記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/8/9
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
目のかゆみや充血などの症状が出ている場合、もしかしたら「感染性結膜炎」にかかっているかもしれません。今回の記事では、感染性結膜炎の発症原因や症状、治療法など全般的な情報をお届けしていきます。
感染性結膜炎とは、細菌やウイルスが結膜に感染し、炎症を起こしている状態です。結膜とは、白目の表面と、上下まぶたの裏側を覆っている半透明の膜のことです。結膜炎になると涙が出たり、目がごろごろしたりという症状が発症します。感染性結膜炎の原因は、細菌による感染とウイルスによる感染の2パターンがあり、それぞれ「細菌性結膜炎」「ウイルス性結膜炎」と呼ばれます。
ウイルス性結膜炎とは、ウイルスが原因で発症する結膜炎です。ウイルスとは細菌よりも小さい微生物のことで、他の生物の細胞に入り込んで増殖します。ウイルスは温かいときに活発化するので、ウイルス性結膜炎は夏場に流行ります。
症状としては、目の充血、目やにが過剰に出る、まぶたの腫れ、目がごろごろするなどがあげられます。また、耳の前に触れると痛みを伴う腫れがでます。この痛みは、免疫機能がウイルスと闘うことでリンパ節が腫れたために起こります。
代表的なウイルス性結膜炎としては、流行性角結膜炎(はやり目)、咽頭結膜熱(プール熱)、急性出血性結膜炎があげられます。
まず流行性角結膜炎は、アデノウイルス8型というウイルスが原因です。このウイルスは感染力が強いので注意が必要です。症状は、目やに、充血、目の腫れで、痛みも伴います。通常、発症後10日程度で症状は緩和します。
咽頭結膜熱は、アデノウイルス3型というウイルスが原因です。夏場にプールの水を介して感染する場合が多いので、プール熱とも呼ばれます。ウイルス感染から発病まで5~7日の潜伏期間があります。症状はのどの痛みや発熱です。発病から10日ほどで症状は緩和します。
急性出血性結膜炎は、エンテロウイルス70型と、コクサッキーウイルスA24型が原因で発症します。潜伏期間は約1日と短いです。症状としては、結膜で出血が起き、白目が真っ赤になります。発病後1週間程度で自然治癒します。
細菌性結膜炎の原因となる細菌は、ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌などさまざまです。症状としては、目の充血や、膿を伴った目やに、涙が出る、などがあげられます。重度の場合には、細菌性角膜潰瘍という角膜の病変ができて、激しく目が痛んだりする場合もあります。
感染性結膜炎の治療法は、目のケアと薬物療法です。
まず目のケアですが、目やにが溜まっている場合には、まぶたを洗浄しましょう。きれいな布に水を含ませ、目を閉じてまぶたの上を拭いてください。温湿布や冷湿布をすると、目の刺激が緩和することがあります。なお、感染性結膜炎は感染力が強いので、人にうつさないよう、目に触れる前後には手を消毒するなどの配慮が必要です。
そして薬物療法ですが、細菌性の場合には、抗菌薬による治療を行います。抗菌薬を目薬や眼軟膏で1週間~10日程度投与します。一方ウイルス性の場合には、特に治療を行わなくても1~2週間以内に治る場合が多いです。ただし、症状が重く、かすみ目などで日常生活に支障が出ている場合は、コルチコステロイドの目薬を使用することがあります。
感染性結膜炎には、ウイルスが原因のものと細菌が原因のものに分けられます。どちらも結膜に炎症を起こすことで眼にさまざまな症状が起こりますが、1~2週間で自然に治癒する場合が多いウイルス性結膜炎に対し、細菌性結膜炎は重症化する場合があるので特に注意が必要です。