潰瘍性大腸炎の治療薬の種類と、使い方の違いとは?!

2018/2/26 記事改定日: 2018/10/9
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

国の難病に指定されている「潰瘍性大腸炎」。この潰瘍性大腸炎に効果的な新薬が認可され、現在も新薬の開発が続けられています。
以降では新薬の情報と、潰瘍性大腸炎の代表的な治療法をまとめてご紹介します。

潰瘍性大腸炎の治療で使われる薬剤とは?

潰瘍性大腸炎の治療で用いられる薬剤は、炎症を抑えるものが中心となります。

5-アミノサリチル酸製剤
5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤:メサラジン)は、小腸や大腸の中で局所的に働き炎症を抑える薬です。軽〜中等症の潰瘍性大腸炎の基本的な治療に用いられます。下痢や吐き気といった副作用が生じることがあります。
ステロイド薬
さまざまな炎症性疾患の治療で用いられます。ステロイドは人間の体内にあるホルモンの一種です。強く炎症を抑える作用があるため、炎症の激しい時期の治療に用いられます。顔のむくみ(ムーンフェイス)や多毛の他、うつ症状などの副作用が生じることがあります。
免疫調節薬・抗体製剤
過剰になっている免疫反応を抑える薬です。ステロイドでも抑えきれない症状の際に選択されることがあります。元々は臓器移植や白血病の治療で用いられていた薬で、尿量の減少や、むくみ、血圧の上昇などの副作用が生じることがあります。

いずれの薬剤においても、使用することで予期しなかった反応や副作用が起こるリスクは否定できません。安易に使い続けるのではなく、医師の定期的な診察・評価のもとで使用を検討していくことが必要です。

代表的なメサラジン治療薬、ペンタサ®・アサコール®・リアルダ®の違いとは!?

現在日本で発売されているメサラジン治療薬には、3つの種類があり、それぞれ効果の現れ方などが異なります。3つの特徴は以下の通りであり、患者さんの生活スタイルや症状によって使い分ける必要があります。

ペンタサ®

剤型は錠剤、顆粒剤、座薬、注腸剤など多様です。大腸の炎症細胞から放出される活性酸素や炎症性物質の合成を抑えることで、大腸粘膜の炎症を和らげる効果があります。
ペンタサ®は服用して一定時間が経過すると、体内で溶解して有効成分が放出されます。このため、大腸に到達する前の小腸の段階で溶解が開始されるケースも多く、特に大腸の奥に届く頃には薬効が減弱していることもありますので、効果はやや弱めと考えられます。

アサコール®

ペンタサ®と同じく、大腸の炎症細胞に働きかけて炎症を抑える効果があります。
効果や作用機序はペンタサ®と変わりませんが、薬剤の表面をコーティングしている成分が異なり、「pH依存性」の性質を持ちます。胃や十二指腸、小腸は胃酸の影響で大腸よりもpHが低い状態にありますが、アサコール®は低いpHの環境下では溶解しないため、有効成分が全て大腸内で溶解されます。このため、より効果が高い治療薬と言えるのです。

リアルダ®

最も新しいタイプのメサラジン治療薬です。アサコール®と同じく、pHに依存するコーティング剤を使用しているため、大腸に到達するとコーティングが崩壊して有効成分が放出されます。しかし、コーティング剤の中身は親油性と親水性成分でさらにコーティングされており、大腸内の水分を親水性成分が吸収してゲル化することで少しずつ有効成分が放出されるため、大腸全域に効果が期待できるようになり、直腸部の病変にも高い効果が現れます。

潰瘍性大腸炎の新薬の登場

これまで直腸に直接注入する薬剤は、投薬時の使いやすさが課題となっていました。今回認可された新薬は日本初の注腸フォーム剤です。肛門注入時にワンプッシュするだけで、直腸からS字結腸まで注入することができ、炎症部位へ直接作用させます。

さらに、注入時の姿勢についても利便性が高まっています。これまでの製剤は液状で肛門から流れ出やすく、注入時には横になる必要がありました。しかし今回の新薬は泡が腸管内にとどまりやすいため、立ったままで使用することが可能です。肛門から流れ出して下着や衣類を汚すということも避けられます。

現在さまざまな製薬メーカーが新薬の開発に携わっていることから、今後さらに使いやすく効果が出やすい治療薬の登場することに期待が寄せられています。

潰瘍性大腸炎は薬だけで治せる?そもそも治療の目的は?

潰瘍性大腸炎の完治に向けた治療法については未だ確立されていませんので、現在の潰瘍性大腸炎の治療の方針は、早期に炎症症状を抑え、寛解した状態を維持することが目標となります。

治療の中心は薬物療法です。活動期には炎症を抑える薬剤が用いられ、症状が落ち着いてきた寛解期には症状が再び強くならないよう維持するための薬剤が用いられます。

しかし、症状の重症度によっては薬物治療ではなく外科的な治療が選択されることがあります。また、大腸穿孔、大腸がんを伴い内科的治療が難しいとき、あるいは薬物治療の効果が低いときなどにも外科的な手法が検討されることがあります。

おわりに:新薬で生活の質(QOL)の向上が期待できる

現段階では潰瘍性大腸炎の完治は難しく、症状が激しい初期には外科的な治療も選択されることがあります。寛解後も長期的に症状や治療と付き合っていく必要があることから、毎日の生活が楽に過ごしやすくなることも大切なことです。効果は保たれながら使いやすい薬剤の選択肢が増えることは、生活の質を高めることに繋がるのではないでしょうか。

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