(常染色体優性)多発性嚢胞腎の治療薬サムスカ®︎の使用法や副作用について

2018/2/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

多発性嚢胞腎は、腎臓に囊胞という袋がたくさんできたために腎臓の機能が低下してしまう病気です。これまで、多発性嚢胞腎に効果的な治療薬はないと言われていましたが、最近トルバプタン(サムスカ®︎)という薬が有効であることがわかっています。この記事では、トルバプタン(サムスカ®︎)を使った治療法とともに、副作用について解説します。

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)の特徴とは?

多発性嚢胞腎は、腎臓に囊胞(水分を溜めた袋)ができる病気です。袋がたくさんできて腎臓が大きくなった結果、腎機能が低下して透析や腎移植が必要になることもあります。多発性嚢胞腎の一部は常染色体優性遺伝をする病気で、両親のどちらかが異常な遺伝子を持っている場合、その子どもは50%の確率でこの病気の遺伝子を持って生まれます(したがってこれを常染色体優性多発性嚢胞腎、と呼ばれることもあります)。また、嚢胞は腎臓だけでなく、肝臓、胆管、膵臓、脾臓、卵巣などにもできることがあります。
これまで、多発性嚢胞腎には有効な治療薬はないとされていましたが、トルバプタン(サムスカ®︎)という薬が効果があることがわかってきました。次の項目から、トルパプタン(サムスカ®︎)について解説します。

多発性嚢胞腎の治療薬:「トルバプタン(サムスカ®︎)」の使用にあたって・・・

もともとトルパプタン(サムスカ®︎)は本来抗利尿ホルモン(ADH)の阻害薬として開発されていました。低ナトリウム血症(血液のナトリウム濃度が低い病態)などに対して水を選択的に体外に排出し、血液のナトリウム濃度を高める利尿薬として臨床応用されていました。しかし、この薬に多発性嚢胞腎の嚢胞が大きくなるのを防ぐ作用があることがわかり、使用できるようになりました。

トルバプタン(サムスカ®︎)は、使用前にこの薬の効能と可能性のある副作用について理解してから同意書にサインをする必要があります。しっかりと治療について理解するためには十分な時間が必要なので、1泊以上の入院をして、その間に治療方法や副作用についての説明を受けます。
同意書を書いたら治療が始まります。トルバプタン(サムスカ®︎)の服用は、最初は朝に45mg、夜に15mg服用します。その後、徐々に量を増やしていき、最終的には朝90mg、夜30mgまで増量します。こうした服用方法により、薬の作用が急激に効きすぎるのを防ぐのと同時に、副作用にすぐ気づけるようになります。

「トルバプタン(サムスカ®︎)」の副作用について

トルバプタン(サムスカ®︎)の副作用のひとつに、脱水症状があります。排尿量が増えて体内の水分量が少なくなってしまうためです。脱水状態になると電解質のバランスが乱れるため、高ナトリウム血症になることがありますが、これは血液検査をすればわかります。また、脱水状態になることと関連して、のどの渇きを強く感じる副作用が出ることもあります。
このほか、肝機能障害が出ることもあります。肝機能も血液検査で見つけることができるので、定期的(月1回以上)血液検査を行い、副作用があらわれていないかを早期発見できるようにします。

おわりに:主治医の説明をよく聞いてトルバプタン(サムスカ®︎)を服用しよう

多発性嚢胞腎の治療で使われるトルバプタン(サムスカ®︎)は、どのように服用するかや、副作用について医師から説明を受けます。この薬は徐々に服用量を増やしていきますので、事前の説明をしっかりきいて、決められたとおりに服用するようにしましょう。また、副作用について疑問点があれば、医師に聞くことも大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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