記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「友だちの家に遊びに行ったら、急にくしゃみが止まらなくなった」「買ったばかりのシャツにそでを通したら肌が赤く腫れてしまった」など、いつもと変わらないことをしているのに、突然体に異変が起きるとびっくりしますよね。カゼをひいたり、肌が乾燥したときもこうした症状が出ますが、実はアレルギー反応が原因になっていることもあるんです。アレルギーについて少し学んでみましょう。
アレルギーは、体の免疫系が特定の物質に反応したとき、免疫系が「この物質は体に有害である」と判断したために起こります。こうした反応が起きてしまう原因は明らかになっていませんが、アレルギーのある人は、喘息の症状をもっていたり、家族もアレルギーを持っていたりすることが多いようです。
また、衛生環境がよくなったことも、アレルギーを持つ人が増えた要因ではないかと考えられています。免疫システムが対処しなければならない細菌の数が少なくなっているため、無害な物質なのに免疫システムが過剰反応を引き起こしてしまっている可能性があると考えられています。
アレルギー反応を引き起こす物質のことを「アレルゲン」といいます。一般的なアレルゲンとして、以下のようなものがあります。これらのアレルゲンのほとんどは、アレルギーのない人には無害なものです。
・花粉・動物の毛
・ダニ
・食べ物(ナッツ、甲殻類、卵、牛乳、果物など)
・空気中のカビ
・洗剤
・虫刺され
アレルギー症状は、アレルゲンにさらされてから数分以内に出る場合が多いですが、まれに時間が経ってからその症状が出ることもあります。アレルギー症状には次のようなものがあります。
・くしゃみ、鼻水、鼻づまり
・目のかゆみ、目が赤くなる
・咳が止まらない
・赤い湿疹ができる
・唇、舌、目または顔が赤く腫れる
・腹痛、吐き気、嘔吐、下痢
・乾燥して、赤く、ひび割れた肌
アレルギー症状ではないかと思ったら、かかりつけの医師に相談しましょう。アレルギーの症状は、原因がいくつか絡み合って出ている可能性もあるので、自己判断で終わらせないことが大事です。軽度のアレルギー症状が出ている場合、医師は治療とともに、症状を和らげるためのアドバイスをしてくれます。アレルギー症状が重かったり、原因物質がはっきりしない場合は、アレルギーの専門医を紹介してくれる場合があります。
アレルギー症状が出てしまったら、できるだけアレルゲンに触れないようにすることが大切です。たとえば、特定の食べ物にアレルギー反応を起こしているときは、パッケージの裏面に載っている食品の成分リストを確認し、アレルゲンがないかをチェックしてください。
また、抗ヒスタミン剤やスプレー、保湿クリームなど、症状を和らげる薬が処方されたら、医師の指示に従って使用しましょう。
アレルギー症状が出ると物事に集中しづらくなるので、仕事や家事に影響が出てしまいがちですが、自分のアレルゲンが何かを知り、医師のアドバイスを守って日々を過ごせば症状を和らげることができます。自分の体を知り、いたわりながら、日々を快適に過ごしましょう。