記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アルコール依存症とは、お酒を飲む量などのコントロールができない状態であり、さまざまな離脱症状(禁断症状)が現れることです。この記事では、アルコール依存症の危険性について解説しています。
アルコール依存症とは、生活において飲酒を何よりも優先させてしまう状態のことです。
人には、家族や仕事、趣味などさまざまな大切なものがありますが、アルコール依存症になってしまうと、それらのなかで飲酒を最優先させてしまいます。
そして飲酒の量やタイミング、状況がコントロールできなくなり、次第にアルコールが切れたときに離脱症状(禁断症状)が現れはじめ、自殺や家庭内暴力、借金や失業などの社会問題を引き起こし、通常の社会生活が送れなくなることもあります。
アルコール依存症を放置してアルコールの大量摂取を長期間続けることは、臓器障害を併発するおそれがあります。
臓器障害のなかで特に多いといわれているのが、肝機能障害です。その他にも、アルコール性脂肪肝やアルコール性肝炎、アルコール性膵炎を発症する可能性があります。
膵炎を発症すると、インスリン分泌ができなくなり、糖尿病になるリスクが高まり、アルコールは脳にダメージをあたえるため、記憶障害等の認知症を発症するおそれもあるのです。
そして、アルコールが切れたときに起こる離脱症状も非常に危険です。手の震えや、発汗、吐き気などの自律神経系の症状と、不眠や不安、イライラなどの精神的な症状が発作として起こりますが、離脱症状が重症化すると、幻聴や幻覚、意識消失やけいれん等が起こることもあるのです。
アルコール依存症の診断は、ICD-10をガイドラインに行います。6つの項目に対して、過去1年間で3項目以上が同時に1ヶ月以上続いたか、もしくは繰り返し出現した場合は、アルコール依存症と診断されます。
(1)飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感
(2)飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難
(3)禁酒あるいは減酒したときの離脱症状
(4)耐性の証拠(ひどく酔っ払うための飲酒量が以前より増えている、もしくは同じ量では酔いにくくなっている)
(5)飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの回復に要する時間が延長
(6)明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒してしまう
アルコール依存症になるかどうかは、飲酒の量と期間が影響しています。1日当たり、ビール1.5リットル、日本酒にすると3合程度を飲み続けると、10~20年でアルコール依存症になってしまうといわれています。
家族や友人から飲み過ぎだと頻繁に言われたり、仕事中や昼までも飲みたいと強く感じたり、体調不良でも飲酒をしてしまったりという症状がある場合には、アルコール依存症になっている可能性があります。自己判断せずに早期に病院を受診しましょう。アルコール依存症は早期発見、早期治療が重要です。
アルコール依存症は、本人だけでなく家族や周囲の人を巻き込んでしまう病気です。依存症になってしまうと自分の意志だけでは、飲酒をコントロールすることは難しいです。専門的な治療が必要になります。しっかりと医師の指導を受けるようにしましょう。