B型インフルエンザは、発症に気づきにくい!?病院の治療は必要?

2018/5/11 記事改定日: 2018/10/31
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

熱もそこまで高くないために、発症に気付きにくいと言われる「B型インフルエンザ」。もし「B型インフルエンザかも?」と思っても、症状が軽ければ病院に行く必要はないのでしょうか?今回の記事では、B型インフルエンザの合併症のリスクや、病院での治療の必要性について解説します。

B型インフルエンザの特徴とは?熱が出ないって本当?

インフルエンザは、38℃以上の高熱と悪寒や関節痛などの全身症状が突然起こる感染症です。ところが、インフルエンザB型の場合、この特徴的な高熱が出なかったり、全身症状も軽いことがあり、感染していることに気が付かない場合もあります。特に、高齢者の場合は熱が上がりにくいため、ただの風邪と勘違いして様子を見ているうちに症状が悪化し、治療期間が延びてしまうケースも増えています。

インフルエンザが流行している時期には、微熱であってもインフルエンザにかかっている可能性がありますので、病院を受診するようにしましょう。

特徴

インフルエンザB型の特徴の一つに、下痢や嘔吐などの消化器症状が多いことが挙げられます。下痢や嘔吐は、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎や急性胃腸炎との判別が難しいことがあります。また、インフルエンザとウイルス性胃腸炎が流行するのは同時期であるため、微熱程度だとインフルエンザB型を胃腸炎と勘違いすることもあるでしょう。

急性胃腸炎の場合、吐き気は24時間以内に収まり、発熱などの症状も3日もあれば落ち着きます。ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎の場合も、激しい嘔吐や下痢などの消化器症状が見られます。また、発熱が見られることもあるでしょう。この場合はインフルエンザと違い、1~2日で回復します。

しかし、インフルエンザB型では、3日経っても消化器症状が改善せず、咳などの呼吸器症状や倦怠感が現れるなど、胃腸炎とは異なる症状が出てきます。消化器症状に加え、発熱や咳などの風邪症状が見られる時には、インフルエンザB型に感染している可能性も考えられますので、早めに病院にかかる必要があります。

ただし、インフルエンザB型でも高熱が出ることもあるので注意

一般的にインフルエンザB型はA型よりも軽症なことが多く、軽い症状しか出ないことも多々あります。しかし、症状の現れ方は人によって異なり、場合によってはA型と同じように高熱などの症状が現れ、重症化すると肺炎や脳症などの合併症を引き起こすこともあります。特に小児や高齢者、妊婦などは体の抵抗力が弱く、B型でも重症化しやすいので注意が必要です。

B型と診断された場合でも油断せず、症状がなくなるまではしっかりと休むようにしましょう。

インフルエンザB型に、1年で2度かかることがある!

インフルエンザには、大きく分けてA型・B型・C型の3種類があります。B型のウイルスはさらに2種類あり、「山形型」と「ビクトリア型」に分けられます。

インフルエンザB型に感染した場合、感染したウイルスに対する免疫が付くため、同じ型のウイルスに感染することはありません。しかし、感染していないウイルスには免疫はつかないので、1年の間に同じB型である「山形型」と「ビクトリア型」の両方にかかることもあります。

また、A型に感染した場合もB型に対する免疫がないため、1年の間にA型とB型の両方に感染する可能性も考えられるでしょう。さらに、年によっては、A型とB型が同時期に流行することもあり、一度にA型とB型の両方にかかることもあります。

インフルエンザの流行シーズンには、一度かかったからと言って油断せず、手洗いやうがいなどの予防対策をしっかり行うようにしましょう。

合併症の危険性は?

インフルエンザB型は、A型に比べると症状も軽く発熱期間も短いことが多いです。しかし、だからといって合併症になりにくいと言うことはなく、A型と同じように肺炎やインフルエンザ脳症などの合併症にかかる危険性があります。

特に、妊婦や乳幼児、65歳以上の高齢者などの抵抗力が弱い人は、合併症を起こしやすいと言えます。その中でも高齢者は、インフルエンザ特有の症状が出にくいため、感染に気付かず受診が遅れがちです。初期治療が遅れると合併症の危険性も高まってしまうので、早めの受診を心がけましょう。

病院に行く必要はある?

インフルエンザB型は症状が軽い事が多いため、病院に行く必要がないと考えている人もいることでしょう。確かに、病院に行かなくても自然治癒することはあります。

ところが、インフルエンザにかかった場合に処方される抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内の投与が最も効果的に働きます。この期間に正しく服薬し合併症を引き起こさなければ、一週間程度で完治できますが、感染に気付かず受診が遅れてしまった結果、薬を服薬しても十分な効果が得られず、症状が長引くことがあります。

また、インフルエンザは感染力が強いため、基本的に発症から5日間は外出を避けなければなりません。インフルエンザとわからないまま学校や職場に行ってしまうと、知らず知らずのうちにウイルスをまき散らしてしまい、インフルエンザが蔓延する原因にもなってしまいます。インフルエンザが流行っている時期に体調を崩した時には、自己判断せず病院に行くようにしましょう。

おわりに:インフルエンザ流行期には微熱でも早めの受診を心がけよう

インフルエンザB型は、A型に比べるとインフルエンザ特有の症状が出にくいことがあります。微熱だから大したことないと自己判断してしまうと、治るまでに時間がかかるだけでなく、周りに感染を広げてしまう危険性もあります。インフルエンザの流行を最小限にとどめるという意味でも、インフルエンザが周りで流行っている時には、あまり熱が高くなくても感染している可能性を考え、早めの受診を心がけてください。

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