赤ちゃんや子供の鼻水の吸引、上手にできるコツはある?

2018/2/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

大人の場合、鼻がぐずついたときにティッシュなどで鼻をかむことができますが、赤ちゃんやまだ小さいお子さんの場合、自分で鼻をかむことができません。このため、吸入器を使ってお母さんが鼻水をとってあげることが必要です。この記事では、吸入器を使うときのコツとともに、吸入時に気をつけたいポイントについて解説します。

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赤ちゃんや小さな子供の鼻水を吸引したほうが良いのはどうして?

風邪やアレルギーの鼻炎の場合、さらさらした鼻水が鼻の下に流れます。しかし、副鼻腔炎になると、粘っこい鼻水が鼻の奥から喉に向かって出てきます。これを後鼻漏(こうびろう)と呼びます。鼻の奥から喉へと流れるため、鼻をかむだけではなかなか出ません。
後鼻漏は、鼻づまりや咳、喉の不調をもたらします。さらに、赤ちゃんや小さな子供の場合は、中耳炎の原因にもなりかねません。そのため、奥にある鼻水を吸い取ってあげると、症状の軽減につながるだけでなく、中耳炎の発症リスクを抑えることができます。

鼻の構造と鼻水の吸いだし方のポイント

赤ちゃんや子供の鼻水を吸い取るためには、鼻の構造を理解しておくことが大切です。鼻の構造は、簡単に言えば次の2点でまとめられます。ひとつは、鼻の中は複雑に入り組み合って通路が狭いこと、そしてもう一つは、後鼻漏は鼻の奥の喉のあたりに溜まっていることです。
鼻は入り口が大きく開いていますが、中は粘膜が複雑な構造をしています。このため、空気の通る通路が狭く、曲がりくねっています。後鼻漏を吸い取るためには、曲がりくねった通路の中で、器具の向きをうまく調整する必要があります。後鼻漏ではなく、粘膜自体を吸ってしまうと粘膜が腫れ、鼻づまりの原因になるためです。
また、鼻の入り口は下に向かって開いていますが、後鼻漏は、鼻の孔から水平位置の後ろで起きています。このため、原因となる鼻水を吸い取るためには、まず器具を上向きに入れた後、その向きを水平方向に変える必要があります。水平方向を保ちながら、角度を少しずつずらして吸い取ります。この際に、奥に差し込み過ぎないように注意してください。
赤ちゃんや子供を抱えて吸引するときは、お子さんを横向きにして膝の上に乗せ、左手で頭を支えながら右手で吸引するとうまくいきます。左利きの場合は、左右を反転させましょう。

鼻水吸引によって起こり得る副損傷について

鼻水を吸引するときに起こる可能性がある副損傷の症状として、以下の3つがあります。
1つは、耳の痛みです。鼻の奥と耳の中耳は、耳管でつながっているため、強い圧力で長時間吸引し続けると痛みが生じます。一時的な痛みでおさまらず、場合によっては中耳炎を発症する恐れもありますので気をつけてください。
2つ目は頭や歯の痛みです。後鼻漏の吸引中に、副鼻腔に圧がかかることがあります。通常であれば、副鼻腔に圧がかかっても問題はありませんが、副鼻腔炎の粘膜が炎症を起こして腫れていると、頭や鼻に激しい痛みが出ることがあります。
そして3つ目が鼻血です。鼻中隔(鼻の中央にある境の壁側のことで、鼻の入口から1cmぐらいのところにある)のあたりは、薄い粘膜のすぐ下に動脈が走っています。そのため、吸引するときにこの部分に当たってしまうと鼻血が出てしまうのです。

おわりに:慣れればスムーズに吸引できるように

赤ちゃんや子供の吸引は、チェックするポイントがいくつかあります。一度コツをつかめばスムーズに吸引できるので、まずは吸引に挑戦してみましょう。吸引器具で圧をかけ過ぎず、奥に差し込みすぎなければ、副損傷を防ぐことができます。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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