ビタミンAの働きと効率の良い摂取方法とは?

2018/3/9 記事改定日: 2019/5/16
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

ビタミンAは体に不可欠な脂溶性ビタミンです。この記事では、ビタミンAの作用や健康効果、不足した場合や過剰に摂取した場合に考えられる疾患などについて解説します。

ビタミンAにはどんな働きがあるの?

ビタミンAとは、脂溶性ビタミンのひとつです。主に動物性の食品に含まれており、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルエステルといった脂溶性レチノイドに細分化されます。

植物性の食品に含まれているカロテン(カロテノイド)は、体内でビタミンAに変換されることからプロビタミンA(ビタミンAの前駆物質という意味)とも呼ばれています。プロビタミンAの中で代表的なのは、ニンジンなどに多く含まれるβカロテンとαカロテンです。カロテンは肝臓や小腸粘膜上皮細胞でビタミンAに代謝されたのち、体内に吸収されます。

以下に、ビタミンAの主な働きをご紹介します。

  • 抗酸化作用
  • 粘膜を正常化する作用
  • 免疫賦活作用(免疫を活性化させる作用)
  • 成長促進作用
  • 視覚作用(レチナールのみ)
  • 生殖作用
  • 制がん作用
  • 糖たんぱく質・糖脂質合成

ビタミンAに期待できる効果は?

ビタミンAには、下記のような健康効果が期待されています。

視機能の改善

ビタミンAの効果のひとつは、視機能(目で物を見て脳で認知する機能)を改善させることです。

目に入った光は、網膜にある光受容体で電気信号に変換されたのち、視神経を通って脳に伝わります。光受容体を正しく働かせる物質はロドプシンと呼ばれています。このロドプシンが光に反応するため、人間は薄暗い場所や光源がわずかしかない場所でも物を見ることができます。

ロドプシンが光に反応すると、タンパク部分のオプシンとレチナールとに分かれます。レチナールは食物中のビタミンAから合成されます。光だけでなく、色を認識する時にも光受容体の機能が必要になるため、ビタミンAは視機能において大きな役割を担っていると言えます。

皮膚や粘膜の保護

ビタミンAには、粘膜を正常化する作用があります。皮膚や粘膜を構成している上皮細胞を生成するためには、ビタミンAが欠かせません。特にビタミンAが欠かせないのは、全身の皮膚のほか、以下の部位の粘膜です。

  • 気管支
  • 膀胱
  • 子宮

また、ビタミンAは粘膜が正常に機能できるよう促す働きも担っています。体の粘膜の役割は、病原菌やウイルスが体に入るのを防ぐことです。粘膜が正常に働くと、ウイルスや菌が侵入しづらくなります。その結果感染症にかかりにくくなり、体の免疫力アップにつながります。ビタミンAは、病気になりにくい体作りのサポートをしているともいえます。

動脈硬化の予防

ビタミンAの注目すべき作用のひとつに抗酸化作用があります。ビタミンAの前駆物質のひとつであるβカロテンは、活性酸素除去だけでなく、悪玉コレステロールを減らす作用も持っています。

体内で増加した活性酸素は細胞を衰えさせ、動脈硬化を引き起こす要因にもなります。活性酸素によって酸化した悪玉コレステロールは「過酸化脂質(かさんかししつ)」と呼ばれています。この過酸化脂質が血管に溜まり、血管を硬くすることも動脈硬化の原因になります。

動脈硬化は狭心症や心筋梗塞といった重篤な病気につながることもあるため、注意が必要です。抗酸化作用を持つビタミンAに加え、ビタミンCやビタミンEといった抗酸化物質を含むビタミンを摂取すると、体内の活性酸素を抑えるだけでなく、動脈硬化の予防にもなります。

ビタミンAは摂りすぎてもNGって本当?

さまざまな健康効果が期待されるビタミンAですが、摂りすぎるとビタミンA過剰症となり、健康を損なうことがあるので注意が必要です。

ビタミンA過剰症とは

ビタミンAは脂溶性のため、尿などに溶け出して自然に排泄されることはありません。摂取し過ぎると体内で吸収されたのち、肝臓で蓄積します。

肝臓にビタミンAが大量に蓄積すると、以下のような症状が現れます。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 発疹
  • めまい
  • 皮膚の乾燥(皮膚炎)
  • 脱毛
  • 骨や関節の痛み
  • 下痢

症状が悪化すると、頭蓋内の内圧が上昇したり、脂肪肝を患ったりと、命の危険につながることもあります。また、妊娠中の女性がビタミンAを過剰に摂取すると、胎児の奇形のリスクが上がる可能性があることが明らかになっています。

ビタミンA過剰症の原因となるのは、サプリメント由来の既成ビタミンAや、動物性レチノールの過剰摂取です。カロテンは必要な分だけビタミンAに変換されるため、カロテンの摂取でビタミンA過剰症が起こることはないと考えられてます。

食事でビタミンAを摂るときのコツは?

ビタミンAには油に溶けやすい性質があります。そのため、ビタミンAやプロビタミンAを含む食材を油と一緒に摂取すると吸収しやすくなります。ビタミンAを含む食材を料理するときは、以下のような工夫を取り入れましょう。

  • 油で炒める
  • ノンオイルではないドレッシングをかける

レチノールは体内での利用率が高く、カロテンは抗酸化作用があるのが特徴です。このため、どちらかばかりを食べるのではなく、動物性のレチノール(魚類・肉類・豆類など)と植物性のカロテン(にんじん・かぼちゃ・ほうれんそうなどの野菜)のどちらもバランス良く摂る必要があります。

ビタミンAを摂るのにおすすめのレシピは?

ビタミンAは、食事から摂取のがおすすめです。ここでは、ビタミンAを豊富に摂取できるおススメレシピを3つご紹介します。

野菜のポタージュスープ

残り物の野菜でも作ることのできるスープは主婦の強い味方です。ビタミンAが豊富な緑黄色野菜を使ってポタージュスープに挑戦しましょう。

  1. かぼちゃやサツマイモ、ニンジンなどの残り物の野菜を適当な大きさにカットし、コンソメスープでよく煮込む
  2. 野菜が十分に柔らかくなったら、フードプロセッサーなどで一気に攪拌する
  3. トロトロになったら牛乳を加え、塩コショウで味を整える
  4. 完成

うなぎのちらし寿司

うなぎはビタミンAの宝庫です。高価でなかなか手を出しにくいうなぎも、スーパーのものにひと手間加えてちらし寿司風にすれば、手ごろな値段で少量でも満足のいく一品になります。

  1. スーパーで購入したうなぎをトースターで表面をカリカリにする
  2. 粗熱を取ったら、適当な大きさにカットする
  3. 酢飯を敷き詰めた器に、刻みのり、刻んだ大葉などをのせる
  4. その上に、カットした卵焼きとウナギをのせる
  5. うなぎのタレを回しいれる
  6. 完成

ほうれん草の胡麻和え

毎日ビタミンAを摂るには、ビタミンAが豊富な食材を使った常備菜がおススメです。ヘルシーにいただくには、ほうれん草を使ったメニューがおすすめです。

  1. ほうれん草は茹でてあくを抜き、良く水気を絞って一口大にカットする
  2. めんつゆ、砂糖、すりごまでたれを作る
  3. ほうれん草とよく和える
  4. 完成

おわりに:ビタミンAは料理の工夫で効率よく摂取していこう

ビタミンAは、人間の皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫力を高めるために欠かせない栄養素です。ビタミンAが不足すると皮膚や目の疾患を引き起こすこともあるため、適正量を守りながら毎日の食事で摂取することを心がけましょう。

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