記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/19 記事改定日: 2019/9/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期は不安定な時期であり、流産の心配もあります。この時期にはどれくらい運動をしたらいいのでしょうか。
この記事では、妊娠中の運動について解説していきます。リラックスしたマタニティライフを送ることは、お腹の赤ちゃんの成長にも良い影響があるといわれています。妊娠中に運動を始めるときの参考にしてください。
「妊娠初期の15週目までは流産をしやすい」という声も聞きますが、妊娠初期に起こる流産の原因は赤ちゃんの染色体異常が大半とされていて、普段通りの仕事や軽い運動程度の影響で流産する可能性はかなり低いといわれています。
むしろ適度に運動をおこなうことは、出産に向けての体力づくりや気分転換に役立ち、流産の予防やお腹の赤ちゃんの成長にも良い影響があると考えられています。
ただし、高い負荷で筋トレをしたり、マラソンや短距離走などの激しい運動は流産のリスクを高めます。あくまで軽い運動にとどめておきましょう。
また、サイクリングやサッカー、バスケットボールや縄跳びなど、転んだり他の人にぶつかるリスクがある運動や、ジャンプをする運動は避けたほうが無難です。
妊娠初期にはつわりがある人もいますので、自身の体調や医師との相談のうえ、無理がかからない程度の運動をしましょう。
妊娠週数が進むにつれてどんどん体重が増加していきますので、運動は体重管理にも役立ちます。
妊娠初期の運動としては、軽いウォーキングなどのゆったりとした心拍数が維持できる有酸素運動を30分ほどするのがおすすめです。
屋内でランニングマシーンを使ってもいいですが、外でウォーキングをしたほうが気分転換になり、ストレス緩和に役立つでしょう。
ただ、ウォーキングをするときは交通量の多い道や狭い道を避け、こまめな水分補給を忘れないようにしてください。
お腹に負担をかけない程度の軽いストレッチも、妊娠中の便秘やむくみなどの解消に役立ちます。
ただし、息が止まるほどきついストレッチをしてはいけません。緩やかに「イタ気持ちいい」と感じるくらい伸ばすようにしましょう。
水中ウォーキングは膝関節などの負担を最小限に抑えて適度な運動量を得られる、妊娠中にとても向いている運動です。安定期に入っていて妊娠経過に異常がないようであれば、身体の冷やしすぎや水分補給不足に注意しながら積極的に取り組んでみましょう。
プールに長時間入ると思いのほか、身体が冷えてしまうものです。身体の冷えはお腹の張りにもつながりますから、30分ほどを目安に行い、寒さを感じたときは休憩を入れて身体を温めましょう。
また、水中は体力を使いやすく水分が失われやすい状態であり、プールでは水分摂取がおろそかになってしまいがちです。陸上での運動と同じくこまめな水分補給が必要です。
プールは、プール熱などの感染症や衝突などを防ぐためにも子供の多いところは避け、落ち着いて静かに運動できる施設を選びましょう。夏場は外のプールを利用することもできますが、妊娠中はいつも以上に敏感肌になっていますので屋内の施設を選んだほうがいいでしょう。
妊娠15週目以降は妊娠中期といい、安定期とも呼ばれます。
この時期になると流産の可能性がぐっと下がり、つわりが治まる人も多いため、妊娠初期よりも出産に向けての体力づくりや体重管理に力を入れやすいです。
よく耳にするマタニティヨガやマタニティスイミングなどのような「妊婦さん向けに考えられた運動」をするのは安定期に入ってからにしましょう。
妊娠初期の体調には個人差があるため、必ず運動をしたほうが良いというわけではありません。
妊娠中はホルモンバランスが変化しやすく体調も崩れやすいです。具合が悪いときは無理せず休み、運動途中で具合が悪くなったときは、すぐに運動を中止しましょう。
どんな運動をしたほうがいいかや、いつ頃から運動を始めたほうがいいかについては、必ず医師に相談するようにしましょう。
妊娠中に適度な運動をおこなうのは良いことですが、無理をして体に負担をかけてはいけません。
妊娠初期は心身ともに不安定な時期です。お母さんはできるだけリラックスした気持ちでいれるようにすることが大切です。運動はあくまでも軽いものにし、張り切り過ぎない程度に続けるようにしてください。
また、人によっては運動が体によくない場合もありますので、運動を始める前に医師に確認をとるようにしましょう。