記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
アルツハイマー病は、脳の異変によって発症する病気です。現在のところ治療法は確立していませんが、初期症状に気づいて治療を始めると進行を遅らせることができるといわれています。この初期症状には、どのようなものがあるのでしょうか。
チェックリストを紹介していきますので、早期治療に役立ててください。
記憶や情報処理はもちろん、私たちの日常生活における動作など、あらゆる物事を司っているのが脳です。
アルツハイマー病はこの脳に不可逆的な異変が起こり、記憶や情報処理、日常生活の動作などに障害が出てくる脳の病気です。
脳に起こる異変とは、アミロイド斑の沈着や神経原線維変化のことで、これにより脳内で情報をやり取りしているニューロンが効率よく機能しなくなります。
ただ、アルツハイマー病がどのように始まるのか、なぜアミロイド斑が沈着したり、神経原線維変化が起きるのかはいまだ明らかになっていません。
しかし、発症するかなり前から脳の中では異変が発生しており、脳の障害も起こり始めているといわれています。
このような異変は、最終的には海馬や脳全体に広がるため、症状はどんどん進行していきます。
アルツハイマー病には、初期症状と考えられる症状があるのが特徴です。主な特徴として、以下の7つがあります。
高齢者の場合、このような症状は認知症と捉えられることも少なくありません。ただし、行為そのものを忘れる、失敗を繰り返し言い訳する、日付や曜日がわからなくなるといった症状が出てきた場合は、アルツハイマー病の初期症状と考えられるので注意が必要です。
更にアメリカのアルツハイマー協会では、アルツハイマー病のチェックとして10の項目を挙げています。
アルツハイマー型認知症は身体的な症状が現れにくく、認知機能の低下や人格・行動変化などの症状が前面に出やすいのが特徴です。また、それらの症状の自覚がないことも多い、周囲の人も「加齢による変化」と見過ごしがちになります。
アルツハイマー型認知症を根治する治療法はありませんが、早期に投薬治療やリハビリを行うことで症状の進行を予防することが可能です。思い当たる症状がある場合は、見過ごさずに専門の医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
アルツハイマー病は先にも述べたとおり、目立った症状が出てくる前から脳に異変が発生しています。そして、その異変は時間の経過と共に広がり、症状も重くなってしまいます。
アルツハイマー病は、現時点では完治は難しいとされている病気ですが、早期の段階で適切な治療を受ければ進行を遅らせることができ、自分らしい生活を続けることは十分に可能です。
ですから、アルツハイマー病に関しては、早期発見、早期に適切な治療を受けることが重要になってきます。
そのためには7つの初期症状や10のチェックリストに該当する項目があったり、自分やまわりの人に何かしら異変が見られた場合には、速やかに医療機関に相談することが第一です。
ちなみに、アルツハイマー病は高齢者だけでなく若い人でも発症することがあります。自分の家族やパートナーなどの身近な人に気になる変化が見られたら、年齢性別に限らず早めに病院に行くように促してくださいね。
アルツハイマー病は、今のところ明確な治療法は見つかっていませんが、初期症状の段階で治療を始めれば進行を遅らせることができます。
最近、身近な人の様子がおかしいと感じたり、今までなら絶対にやらなかったことをやってしまったりするなど、異変に気づいたら、念のため病院で診てもらいましょう。