記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/7 記事改定日: 2018/10/1
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
今回は代表的な腎臓病や、腎臓病の悪化を防ぐための注意点をお伝えしていきます。
腎臓病の症状や食事・運動などで気をつけるべきことを詳しく説明していきますので、早期発見と正しい治療に役立ててください。
腎臓は、血液をろ過して血液中の老廃物や余分な水分から尿を生成して排出するための器官です。このため、腎臓の病気を発症すると、これらのろ過機能が上手く作用せず、体内に老廃物や過剰な水分が溜まりやすくなります。
その結果、むくみや倦怠感、疲労感などの症状が引き起こされます。場合によっては、一時的に尿の量が増えることもありますが、徐々に腎臓の機能が低下していくと尿の量が減少し、さらにむくみが強くなって高血圧や心不全や肺水腫などの重篤な病気を合併することも少なくありません。また、老廃物の蓄積によって食欲不振や嘔吐、頭痛などの症状を引き起こし、最終的には意識障害から死に至るケースもあります。
腎臓の機能が正常に働かなくなる病気である腎臓病には、大きく分けて二つの種類があります。
ひとつめは腎臓そのものに炎症が起こり、腎臓の機能が低下したものです。代表的な例は、糸球体や間質などの腎臓の中の部位に炎症が起こる腎炎です。腎炎は炎症によりタンパク尿や血尿が出る病気の総称で、これを原発性の腎臓病といいます。
もうひとつは特定の病気などがきっかけで、二次的に腎臓の機能が悪くなったタイプのものです。例えば糖尿病になると、体中の血液が高血糖の状態になり、その血液が腎臓の糸球体を通ることで、糸球体の血管が硬くなり壊れやすくなります。それが続くうちに破壊された血管が多くなり、腎臓の機能が低下することがあるのです。なお、糖尿病以外にも痛風や高血圧、膠原病などが原因となって腎機能が低下することがあります。これを続発性の腎臓病といいます。糖尿病性腎症や腎硬化症、痛風腎がこれにあたります。
腎臓病の代表的な例としては、「急性腎炎」「慢性腎炎」「急性腎不全」「慢性腎不全」「ネフローゼ症候群」「糖尿病性腎症」があります。
腎臓病は、治療をしっかりと行うことや早期に発見することで重症化を防ぐことが重要です。そのためには、定期的に通院して検査を受けることで、症状が悪化していないかをチェックし、腎臓の状態に合わせた治療を受けることが大切です。
まず薬が処方されているときには、医師の指示通りの使用法をきちんと守って、薬の効果が最大限に発揮されるようにしなくてはいけません。薬は使用法を間違えると効果が半減してしまいます。必ず医師の指示を守って使うようにしましょう。
そして、医師の指示通りに食事制限することがとても重要になってきます。腎臓の状態と食べた食事の内容はとても深く関わっているため、毎日の食事が腎臓に与える影響も非常に大きくなるのです。正しい食事療法を行わないと、腎臓病が急激に悪化してしまう恐れがあります。
腎臓病や腎機能が低下した人は、食事と運動に注意する必要があります。それぞれの注意点は以下の通りです。
腎臓に負担をかけないように、たんぱく質と塩分を控える必要があります。また、エネルギーが不足すると、筋肉など体内のたんぱく質が分解されて腎臓に負担がかかるため、通常より高エネルギーの食事を心がけましょう。
腎機能が高度に低下すると、カリウムや水分を制限する必要も出てきます。
運動のしすぎは筋肉中に含まれるたんぱく質が分解される原因となり、腎機能の悪化につながることがあります。しかし、腎機能の状態によっては、運動に制限のない場合や、適度な運動なら可能な場合もあります。過度な運動制限は腎臓病以外の病気を引き起こすこともあるので、自己判断で過度な運動制限を行うのはやめましょう。
腎臓病の人は、食事・運動ともに制限が必要な場合もありますが、制限の程度やどのような内容の制限をすればよいかは腎機能の状態は腎臓病の種類によって異なります。自己判断で食事療法や運動療法を行うのは非常に危険ですので、必ず医師や理学療法士、管理栄養士などの指示に従って行うようにして下さい。
腎臓病にはたくさんの種類がありますが、いずれの病気であっても、腎機能の悪化を防ぐためには、医師の指示通りに服薬と食事療法を続けていくことが大切です。
また、激しい運動は危険が高まりますが、急性期を過ぎた後は適度な運動も必要になります。どのように治療を進めていけばいいかを医師と相談しながら、気長に治療を続けていきましょう。
この記事の続きはこちら