記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/6 記事改定日: 2018/11/21
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
逆流性食道炎は食道がんのリスクを高める原因とされています。そしてピロリ菌を除去すると、逆流性食道炎になりやすくなるといわれています。この記事では、逆流性食道炎とピロリ菌の関係について解説しています。
ピロリ菌とは、胃の中に生息する細菌です。
ピロリ菌に感染すると、胃が慢性的に炎症し胃の粘膜がダメージを受け、胃炎や胃潰瘍などの病気の原因になります。
日本におけるピロリ菌の感染率は、衛生環境の改善やピロリ菌の除去治療が進んだことにより、低下してきました。
その一方で、増えてきたのが、逆流性食道炎です。
逆流性食道炎とは、酸性度の強い胃液が食道に逆流し、食道にとどまることで、食道が炎症を起こすことです。食道が炎症することで胸の痛みなど、さまざまな症状が起こります。
もともと、日本は逆流性食道炎が少ない国といわれていましたが、近年罹患数が増えてきています。
ピロリ菌によって胃に炎症が起こると、胃酸の分泌が少なくなります。
ピロリ菌を除去すると胃酸の分泌が増えるため、逆流性食道炎になるリスクが高くなる可能性があると考えられています。
つまり、日本のピロリ菌感染率の低下が逆流性食道炎を増やす要因のひとつとする説もあるということです。
ただ、逆流性食道炎が増えている主な要因は、食生活の変化という考え方が主流です。
逆流性食道炎は、胃酸の分泌量が過度に増えることで、胃液や胃の内容物が逆流することで起こります。
日本人の食生活が欧米化し脂肪分が多い食事が増えたことで、胃酸の分泌量が増加したことで逆流性食道炎が増えた考えられています。
その他にも、たんぱく質の多い食事や老化、猫背でお腹を圧迫することなどが原因になることもあります。
逆流性食道炎が増加することによる一番の問題は、食道が炎症を起こして食道がんのリスクが上がることです。一方でピロリ菌を除去しないと、胃炎を起こしやすくなるため胃がんのリスクが高まります。
日本人は、食道がんになりにくい体質であるといわれており、ピロリ菌を放置して胃がんのリスクを高めるよりは、ピロリ菌を除去して胃がんのリスクを低減した方が、健康や寿命には良い影響があると考えられています。
また、仮にピロリ菌を除去することで逆流性食道炎が発症したとしても、一時的なもので、症状も軽度な場合が多いです。そのため現在は、胃がんや胃潰瘍などのリスク軽減を重視し、ピロリ菌除去治療が優先されているといわれています。
ピロリ菌の除菌治療を行う事で一時的に逆流性食道炎が生じることがあります。
多くは軽症なもので、食後すぐ横にならない、油物など消化に時間がかかるものを控えるなど日常生活上の対策を行うことで改善します。
しかし、胸の痛みや胸焼け、吐き気などの症状がひどい場合には、胃酸を抑えるための胃薬の服用が必要になるケースもあります。
ピロリ菌を除去すること逆流性食道炎になったとしても、症状は軽度で、一時的な場合が多いです。逆流性食道炎を恐れるあまり、ピロリ菌の除去をためらう必要ありません。むしろ、ピロリ菌を放置することで胃炎や胃がんのリスクが高くなります。ピロリ菌に感染していると分かったときは、医師の指示にしたがって適切に治療を行いましょう。
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