記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/16 記事改定日: 2018/11/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
発症した際の死亡率の高さで知られる「くも膜下出血」。くも膜下出血を予防するには、発症リスクを高めてしまう要因を把握しておくことが重要です。その具体的な要因と予防法について、ご紹介していきます。
くも膜下出血は脳を覆っている膜の一つ「くも膜」の下で出血が起こる脳出血の一種で、発症した場合の死亡率が約50%と高く、合併症が残るリスクも高い状態です。
くも膜下出血は、くも膜下にある脳の動脈に生じた脳動脈瘤と呼ばれるふくらみが突然破裂して起こります。一般的な脳血管障害は高齢者に多いとされますが、くも膜下出血は40歳代の働き盛りでの発症も少なくないため、予兆を掴むことがやや難しい面があります。
くも膜下出血は、気づかない間に出来ていた脳動脈瘤が突然破裂して起こるため、特に予兆が無く発症する脳出血と考えられていましたが、近年の調査研究で
などの前兆が現れることがわかってきました。
くも膜下出血の前兆には、血圧が乱高下することによる症状、微小な出血が生じることによる症状、動脈瘤が大きくなることによる症状があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
発症数日前から血圧の乱高下を繰り返すことが多いとされています。特に朝の血圧が高いことが多く、中には血圧が急上昇することによるめまいや吐き気などが生じることもあります。
くも膜下出血は突然脳動脈瘤が破裂して発症することがほとんどですが、まれにごく微小な出血を繰り返した後に大きな破裂を生じることもあります。
その結果、一時的に激しい頭痛を生じることがあります。また、微小な出血を生じた際に頭の中で何かがはじけたような感覚や、頭が引っ張られるような感覚を自覚することもありますので注意が必要です。
脳動脈瘤が周辺の脳神経を圧迫することで様々な神経症状が現れることがあります。最も多いのは、動眼神経が圧迫されることによって生じる「動眼神経麻痺」です。目のかすみや眼瞼下垂などの症状が引き起こされますが、破裂前には動脈瘤が徐々に大きくなることで動眼神経麻痺の症状が急激に悪化することがあります。
くも膜下出血の発症リスクを高めるものとして、まず、さまざまな血管障害を起こりやすくする高血圧が挙げられます。高血圧の人がくも膜下出血を発症した場合の死亡リスクは、高血圧でない人の約3倍と高く、高い血圧によって動脈瘤にも常に高い圧力がかかるため、破裂の危険性も高まります。
喫煙習慣も発症リスクを高める要因のひとつです。喫煙者のくも膜下出血の発症率は、非喫煙者の約2.2倍~3.6倍にもなるとされ、吸う本数に関わらず喫煙するというだけで危険と言われています。
また、親兄弟など家族に脳卒中経験者がいる人も、そうでない人に比べてリスクが約2倍高いと言われています。なお、強いストレスによって発症リスクが高まるケースもあるとされています。
このように、発症リスクを高める原因がわかってきたことで、くも膜下出血を予防するための日常生活での注意点も明らかになりつつあります。
まず重要なのが、血圧のコントロールです。予兆の一つに血圧の乱高下があるだけに、高血圧の人は毎日の血圧をしっかり測定して、少しでも異常があったら早めの受診が必要です。
なお、高血圧を悪化させないために、塩分摂取量に気を付けた食事をすることも重要です。塩分排出を促す野菜を多めに摂り、くも膜下出血の引き金となるアルコール摂取を控えることも大切です。
また、喫煙する人は禁煙することが何より有効な対策になります。特に、高血圧や家族に脳卒中経験者がいる人は、禁煙の実施によって発症リスクを下げることにつながります。
くも膜下出血は、高血圧や喫煙習慣などによって発症リスクが高まるということがわかってきています。予防のために、まずは生活習慣を改めましょう。もしも血圧の乱高下や突然の頭痛、目が痛んだり、頭がもやもやした際はすぐに病院へ行くことが重要です。
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