くも膜下出血で後遺症が残る可能性はどのくらいなの?

2017/11/2 記事改定日: 2018/11/14
記事改定回数:1回

浅野 哲 先生

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、集中治療科

浅野 哲 先生

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

死につながる恐れのある病気として知られる「くも膜下出血」ですが、一命をとりとめても何らかの後遺症が残ってしまうことも少なくありません。この記事では、そんなくも膜下出血の予後や後遺症のリスクを解説していきます。

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くも膜下出血とはどのような病気か

くも膜下出血とは、脳の保護膜である「くも膜」内部の血管で起きる出血のことで、発症すると半数近くの方が命を落とすともいわれる恐ろしい病気です。ほとんどの場合、脳の動脈瘤が破裂したことで原因で起こります。

くも膜下出血の典型的な症状は、突然バットで殴られたような激しい頭痛です。併せて、嘔吐や意識障害が現れるケースも少なくありません。ただ、症状の出方は脳血管の出血の程度によって異なるため、軽度の出血の場合はほとんど頭痛を感じないこともあります。

また、上記の症状が現れる数週間前~数日前に、急な頭痛や目の異常(ものがぼやけてみえる、目が痛いなど)、めまいなどを感じる場合があります。突然これらの症状が現れた場合はくも膜下出血が起きる前兆の可能性があるので、早めに病院を受診するようにしてください。

くも膜下出血発症後、どんな治療が行われるのか

くも膜下出血の発症後に脳の動脈瘤が再破裂を起こしてしまうと(発症後24時間以内に起きる可能性が高いとされています)、脳の損傷がより深刻化し、重篤な後遺症や死につながるリスクが高まります。そのため発症後すぐに、動脈瘤をクリップでつまむ手術や動脈瘤をコイルで詰める手術を行い、動脈瘤への血流をとめる必要があります。

上記の手術が終わった後は、「脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)」を予防するための治療に移行していきます。脳血管攣縮とは脳血管が一時的に細くなる状態のことで、これにより脳が血液不足に陥ると脳梗塞に発展する恐れがあります。ただ、脳血管攣縮を完全に予防する方法は確立されていないというのが現状です。

治療後に想定される後遺症は

くも膜下出血を起こすと後遺症が残る確率は約20%、元通りの生活に戻れるのは約30%ともいわれています。

後遺症が残るか残らないか、後遺症が軽くて済むのか重い後遺症が残るのかは脳の損傷を受けた部分や、発症後に行われた治療によって左右される可能性がありますが、想定される後遺症としては半身麻痺や、感覚障害、嚥下障害、言語障害、うつ、視野障害、あるいは人格の変化などが挙げられます。

後遺症を回復させるためのリハビリとは

くも膜下出血を発症すると脳にダメージが加わるため、その部位の脳細胞が壊死し、何らかの障害が残ることがあります。後遺症が残るかどうかは、くも膜下出血の重症度や出血が生じた部位によって異なります。

後遺症を予防したり、回復させるためには適切なリハビリが行われる必要があります。しかし、くも膜下出血は発症初期には脳動脈瘤の再破裂の可能性があり、手術後でも厳重な全身管理が必要になります。このため、リハビリはある程度全身状態が落ち着いてから行われます。具体的なリハビリ内容は、脳の障害を受けた部位によってどのような後遺症が残る可能性があるのか異なるため、それぞれの症状に合わせて行われます。

運動麻痺がある場合には、なるべく早期から歩行訓練などが行われ、嚥下障害がある場合には嚥下訓練などが必要に応じて行われます。
リハビリの方法や効果は人によって大きく異なるので、担当医とどのようなリハビリが必要か、どれくらいの期間続ければよいのかなどを事前によく話し合っておきましょう。

おわりに:くも膜下出血は再発率も高い病気。予後の体調管理に留意を

再発を起こすこともあるいわれるくも膜下出血。高血圧や塩分の摂りすぎ、喫煙習慣などは再発リスクを一層上昇させるので、日頃からの体調管理をしっかりと行うようにしてください。

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