不妊検査の内容は女性と男性で違う? 費用はどのくらいかかる?

2018/5/25 記事改定日: 2018/7/24
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

不妊検査を受けようと思ったものの、どんな検査を受けるのか不安で一歩踏み出せない、といったことはありませんか。また、検査にはどのくらい費用がかかるのだろう・・・と不安に思ってためらっている方もいるかもしれません。この記事では、不妊検査でどんなことをするのかや、費用がどのくらいかかるかを解説します。

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不妊検査の内容 ― 女性の場合 ―

女性の不妊検査では、問診(月経の状態や過去の妊娠・出産歴などを尋ねる)や内診(腟や子宮、卵巣の状態や痛みの有無を確認する)をした後、検査を行います。

検査には、一般検査と精密検査があります。

一般検査

<超音波検査>

腟内に器具を挿入して、子宮や卵巣の状態をモニターに映して確認します。

<ホルモン検査>

血液中のホルモン値を測定して、排卵障害や黄体機能不全の有無を確認します。

<子宮卵管造影検査>

腟から子宮口にカテーテルを入れ、子宮内に造影剤を注入しながらレントゲン(X線)撮影をする。子宮の奇形や卵管の詰まりがないかを確認します。

<卵管通気検査・通水検査>

子宮にカテーテルを入れて炭酸ガスや生理食塩水を注入し、卵管の通り具合を確認します。

<フーナーテスト>

性行為後の子宮頸管粘液を採取して、顕微鏡で精子が頸管内に入っているか、質のよい精子がどれくらい含まれているかを確認します。

精密検査

一部を下記に示します。その他にも数多くの検査がああり、病院により様々なものが行われています。

<子宮鏡検査>

子宮内の異常が疑われる場合、内視鏡で子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫などがないかを確認します。

<子宮内膜組織検査>

排卵後に子宮内膜を採取し、着床に適している状態かどうかを確認します。

<抗精子抗体検査>

基本検査で行ったフーナーテストの結果、子宮頸管粘液の中に精子が見つからなかった場合、女性の血液中に抗精子抗体がないかどうかを確認します。

不妊検査の内容 ― 男性の場合 ―

男性の不妊検査では、精液の検査を行います。検査では、精子の数だけではなく、精液の濃度や量、精子の運動率と運動の質、精子の形なども調べます。

精液検査の内容

<精子の数、濃度>

精液の中にどれくらい精子が含まれているか、目視と検査機器で確認します。

<精液の量>

一度の射精でどのくらいの精液が出ているかを調べます。この検査で、精液が多すぎたり少なすぎたりしていないかを確認します。

<精子の運動率>

ただ動いているだけではなく全体に対して、活発に動いている前進運動精子の割合を調べます。

<精子の形>

一般的には正常の精子と奇形の精子の両方が含まれています。そのために正常の精子の割合を調べます。

不妊検査の費用はどのくらいかかるの?

不妊検査の費用は、自己負担になる場合がほとんどです。

自己負担の場合、病院によって金額が異なるため、どのくらいかかるかは一概に言えないのですが、初診時に問診や超音波検査といった基本検査を受けた場合、7,000円~1万円程度かかると言われています。

また、2回目以降の検査では、検査内容にもよりますが、1つの検査につき数千円から1万円ぐらいかかると考えておくとよいと思います。ただ、中には数十万円程度の費用がかかる精密検査もあります。

ただし、不妊検査の中には保険適用を受けられるものがあります。このため、検査を受ける前に保険適用の有無とともに、自己負担の場合はどのくらい費用がかかるかを確認するようにしましょう。

不妊検査はいつから行うと良い?

不妊検査を受けるのは、早ければ早いほど効果があると言われています。というのも、個人差はありますが、年齢が高くなるほど妊娠する確率が低くなるためです。もし、なかなか妊娠しなくて悩んでいるようでしたら、早めに不妊検査を受けてみることをおすすめします。

不妊治療の内容

女性の不妊治療

ホルモン療法

不妊治療の第一段階ともいえる治療ですが、排卵の周期が乱れている場合などには卵子の発育と排卵を促すホルモン剤が使用されることがあります。多くは飲み薬によるものですが、より高い効果を得るために注射を行う場合もあります。

卵管造影

クラミジア感染症などによって卵管に癒着が生じると、卵子の通過障害を引き起こします。その結果、不妊症を引き起こすことがあります。このため、卵管の癒着を調べるために卵管に造影剤を流し込んで通過性を調べる検査が行われることがあります。
卵管造影は検査目的に行われるものですが、造影剤によって卵管の通りを改善する効果があるため、検査後に妊娠率が上昇することが分かっています。

男性の不妊治療

ホルモン療法

男性の場合、精巣の機能を司るホルモン分泌を調節する脳の部位に異常が生じている場合、精巣で正常に精子が作られないことがあります。その結果、無精子症や乏精子症に陥ることも少なくありません。
治療には、FSHなどの性腺刺激ホルモンを注射して補充する必要があります。

精巣静脈瘤の手術

精巣静脈瘤は精子の正常な生成を妨げる原因となります。そのため、精巣静脈瘤の原因となっている静脈内の血液逆流を防ぐために静脈を結紮(縛る)手術が行われることがあります。手術は腹腔鏡を使用するため大きな傷跡が残らず、体に負担が少ない治療です。

精巣精子採取

精液中に精子がない場合には、精巣組織を採取したり、精巣を切り開いてそれらの中から精子摘出を試みる治療が行われます。

精路再建

精子の通り道である精路に閉塞がある場合には、その閉塞を取り除く手術が行われます。閉塞部位によって術式が異なりますが、術後は自然妊娠が期待できる治療です。

夫婦・パートナーともに行う不妊治療

タイミング療法

定期的に超音波検査などを行って排卵のタイミングを推測し、受精の可能性が高い日に性交を図る治療法です。
不妊治療を開始したカップルはまずタイミング療法からスタートするのが一般的です。

人工授精

精子の運動が悪い場合などに採取した精液を子宮内に直接注入して妊娠率を上げる治療法です。しかし、極端に精子の状態が悪かったり、高度に卵管が癒着しているような場合には妊娠に至る可能性は低いと考えられています。

体外受精

採取した卵子と精子を人工的に受精させ、受精卵の培養を行って成熟したものを子宮内に移植する治療です。妊娠率は人工授精よりも高いですが、受精卵を子宮内に移植したからといって無事に着床するとは限らず、繰り返しの治療が必要になることも少なくありません。
精子の数が少ない場合や運動率が極端に悪い場合、排卵障害や卵管閉塞などがある場合に行われます。また、精子採取の手術を行ったケースでは必ず体外受精が行われます。

おわりに:不妊のことで思い悩んでいるなら、まずは検査から始めてみよう

不妊検査では、女性は子宮や卵巣、子宮の粘液などを、男性は精液を調べます。検査に行く前に、費用や検査内容について病院に確認しておくと、安心して検査を受けられると思います。妊活をしてもなかなか妊娠につながらない場合は、一度夫婦で検査を受けてみることをおすすめします。

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