むくみと血尿は腎臓の病気のサイン!?急性腎障害に気づく方法とは

2018/2/8 記事改定日: 2018/10/1
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

急性腎障害などの腎臓の病気は、初期症状に気づきにくい病気です。そのため、治療のタイミングが遅れてしまうことも多く、QOL(生活の質)が著しく下がってしまうことも少なくありません。
この記事では、むくみや血尿をはじめとした、腎障害の代表的な症状を紹介します。急性腎障害のような、早期の対処が必要な病気の早期発見に役立ててください。

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腎臓が悪いとむくみが出るのはなぜ?

腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する器官です。このため、腎臓の病気や腎機能障害がある場合には、これらのろ過機能が正常に作用しなくなり、体内に老廃物や余分な水分が溜まりやすい状態となります。その結果、体内の水分量が増えてむくみが生じるのです。

むくみが生じる原因には様々なものがありますが、腎臓が悪いことで生じるむくみは、体の一部ではなく顔や足、手など全身に生じるのが特徴です。特に顔がむくみやすく、瞼が腫れている・目が開けにくいなどの症状を自覚することが多いです。

腎臓の病気で血尿がでる理由とは?

血尿とは、肉眼的にも尿が赤褐色~赤色で血液の混入が分かるものです。血尿は腎臓の病気が原因であることもあります。腎臓は、血液をろ過して尿を生成する臓器ですが、血液をろ過するのは腎臓の中の「糸球体」と呼ばれる多数の微細な血管が塊となった部位です。この糸球体に炎症などが生じると出血を生じて血尿が出ることがあります。

血尿は他にも尿路結石や膀胱の病気でも生じますが、腎臓が原因の血尿はやや色が薄めで、はっきりと血尿とわからないことも多いのが特徴です。

急性腎障害など、腎臓の病気のサインになる症状をチェックしよう!

腎臓の病気の兆候として代表的なものは、上記で紹介してむくみや血尿ですが、下記のような症状も代表的なサインとして現れることがあります。このような兆候が症状として現れるかどうかには個人差がありますが、気になる方は念のためチェックしておきましょう。

むくみ

上記でも説明したように、腎臓が原因の場合のむくみは、左右対称にでき、患部を指で10秒程押すとへこみが残ります。初期では、足のくるぶし辺りに多くみられ、全身にむくみがひろがり体重が5キロ以上増えると、肺の中に水が溜まることもあるため、緊急対応が必要となります。

尿に関する症状

代表的な尿症状は血尿ですが、血尿以外にも尿に関する症状が現れることがあります。
1日当たりの尿量が、2500ml以上になること多尿や頻尿などはよく見られる症状です。ちなみに、頻尿は1日8~10回以上、夜間2回以上トイレに起きることをいいます。さらに症状が進行すると尿量は低下する乏尿に発展します。

体のだるさ

末期の腎不全で起こる症状です。全身にだるさを感じ始めると透析などの代替療法が検討されることがあります。

貧血

腎臓の不調で動悸や息切れ、めまい、立ちくらみなどの症状が現れることがありますが、これらは進行が遅く、どちらかというと気づきにくいサインです。

急激に腎機能が低下する、急性腎障害とはどんな病気?

急性腎障害は、初期症状を自覚しにくい病気のため、ただの体調不良と思って病院を受診したときの検査で発見されることもあります。

自覚症状としては、尿量の減少や無尿、血尿、浮腫、食欲不振、全身の疲労、意欲低下、痙攣などが現れますが、はっきりと出ないことも多いです。血液検査などで急性腎障害を疑われた場合に、腹部超音波検査や腹部CTなどの検査が行われます。

急性腎障害は、腎前性、腎性、腎後性の3種類に大別されます。

腎前性

腎前性は、全身の血液循環が悪くなり、腎臓へ流入する血液量が減るため、腎臓で血液をろ過する機能が低下します。出血、心不全、心筋梗塞、動脈硬化、副腎不全、ネフローゼ症候群、火傷などの病気が原因です。

腎性

腎性は、腎臓そのものが感染や癌、薬剤などにより障害を受けて機能低下するものです。薬剤アレルギーや急性尿細管壊死、重金属、多発性骨髄腫などの病気が原因で発症します。

腎後性

腎後性は、尿の流れ道が前立腺の肥大やがんにより障害を受け、尿が上手に排出できずに腎機能が低下します。尿道閉塞、前立腺肥大症などが原因になります。

おわりに:急性腎障害などの腎臓の病気は、サインに気づくことが大切

急性腎障害の治療は、サインに早い段階で気づき早期治療で合併症を防ぐことが重要です。進行が進めば、透析治療などで生活に支障の出る場合もあり得ます。もし何らかの症状に気づいた場合は、すぐに医療機関を受診して検査を受けてみましょう。

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