大脳皮質基底核変性症(CDB)の特徴と治療法について

2018/2/22

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

国の難病に指定されている「大脳皮質基底核変性症(CDB)」。今回の記事ではこの大脳皮質基底核変性症の特徴や、治療法について解説していきます。

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大脳皮質基底核変性症(CDB)とは?

大脳皮質基底核変性症(CDB)は、パーキンソン症状のように筋肉の硬さや運動性の鈍さ、歩行障害などを伴う病気です。発病年齢は40~80代と中高年以降が中心で、ピークは60代になります。

患者の男女比はほとんど同じで、過去の病気や生活習慣などに関係して発病するものではないとされています。なお、患者の多くに前頭葉や頭頂葉の強い萎縮が認められますが、遺伝性は確認されていません。顕微鏡的には神経細胞が脱落していたり、神経細胞やグリア細胞において異常構造が現れますが、なぜこのような変化が起こるのかははっきり分かっていないのが現状です。

大脳皮質基底核変性症の特徴と主症状

大脳皮質基底核変性症の主症状は、体の硬さや動きにくさ、体のピクツキや手足が思うように動かないなどの手足の感覚障害です。初期の頃は、手が思うように使えないといった症状が、身体の左側か右側のどちらか一方に強く現れるのが特徴です。進行すると次第に体の両側に症状が広がっていき、次第に体を動かすことが困難になり、同じ姿勢を続けることが多くなります。

また、さらに進行すると食事の飲み込みが悪くなり呂律が回らなかったり、歩行が困難になっていきます。眼が動かず一点を見るようなこともあります。ここに認知症が加わると、日常生活において介護が必要な状態となるでしょう。

発病してから亡くなるまでの期間には個人差がありますが、平均的には6~8年と言われており、肺炎や肺塞栓や褥瘡感染などの合併症が死亡の原因になることが多いです。個人個人によって症状の拡がり方はさまざまで、その他の稀な疾患との合併があることも明らかにされています。

治療法について

大脳皮質基底核変性症の治療方法はまだ確立されていませんが、症状などを緩和できる方法がいくつかあります。まだ試験段階ですが、体や手足のこわばり、動作が遅くなるといったパーキンソン病のような症状は、塩酸トリヘキシフェニジルが有効なケースがあります。手のふるえや体のピクツキに対してはクロナゼパムやバルプロ酸が有効とされていて、体のつっぱりにはバクロフェンなどの抗痙縮薬が有効です。また、手足に力が入り異常な姿勢をとる場合や、つっぱり感が強い場合はボツリヌス毒素の注射が効果的で、つっぱりが強いならバクロフェンを脳脊髄液の中に注入する方法(髄腔内投与)も有効です。

それぞれ効果には個人差がありますが、いろいろな治療を行ってみることが大切です。また、身体機能を維持し寝たきりを防ぐために、専門家の指導に基づいてリハビリテーションを継続することも重要です。

おわりに:大脳皮質基底核変性症の初期症状を見逃さないように

大脳皮質基底核変性症は発症原因が明確にはわかっておらず、治療法もまだ確立されていません。ただ、放置すると徐々に症状が重篤化していくので、手足が動かしにくいなど該当する症状が見られた場合は、早めに病院を受診することが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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