記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
中国由来の健康茶である「甜茶(てんちゃ)」。この甜茶が、花粉症に効くとしていま注目を集めていますが、本当に効果はあるのでしょうか?以降で解説していきます。
甜茶は、中国を原産とするバラ科のテンヨウケンコウシ(甜葉懸鉤子)のほか、アカネ科、ブナ科、ユキノシタ科などの植物の葉を煎じて飲む薬草茶です。中国では、旧正月などのおめでたい時期に飲むお茶として重宝されています。
また、テンヨウケンコウシの葉から抽出される甜茶ポリフェノールには、花粉症や気管支喘息などの症状を改善させたり、予防したりする抗アレルギー効果があるとして注目されています。
花粉症などの「アレルギー反応」とは、人体に侵入した細菌やウイルス、微粒子などの異物を体外へ排除しようとしてできる抗体が過剰に反応して、人体に害を与えてしまうことをいいます。
異物が体内へ侵入すると、それを防御しようと「IgE抗体」が作られて肥満細胞に付着します。そして、同様の異物が侵入してきて、その異物に含まれる「抗原」が肥満細胞の近くでIgE抗体と反応すると、肥満細胞はヒスタミンなどの化学伝達物質を分泌し、くしゃみや鼻水などで体外へ追い出そうとするのですが、その反応が過剰になると、血管や神経を高ぶらせ、鼻水が止まらなくなるほか、目のかゆみや充血などの慢性的な不快感につながるのです。
その点、甜茶ポリフェノールには、ヒスタミンの分泌を阻害する作用があり、さらに甜茶に含まれるミネラルであるマグネシウムにも、ヒスタミン放出量を抑える働きがあります。
花粉症の基本的な対策としては、花粉が飛ぶシーズンには部屋の窓をむやみに開けないようにし、こまめに掃除をすることが重要です。空気清浄機を動かすのも効果があります。外出時にはマスクを着用して、花粉が体内へ入ってこないよう口と鼻を保護しましょう。
また研究で、乳酸菌のひとつであるS-PT84株(柴漬けの中から発見された植物由来の菌)が、人体の免疫を活性化させ、花粉症などのアレルギー症状を抑える効果があることも分かってきました。
まず、甜茶にもいろいろな種類があります。美味しさを楽しむのとは別に、花粉症への効果を求めるのでしたら、バラ科キイチゴ属の「テンヨウケンコウシ(甜葉懸鈎子)」が多く入ったものを選ぶようにします。茎にとげが付いているのが特徴です。
また、甜茶ポリフェノールがよく抽出されるよう、茶葉は熱湯で煎じるようにし、3~5分は待つようにしましょう。甜茶ポリフェノールは熱に強いため、熱湯で煮出しても効果は低下しません。
甜茶はアレルギー症状に効く中国茶として知られています。ただし、医薬品ではありませんので、効能を期待しすぎないようにしましょう。甜茶を習慣的に飲んでも花粉症が改善されない場合には、医師の診断や治療を受けるようにしてください。