みぞおちから肋骨の下あたりにある食道がチリチリと焼けつくように感じられたり締めつけられたりすることです。私たちにとって身近な症状のひとつで、胃酸が逆流して食道を刺激することで起こる炎症がもとになっています。胸焼けをともなう病気には、習慣化した暴飲暴食や加齢、肥満などを原因とする「逆流性食道炎(GERD)」があり、近年増加しています。
そのほか、ピロリ菌や慢性的なストレス、食べ過ぎ飲み過ぎによる「慢性胃炎」、ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤やステロイド薬などによって傷つけられた胃粘膜を胃酸や消化酵素が消化することで起こる「胃潰瘍」、同様に胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することで起こる「十二指腸潰瘍」があります。
妊娠初期には女性ホルモンのバランスが急激に変化し、妊娠時特有のhCGなどのホルモンも分泌されるようになります。このため、妊娠初期の頃には、食べ物を消化するために必要な胃や腸の蠕動運動が低下することがあります。
その結果、消化に時間がかかり、胃の中に長時間内容物が貯留することで胸焼けを引き起こすことがあるのです。長く続く原因不明の胸焼けは妊娠のサインかも知れません。心当たりのある人は妊娠検査薬で検査してみましょう。
日常生活の中で胸焼けを起こす原因として、暴飲暴食、脂っこいものなど消化しにくいものや刺激の強い食べ物、アルコールやタバコなどにより分泌された大量の胃酸が、食道に逆流するということがあげられます。また、加齢による筋力の低下が薄い筋肉でできている食道に胃酸を逆流させてしまう場合や、肥満によって筋肉がゆるんだ胃や食道に腹圧が加わって逆流させてしまう場合もあります。
そのほか、ストレスを受け続けることで胃腸をコントロールしている自律神経が乱れ過剰に分泌された胃酸が逆流する場合、常にアンモニアを出しているヘリコバクター・ピロリ菌が胃の粘膜を傷つけてることで慢性胃炎を繰り返している場合などがあり、ピロリ菌による慢性胃炎は粘膜が胃酸と消化酵素にさらされて胃潰瘍に進行していくこともあります。予防には肥満の解消、適度な運動、バランスの良い食事や食事量などの改善が大切です。
もうひとつ原因と考えられているのが、前かがみの姿勢を続けたり食後すぐに横になる、寝ころぶ姿勢が続くといった日常的な姿勢の問題です。胃よりも食道が下あるいは水平になることで胃酸が逆流して胸焼けを起こします。食後3時間ほどは逆流が起きやすいため上半身をしっかり起こした状態ですごし、就寝前の食事や夜食は控えることが大切です。
そして、腹部を外から圧迫しないよう、椅子に腰をかけて作業するときなどは背筋をしっかり伸ばし、ベルトや帯、コルセットなど腹部を締め付けるものの着用を避けるようにしましょう。
寝るときに胸焼けがする人は、背中に座布団や畳んだタオルケットを置くなどして上半身を20~30度高めにすると逆流を防ぎやすくなるので試してみてください。精神的なストレスも食道の働きを弱め胸焼けの原因になることから、好きな趣味の時間を持つとともに軽く体を動かして心身をリラックスさせることも大切です。
胸焼けは日常的に起きる症状ですが、生活習慣を見直すことで改善が期待できるといわれています。胸焼けが慢性化しているときは病気が隠れている場合があるので早めに診察を受けるようにし、生活習慣や食事環境、ストレス、そして姿勢にも気をつけて改善を心掛けましょう。