記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こります。胃酸が逆流すると、酸っぱいものがこみ上げてくる、げっぷがたくさん出るなどの不快感に悩まされてしまうことがあります。
そうした逆流性食道炎の症状が辛いとき、とりあえずの対処としてはどんなことに気をつけたら良いのでしょうか?食べ物と日常生活の両方の観点からご紹介します。
逆流してきた胃酸によって胸焼けやげっぷが出てしまう症状が辛いとき、避けた方がいいのは胃酸を多く分泌させたり、胸焼けの症状を悪化させたりして胃酸を逆流させやすくしてしまう食べ物です。主に以下のような食べ物に注意し、できるだけ控えるようにしましょう。
胃酸を多く出さないようにし、逆流しづらくするためには、食事の内容だけでなく、食べ方を見直すことも大切です。具体的には、以下のようなことに気をつけましょう。
満腹感を得るほどたくさん胃に食物を詰め込むと、それだけ消化に必要な胃酸が分泌されるだけでなく、胃の入り口である食道下部括約筋がゆるみやすくなります。逆流性食道炎を繰り返しやすい人は、食事は必ず腹八分目を心がけましょう。
逆流性食道炎は、胃酸の逆流によっておこります。そのため、胃酸の逆流しやすい姿勢をとらないことも重要です。具体的には、以下のようなことに注意しましょう。
猫背など前かがみの姿勢になると、腹圧が上がって胃が圧迫され、胃酸が押されて逆流しやすくなります。座るときは背筋を伸ばし、長時間前かがみの姿勢で作業するようなことはできるだけ避けましょう。同様に、ベルトやコルセットも締めすぎると腹圧がかかり、胃酸が逆流しやすくなります。
寝るときは、少し上半身を高くして胃よりも食道の方が高い状態にしておきます。こうすることで、重力に従い逆流を起こしにくくします。胃は体の中で左上から右下へと繋がっている消化管なので、体の左側を下にしないことも有効です。また、食後3時間くらいは胃の内容物の逆流が起こりやすいため、寝る直前に食事を摂ることもできるだけ避けた方が良いでしょう。
タバコも食道下部括約筋をゆるめてしまい、胃酸の逆流を起こしやすくしてしまいます。また、タバコを吸うときに息を深く吸い込むことや、煙などで咳き込むことも胃酸の逆流につながると考えられています。
実際に、逆流性食道炎の患者さんに禁煙治療を行ったところ、禁煙に成功した人は逆流性食道炎の頻度が43%低下したとの報告もあります。喫煙の習慣のある人は、禁煙することがおすすめです。
食事や姿勢など、生活習慣の改善をしても治らないときは、病院での治療が必要です。生活習慣の改善で症状が改善されない場合、次に取られる方法は薬物療法です。逆流性食道炎の治療には、以下のような薬が使われます。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)は、逆流性食道炎で最も多く使われる薬剤で、胃酸分泌抑制剤としては最も強力といわれています。胃の中で胃酸が分泌される際、最後にプロトンポンプという仕組みを通りますが、その最終段階を阻害することで胃酸を抑える作用を発揮します。
H2ブロッカー(H2受容体拮抗薬)は、胃酸の分泌に関わるH2受容体というタンパク質の働きを抑えることで胃酸の分泌を抑制します。しかし、PPIと比較して胃酸分泌の抑制作用が弱く、逆流性食道炎の人には効きにくいことが多いため、PPIよりも用いられる頻度は少ない薬剤です。
制酸剤は、胃酸を中和する薬剤で、PPIやH2ブロッカーなどの胃酸分泌抑制剤と併用して使われることが多いです。また、食道の運動機能を改善して逆流した胃酸を押し戻したり、胃の運動機能を改善して排出を促したりするため、消化管運動機能改善薬を使うこともあります。
逆流性食道炎は非常に再発性が高いため、これらの薬の内服をやめてしまうとすぐに症状が再発してしまいます。決して自己判断で飲むのをやめないようにしましょう。
また、これらの薬剤を使っても症状が治まらない場合や、食道狭窄・短食道などの合併症がある場合には、手術療法の適応となります。
胃酸の逆流は重力に逆らって起こるわけではありません。そこで、そもそも胃酸の量を増やさないことと、消化管の上から下への流れに逆らわないような姿勢を保つことが重要です。
暴飲暴食をしないことはもちろん、消化の悪いものや刺激物、前かがみの姿勢や必要以上に腹圧をかけるベルトなどの締めつけ避けましょう。また、こうした生活習慣の見直しを行っても治らない場合は、無理をせず医療機関に相談することも大切です。
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