記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/28 記事改定日: 2018/10/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
急性膵炎とは、何らかの原因で膵酵素が活性化された結果、酵素が膵臓自身を消化してしまう病気です。急性膵炎の再発を繰り返すと、慢性化してしまうことがあります。
この記事では、急性膵炎の慢性化のリスク要因と、慢性化を防ぐ方法をご紹介していきます。
急性膵炎は、何らかの原因で膵臓にある膵管の内圧が上昇したり、膵液分泌が過剰になるなどして膵酵素が活性化され、その膵酵素によって膵臓自身を消化してしまう病気です。
急性膵炎の発症原因として最も多いのがアルコールの過剰摂取で、次に多いのが胆石が膵液の出口を塞いだために発症するケースです。また、原因不明の突発性の膵炎もあります。
主な症状は膵臓の浮腫や出血といった急性の炎症で、上腹部に激しい痛みを訴えたり、吐き気や嘔吐を生じたり、発熱を伴ったり、痛みが背中にまで出たりすることもあります。
急性膵炎の多くは軽症から中等症で、絶食と禁酒、そして点滴治療などを行えば順調に回復します。ただし、発症してから3日ほどは経過観察しながらの治療になるため、入院が必要と言われます。また、まれに膵臓に血流障害が生じて出血が起こって重症化し、呼吸や循環・腎不全といった多臓器不全感染症を併発するケースもみられます。
急性膵炎は適切な治療を行ったとしても再発を繰り返しやすく、約1割の人が5年以内に慢性膵炎に進行するとされています。
急性膵炎が慢性化する原因には、以下のものが挙げられます。
このように、急性膵炎が慢性化するには生活習慣や病気が関わっているケースが多々あります。慢性化を防ぐためにも、禁酒をはじめとした適切な生活習慣を心がけ、慢性化のリスクとなる病気の治療を行っていくことが大切なのです。
慢性膵炎は、膵炎の中でも毎日の生活習慣とのかかわりが深いと言われています。特に、長年にわたるアルコールの過剰摂取が発症リスクを高めます。慢性膵炎が発症しやすくなる飲酒量は、日本酒の場合は約3合、ビール大瓶なら3本と言われていますが、実際には週に3日以上(1回1合以上)のアルコール摂取で発症した人も多くいます。
胆石などによって発症する慢性膵炎の場合、脂肪分の多い食事が原因と言われています。食べ過ぎた後や脂っこい食事を摂った後、またはケーキなど脂肪分の多いデザートを食べた後に痛みが出ることもあります。食後に痛みが出るタイプの膵炎の場合、1回ごとの食事を減らして小分け(1日4~5回)にして摂ると良いとされています。揚げ物や油を多く使った炒め物、脂肪分の多いデザート類はできる限り減らし、低脂肪食が中心の食事に切り替えて膵臓への負担を減らす必要があります。
慢性膵炎は治療期間が長期に及びます。薬で一時的に症状が治まっても、放置すると再発を繰り返す恐れがあります。医師と相談しながら、アルコールや食事の自己管理を徹底するとともに、治療を継続することが大切です。
急性膵炎を発症すると激しい痛みを伴うため、病院で治療を受ける場合が多いです。しかし、いったん治っても再発を繰り返したり、軽症の段階での慢性膵炎の痛みを胃痛と勘違いして市販の胃薬や鎮痛薬で対処したりすると、症状が進んで慢性化することもあるといわれています。
膵臓は、ダメージを受け続けると膵液の分泌量が減って痛みが出にくくなります。この状態は慢性膵炎に移行しつつある時期に起こる症状で、実は膵臓の機能がかなり悪化しているサインでもあります。
膵臓の組織は、いったん壊れると元に戻らないため、慢性膵炎に移行させないことが重要です。膵臓が機能しなくなると、食べ物が消化されにくくなって下痢や脂肪便が続いたり、インスリンの分泌が低下するために血糖コントロールができなくなって糖尿病を併発することもあります。また、度重なる急性膵炎の再発は、膵臓癌を発症している可能性も考えられるため、医師の診察や検査を受け、指示を守って急性膵炎の段階でしっかり完治させることが重要です。
急性膵炎の再発を繰り返した結果、慢性膵炎を発症すると、糖尿病を併発する可能性があります。急性膵炎の段階で完治できるよう、医師の指導のもとで治療と食生活改善を続けていってください。
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