記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/16 記事改定日: 2019/6/4
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
劇症肝炎とは、急性肝不全とも呼ばれている肝臓疾患です。急性肝炎が悪化することで発症し、進行すると意識障害などの重篤な症状が現れます。
この記事では、劇症肝炎の原因と治療について解説しています。
劇症肝炎は様々な原因によって重度の肝機能低下や意識障害、肝性昏睡などが起こる病気です。劇症肝炎の初期症状は、通常の急性肝炎と大きな違いがありません。発熱や倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などが現れます。また、尿の色が濃くなり黄疸が現れます。
そこから意識障害が出現する日数で、2つの型に分かれます。10日以内に現れる急性型と、11~56日以内に現れる亜急性型です。さらに2~3日で現れる場合は、超急性型と呼びます。亜急性型の方が予後は悪いです。
亜急性型では、あまり自覚症状がなく黄疸や腹水が段々と増えていき、あるとき突然意識障害が現れるということも珍しくありません。
肝移植を含めた治療後の生存率は、急性型が約50%亜急性型が約40%とされていますが、発症の原因によって変わってきます。
劇症肝炎の原因の多くは、薬物アレルギーやウイルスの感染、自己免疫性によるものとですが、原因のすべてが解明されているわけではありません。
ウイルス感染の大半は、肝炎ウイルス(A型~E型)によるものであり、国内ではB型肝炎ウイルスによるものが多いといわれています。
劇症肝炎の治療の目的は、肝性脳症などの合併症を防ぐことです。壊れた肝細胞が再生するまでは、人工肝補助で合併症の発生を防ぎます。人工肝補助は、肝機能低下による体内に溜まった中毒性物質(アンモニアなどの肝性脳症の原因になる物質)を取り除き、足りない物質を補充することを目的に行います。
また、原因となるウイルスが明らかな場合は、抗ウイルス療法を展開します。
劇症肝炎の治療は3種類に大別されます。
劇症肝炎を予防するためには、急性肝炎の段階でできるだけ早く治療や経過観察を行うことが大切です。
そのためには、発熱・全身倦怠感・食欲不振・吐き気などの肝炎の初期症状を見逃さないことが大切です。また、目や皮膚、尿の黄染、皮膚のかゆみなどが現れた場合は肝炎が進行している可能性もあるため速やかに病院を受診しましょう。
ウイルス性肝炎は劇症化することもあるため、一度は肝炎ウイルス検査を受けて感染の有無をチェックするようにしましょう。特に人の血液や体液に触れる機会の多い職業の人は、B型肝炎の予防接種を受けるようにしてください。
原因が不透明な点の多い劇症肝炎について紹介しました。生存率は、発見の時期に大きく影響されます。子供の発症例もあるので、疑わしい症状があるときは、必ず医療機関を受診してください。