子供の睡眠時無呼吸症候群はどうして起こるの?

2018/1/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は不眠症の原因になるため、日中の眠気などから社会生活に支障が出ることも多い病気です。そして、SASは大人だけでなく子供にも発症する可能性があります。この記事では、子供の睡眠時無呼吸症候群(SAS)について詳しく解説していきます。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に無意識のうちに呼吸できない状況に陥ってしまう病気です。
発症すると睡眠中の大きないびきの他、一定時間呼吸が止まったり、低呼吸・無呼吸のために何度も目が覚めて睡眠不足となり、日中の眠気や倦怠感などの症状が出ます。

睡眠時無呼吸症候群には、睡眠時に気道がふさがれることで起こる「閉塞性」のものと、呼吸そのものが一時的に止まる「中枢性」の2種類があります。
一般的に知られているのは閉塞性のほうで、首やあごのまわり脂肪で気道の閉塞を起こしやすい肥満体系の人、特に女性よりも男性に多く発生すると言われています。
一方、中枢性のものは脳の機能異常と考えられていますが、はっきりとした原因は解明されていません。

子供の睡眠時無呼吸症候群:小児睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群を子供が発症するケースもあり、この場合は「小児睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれます。

小児睡眠時無呼吸症候群の原因は、のどの奥にあるリンパ組織であるアデノイドや口蓋扁桃(こうがいへんとう)が肥大したり、鼻炎による鼻づまりであることが多いといわれています。このため、発症年齢がリンパ組織の肥大がおこりやすい2~7歳に集中しているのが特徴です。
小児睡眠時無呼吸症候群の症状には、いびきや無呼吸状態の他、過度に呼吸を行おうとすることによる胸部の陥没や起床時不機嫌、昼間の眠気、多動、人格変化などがあります。

さらに、小児睡眠時無呼吸症候群は、子供の成長に必要な良質な睡眠を阻害するため、心身の成長や発達に深刻な悪影響を及ぼすことも分かっています。症状が長期間続くと、胸部が変形したり、慢性的な低酸素状態による精神と体の成長の遅れ、睡眠中に分泌される成長ホルモンの低下による低身長になる可能性があるのです。

どんな治療法があるの?

小児睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な治療法は、肥大しているアデノイドや口蓋扁桃を手術で取り除き、気道を確保する手術療法です。
アデノイドと口蓋扁桃が肥大しやすいとされる3~6歳の頃に切除手術が行われることが特に多く、通常1週間ほどの入院が必要といわれています。

ただし、高度の肥満や顔や顎の形成以上、神経に疾患があるために手術が困難な場合は、外科手術をせずに専用の機器を使った保存的療法がとられることもあります。保存的療法では、大人の睡眠時無呼吸症候群の治療でも用いられる「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)という治療法」が行われるのが一般的です。

おわりに:小児推移民時無呼吸症候群は外科手術で治療できる

成長に必要な良質な睡眠を奪い、子供の心身の健やかな成長を阻んでしまう小児睡眠時無呼吸症候群ですが、肥大している箇所を摘出すれば、大半は改善するといわれています。いびきなどの症状が出始めたら、できるだけ早く医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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