記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
筋肉を鍛えることは運動のパフォーマンスを向上させるだけでなく、代謝アップにもつながります。また、ロコモやフレイルなどを防止するためにも、筋肉を保つ努力が必要です。
この記事では、筋肉を成長させるために必要なタンパク質以外の栄養素について説明していきます。
筋肉は、食事で摂取した栄養がアミノ酸に分解され、再構築されることで増えていきます。
そのため、どんなにトレーニングを積んでいても筋肉のもととなる栄養を摂取しなければ、筋肉は育たず、筋トレの効果も出なくなってしまいます。
筋肉を成長させるためには、エネルギー源となる炭水化物と脂質、筋肉の主成分となるタンパク質、体の調子を整えるビタミン、ミネラルの5つの栄養素をバランスよく摂取する必要があるのです。
ビタミンは筋肉の増強に欠かせない重要な栄養素です。
筋肉の増強に最も必要な栄養素はタンパク質ですが、ビタミンはその正常な代謝をサポートし、筋トレなどによる筋肉へのダメージを改善する作用を持ちます。
具体的には、水溶性ビタミンであるビタミンB群やビタミンCは筋肉の代謝を促し、筋肉増強をサポートします。ビタミンB1はエネルギー源である糖質の代謝を促す作用があるため、筋トレの際にもエネルギーを効率的に利用することができます。また、ビタミンB6は摂取したタンパク質から筋肉組織の生成をサポートする作用がありますので、特にプロテインなどと一緒に摂取すると良いとされています。
そして、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンEは、筋肉の酸化を防いでダメージから保護する働きがありますので、筋トレ後に積極的に摂りたい栄養素です。
炭水化物には、体と脳を動かす燃料としての役割と、タンパク質が体内で筋肉に変換されるのを助けてくれる働きがあります。
体を動かす主燃料である炭水化物が不足すると、体は筋肉をつくるタンパク質をエネルギー源として代用してしまうため、筋肉が成長しにくくなってしまいます。
つまり、炭水化物を適度に摂取しておくことで、筋トレによるタンパク質の消費を防ぎ、筋肉の増強を助けてくれるというわけです。
効率よく筋肉を成長させるためには、適量の炭水化物を摂取しましょう。
体脂肪の増加を抑えながら筋肉の肥大を最大限に促すには、内容だけでなく、食事をとる時間帯も重要な要素になります。
まず朝食は起床後トレーニングを行う前に、筋肉をつくるタンパク質を中心に摂るようにしましょう。
朝食は1日の活動のエネルギーにもなるので、必要な量をしっかり摂取するようにしてください。
朝食を抜いた状態でエネルギーが足りなくなると、体は不足したエネルギーを筋肉から得ようとしてしまいます。つまり、朝食を抜くことは、筋肉が痩せる原因になります。
昼食は、午後からの活動に備えて楽しみながらしっかり食事すべきタイミングです。
基本的に好きなものを食べて構いませんが、減量中の人は炭水化物を控えるようにしましょう。
また食後3~4時間以内にトレーニングを行う場合は、脂質を摂り過ぎると膨満感で運動パフォーマンスが上がりにくくなるので注意しましょう。
睡眠前の食事である夕食は、できれば就寝の3時間前まで、遅くとも22時までに脂質と炭水化物の少ないものを軽めに摂取するようにしてください。
筋肉は、筋トレだけでなく日々摂取する栄養によって成長、増強されます。筋肉の成長に効果的な食事方法やタイミングを知っておくことは、筋トレ成功の一因となり得るのです。
筋トレ成功と健康的な体を手に入れるために、食事や栄養素の知識は持っておきましょう。