糖尿病による足切断、予後はどうなる? 切断する患者の割合はどれくらい?

2018/5/9

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病を発症した場合のリスクとして、中でも恐ろしいのが足切断です。今回の記事では、糖尿病だとなぜ足切断のリスクが上がるのかの理由や、切断する割合、切断後の予後について解説します。

糖尿病患者は壊疽による足切断に注意

糖尿病の合併症による足病変の重症化によって、足の切断を余儀なくされる人は年間1万人以上と推定されています。中でも糖尿病患者は足壊疽による切断の事例が多く、年間3000人がこれに該当するといわれています。

糖尿病による足切断の予後

糖尿病による足壊疽で切断を余儀なくされた場合、基本的に予後(術後の回復の見通し)は非常に悪いです。国内の医療機関の研究によれば、足を切断した患者91名の術後平均生存期間は399日、累積生存率は1年で約54%、3年で約38%、5年で約23%でした。この91名のうち67%は糖尿病患者で、糖尿病患者の累積生存率は1年で約60%、3年で約41%、5年で約24%、さらに透析患者の場合の累積生存率は1年で約56%、3年で約35%、5年で約16%でした。また、切断部位でいうと下腿(膝から下)よりも大腿(足の付け根から膝まで)を切断した患者の方が予後が悪い傾向にありました。

糖尿病だとなぜ足切断のリスクが上がるの?

糖尿病になると、合併症で血流が悪化するために足が壊疽し、切断のリスクが上がります。そもそも糖尿病患者は高血糖によって免疫力が低下しているため、細菌感染が起こりやすく、傷が治りにくい状態にあります。これに糖尿病の合併症である「神経障害」(高血糖により細小血管の血流が悪化し、神経が死滅する状態)が加わると、手足の感覚が鈍化するために傷ができても気付きにくくなります。つまり、足に傷ができるとそのまま潰瘍化し、壊疽を引き起こすようになるのです。

さらに、糖尿病患者は高血糖状態によって血流が悪化し、閉塞性動脈硬化を起こしやすい状態です。これにより手足などの末端部分に血液や酸素、栄養が届かなくなることも、壊疽の原因の一つと言えます。そしてこの壊疽が重症化すると、切断を余儀なくされてしまうのです。

糖尿病で足を切断する人の割合は?

国内の研究によれば、糖尿病患者約5000人のうち、足潰瘍などの足病変を起こす患者の割合は0.3%、切断した患者の割合は0.05%とのことです。これは海外の報告と比べ、1/10程度と低い割合ということがわかっています。

おわりに:足切断後の予後は悪い。日々の血糖コントロールで神経障害の予防を

糖尿病による足切断は、高血糖状態が続いたことによる神経障害や、閉塞性動脈硬化による壊疽が主な原因です。実際に切断まで至る事例は少ないものの、切断した場合の予後は悪いので、普段から血糖コントロールを徹底して予防に努めましょう。

日本医師会の情報をもとに編集して作成】

関連記事

この記事に含まれるキーワード

糖尿病(271) 足(26) 割合(4) 理由(11) なぜ(12) 神経障害(8) 壊疽(12) 予後(3) 切断(3) 閉塞性動脈硬化(1)