記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
うつ病の人には「症状を悪化させない」ように接してあげる必要がありますが、どのような接し方をすればいいのでしょうか。
この記事では、うつ病の人への接し方の注意点について解説しています。うつ病の回復には家族や友人などのサポートが必要です。正しい心がまえを身につけ、回復の手助けをしてあげましょう。
うつ病の原因ははっきりとはわかっていませんが、一般的には患者本人の性格や考え方による「内的要因」と、ストレスによる「外的要因」が重なることによって起こると考えられています。
すべての人がそうとは限りませんが、生真面目で正義感・責任感が強い性格の人は、うつ病を発症しやすい「内的要因」と持っているといわれています。
「外的要因」は環境によるものが大きく、本人の意思や考えとは関係なく、外部から与えられるさまざまなストレスがうつ病の原因となる可能性を持っているのです。
うつ病は周囲からの不適切な接触によって症状が悪化することもあるので、身近にうつ病の人がいる場合には、接し方に注意が必要です。
接し方のポイントは、以下の通りです。
これらのポイントをうまく抑えて接するようにしましょう。
また、
などの変化が現れたときはうつ病が悪化している可能性があります。このようなサインが現れた場合には、なるべく早くかかりつけの病院を受診するようにアドバイスしましょう。
まずは、きちんと休養と睡眠をとり、栄養バランスの取れた食事をして、規則正しいリズムで生活を送れるようにサポートしてあげましょう。健康的な生活を送ることは、心身の調子が整いやすくなり、うつ症状の改善が期待できるといわれています。
また、発症の原因として心当たりのあるものからできるだけ離れるように気づかってあげてください。ただし、最初から全てをやろうとせず、できそうなところから少しずつ挑戦するように、きちんと見守ってあげましょう。
抗うつ薬を服用するときに守るべき注意点としては、抗うつ薬の効果がすぐにみられるわけではないことを理解し、必ず医師の指示を守って服薬することです。
抗うつ薬は、医師の指示を守り6か月以上の長期間にわたって服用することで、初めて効果を発揮するものといわれています。周囲の人は「きちんと指示通り薬を飲んでいるか」をチェックし、決して自己判断で薬量を増減させたり、服用を中止しないように見守りましょう。
うつ病治療では、投薬治療とあわせてカウンセリングによる治療も行われます。
カウンセリングは臨床心理士と患者の1対1で行われ、臨床心理士は基本的に患者の話に共感し、考えをそのまま尊重し援助します。
これは臨床心理士が患者の話にじっくりと耳を傾けることで、患者の問題に対する考え方や感情を整理し、今後のことを決める手助けを行うことを目的としているためです。
患者の意思や自主性が尊重されるため、実施する期間は人によって異なります。
カウンセリングは、うつ病の治療だけでなく、再発予防にも役立ちます。症状が治まるまで通い続けることはもちろんですが、治った後も定期的に通うように促してあげましょう。
うつ病になったら、早めに医療機関を受診させ、医師の指示に従い最後まで治療を続けることが大切です。ただし、接するときはプレッシャーを与えないように気をつけてください。日常生活において自分で気を付けられる部分は気を付けるようにさせつつ、医師の指示通り治療を続けているかをしっかり見守ってあげましょう。