記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/7 記事改定日: 2019/1/16
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供に多い胃腸炎の種類として、「アデノウイルス」による胃腸炎があります。特徴的な症状や治療法、対策などについて、以降でご紹介していきます。
アデノウイルスは、鼻や喉を侵入経路として扁桃腺や気道に感染するウイルスです。年間を通してウイルスは活動しています。感染経路は、唾液や鼻水、涙との接触、糞便による糞口感染などがあります。特に子供が感染しやすいウイルスです。
また、アデノウイルスが引き起こす病気はさまざまです。具体的には、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)、扁桃腺や胃腸炎、出血性膀胱などを発症する可能性があります。
胃腸炎を発症すると吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などを発します。一方のアデノウイルスによる胃腸炎は、年間を通して発症しやすい、発熱(38~40度)、軽症のまま経過を辿るといった特徴があります。
具体的には、患者のうち約3割程度に発熱が見られ、約半数に嘔吐があります。ただし、これらの症状は2日ほどで落ち着きます。一方で、ほとんどの場合に下痢が起こります。下痢は、長引きやすく10~14日間程度続くこともあります。下痢の色は、白色便やクリーム色便になることもあります。
現在までにアデノウイルスに有効な薬は存在していません。そのため、症状を軽減するための対症療法が中心となります。具体的には、吐き気止めや下痢止めを使用します。注意点としては、高熱や下痢による脱水症状を防ぐよう十分な飲水が必要です。
なお、幼児や学童以外にも大人に症状が出る可能性があります。主に、アデノウイルスに罹った子供から大人へと二次感染するケースが多いです。もしお子さんがアデノウイルスに罹った場合は注意してください。子供も大人も同様の症状が現れます。
また二次感染は、くしゃみや咳による飛沫感染、糞便などによる糞口感染、ウイルスが付着したものに触れることによる接触感染などの経路があります。空気中にウイルスが漂い感染する場合もあるため注意しましょう。なお、症状が落ち着いた後も、2週間から最長1ヶ月ほどアデノウイルスは生き続けます。そのため特に、糞便経由の感染には気をつけなければなりません。
アデノウイルスは飛沫感染・糞口感染、接触感染によって感染が拡大します。アデノウイルスへの感染を防ぐには、感染経路をシャットアウトする必要があります。それぞれの対策として勧められるのは以下のようなものです。
感染者のくしゃみや咳のしぶきを吸い込むことが原因で感染するものです。
感染者に近づくときはマスクを着用し、アデノウイルスが流行しているときは、外出する際もマスクを着用しましょう。
便に含まれるウイルスが手に付着し、それを体内に取り入れてしまうことで感染するものです。便は便座や便器などに微量に付着していたり、感染者の手に付いた便が付着したペーパーホルダーやレバー、ドアノブなどから感染することもあります。
感染を予防するには、用便後に手を洗うのはもちろんのこと、家族内に感染者がいる場合は便座やドアノブなどをこまめに消毒するようにしましょう。
接触感染とは、感染者から排出されたウイルスが付着したものに触れることで感染するものです。感染を防ぐためにも、こまめな手洗いや手指消毒、人の手が触れやすい電気スイッチや手すりなどの消毒を行いましょう。
また、感染者との食器やタオルなどの共用は、たとえ症状が軽快した後であっても一か月ほどウイルスの排出が続くことがありますので控えるようにしてください。
アデノウイルスは、特効薬が存在せず、感染経路が多岐にわたる病気です。子供のいる家庭では、年間を通してかからないよう注意が必要です。
症状が現れた場合には、しっかりと水分補給をし、病院を受診しましょう。
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