しびれは薬剤や漢方薬で治すことができる?

2018/2/9

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

時々起こる、手や足のしびれ。こういったしびれは、薬や漢方薬で治療可能なのでしょうか?注意すべきしびれのタイプも含め、解説していきます。

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「しびれ」が起こるのはどうして?

しびれは触覚や痛覚、温度覚などの知覚神経の障害によって起こります。ピリピリしたりチクチクしたりといった感覚を伴います。

しびれが起こったら、体のどの部分がしびれているかを特定することが大切です。なぜかと言うと、障害が起こっている場所が分かるからです。脳や特定の神経は体の半分だけを支配しているので、通常はしびれや痛みには左右差があります。しかし、全身に不規則にしびれがあった場合、左右対称にしびれや痛みがあった時は、何らかの病気の可能性があります。

しびれと一緒にこんな症状が現われたら注意!

普段から頭痛やめまいなどの症状がよく起こる人もいるかもしれませんが、頭痛やめまい、吐き気がしびれとともに見られた場合は注意が必要です。

この他にも、意識がもうろうとしたり、しびれが突然始まったりする場合は要注意です。また、顔面だけではなく、体の半身にしびれが突発したり、ろれつが回らなかったり、しびれの数週間前に発熱があったり、運動麻痺や排尿障害があったりする人は、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

なぜかと言うと、上記のようなしびれは脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの脳卒中のサインの可能性があるからです。この他にも脳炎や髄膜炎、ギランバレー症候群や多発性硬化症などの可能性があるので、普段から危険な症状が現れていないかどうか注意しておきましょう。

しびれの治療の進めかたと治療薬について

しびれの症状や原因によって、処方される薬や治療法は異なります。例えば、末梢神経の障害が原因の場合は、神経の修復を助けるビタミン剤(Vit. B6など)が処方されます。血流低下が考えられる場合は、手足の血流を促進する薬が使われます。抗うつ薬や抗てんかん薬などが効果的な場合があります。

しかし、重篤な疾患が原因の場合には、手術が必要になることもあります。

漢方薬でしびれを改善させることはできる?

漢方薬でも改善が期待出来ることがあります。

まず、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)という漢方薬です。牛車腎気丸は筋肉や骨に栄養分を与えて水分代謝を良くする八味地黄丸(はちみじおうがん)というものに、体を温めて血行を良くする生薬や余分な水分を排出する生薬を加えたものです。他にも尿量減少や腰痛、下肢のむくみや痛みにも効果があるとされます。

また、桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)という漢方薬もおすすめです。桂枝加苓朮附湯は、痛みの原因になっている冷えや湿気などを追い出して、体を温めながら血流を良くしてくれるので神経痛の改善効果があるとされます。桂枝加苓朮附湯は、手足がしびれて冷たくなったりこわばったりした時に使われます。神経痛や関節痛にも有効と言われています。

おわりに:しびれの原因によっては、薬で治療可能なケースも

しびれが現れる部位やしびれの原因はさまざまで、中には脳卒中などの重篤な病気が隠れているケースもあります。血行不良や末梢神経の障害によるしびれの場合は、薬や漢方薬で改善が見られることがあるので、しびれにお悩みの方は一度専門外来を受診することをおすすめします。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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