記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ちょっとした不調やケガのときには、すぐに病院に行こうとは考えないのではないでしょうか。この記事では、常備薬として用意しておいた方がいい薬や道具をご紹介します。
いざというときに必ず役にたつものなので、きちんとチェックしておきましょう。
常備薬として自宅に用意しておくとよいものとして、ここでは痛みやかゆみ、下痢といった症状の改善に役立つものをご紹介します。
アスピリンやイブプロフェンなどの鎮痛剤は、頭痛や月経痛といった軽い痛みを和らげるのに効果的です。ただし、アスピリンは16歳以下の子供は服用させないでください。また、このような薬は痛みや高熱を軽減するため、風邪の症状を和らげる効果や、関節炎や捻挫に伴う炎症を軽減するのにも役立ちます。
鎮痛薬や総合感冒薬の市販薬は様々な種類のものが販売されていますが、代表的なものは鎮痛薬ではロキソニンS®やイブ®、タイノレール®など、総合感冒薬ではパブロン®、コルゲンコーワ®、エスタックイブ®などが挙げられます。
鎮痛薬は薬によって含まれる成分が異なりますが、ロキソニン®は一般的な鎮痛薬として医療機関で処方されるものと同一の成分です。頭痛や生理痛、歯の痛みなど様々な痛みに対して万能です。しかし、副作用も強いため、自己判断で漫然と飲み続けるのはお勧めできません。
また、総合漢方薬は痛み止めの成分の他にも鼻水や咳、発熱などに効果のある成分が含まれているため、風邪をひいた時の強い味方です。
アレルギーや虫刺され、花粉症といった症状を和らげるのに役立ちます。抗ヒスタミン剤は、皮膚に塗るクリーム(局所抗ヒスタミン剤)、もしくは錠剤(経口抗ヒスタミン剤)のタイプがあります。クリームタイプのものは虫刺されやかぶれなどのかゆみに、錠剤は花粉症の症状を和らげるのに役立ちます。
抗ヒスタミン剤の中には、眠気を伴うものがあります。眠気を引き起こさない抗ヒスタミン剤もあるので、仕事中に服用したい場合などがあれば、薬剤師に相談してみてください。
抗ヒスタミン剤には飲み薬と塗り薬がありますが、どちらも市販薬があります。
飲み薬としては、アレグラ®やアレジオン®、クラリチン®、コンタック®、ストナニリ®、ドリエル®などが挙げられます。これらはいずれも抗ヒスタミン成分を含みますが、一般的なアレルギー薬として販売されているものもあれば、鼻炎薬や眠気が起こりやすいと言う副作用を利用した睡眠導入剤として販売されているものもあります。
抗ヒスタミン成分は様々な薬に含まれている可能性がありますが、アレルギーや花粉症などに使用する場合にはそれに合った種類の市販薬を利用するようにしましょう。
一方、塗り薬としてはレスタミン®コーワ軟膏などが挙げられます。皮膚のかゆみを早く鎮めたいときに常備しておくと便利でしょう。
発熱や下痢、嘔吐は、水分だけでなく体に必要なミネラルを奪うため、放置しておくと脱水症状につながります。
脱水症状のため普段の食生活が難しい場合、経口補水液を飲んで体のミネラルや水分バランスを回復させると、不快感や疲れを和らげることができます。
ただし経口補水液は、ウイルスや細菌などの病気の原因そのものを退治するわけではありません。
下痢止め薬は、下痢に伴う不快な症状を改善することには役立ちます。下痢は突然現れることが多いため、万が一に備えてご自宅に下痢止め薬を用意しておくと安心かもしれません。
ただし、根本的な原因を解消する薬ではないことは覚えておきましょう。また、食中毒やウイルス性感染症で下痢が起こっているときに下痢止め薬を使うと、原因菌やウイルスを排出できなくなってしまい症状が悪化してしまうことがあります。
数日間下痢が続く場合や、衰弱するほど下痢がひどいときには、必ず医師の診察を受けてください。
胃の痛みや胸焼けがある場合、胃酸を抑える効果がある薬を使うと、胃酸を中和して症状を和らげることができます。胃酸を抑える薬として、錠剤や顆粒状のものや、液体のものなどがあります。
市販の胃薬には多くの種類がありますが、症状によって使い分けるとよいでしょう。
胃酸分泌が過剰になって胃痛や胸焼け、胃もたれなどの症状がある人は胃酸を抑える成分が含まれたガスター®10やアシノンZ®などがおすすめです。また、胃酸を中和するタイプのパンシロン®やサクロン®などもおススメですが、胃酸を抑えるタイプの薬よりも効果は緩やかです。
さらに、胃の粘膜にダメージが起きてしまっているような場合には胃の粘膜を保護するセレベール®やセンロック®などがよいでしょう。その他、消化が悪い場合にはハイウルソ®もおすすめです。
胃腸薬には様々な成分があり、症状によって効果があるものが異なるため、自身の症状やその原因が分かっている場合には、このような薬の使い分けが必要ですが、「何となく胃の調子が悪い」など漠然とした不調がある場合には太田胃散®やキャベジン®コーワなどのような複数の成分が含まれた総合胃腸薬がおすすめです。
ここでは、常備薬と一緒に保管しておくといざというときに役立つものをご紹介します。
紫外線は季節を問わず降り注ぐものです。家族全員が使えるような全身用の日焼け止めを置いておくと、日焼け対策になるでしょう。
また、日焼け止めといっしょに帽子やサングラスを着けたり、最も日差しが強い午前10時から午後2時の間は外出を控えるといったことも心がけることも日焼け対策になります。
ケガをしたときに傷口から感染症にならないようにするために、応急処置の道具を用意しておきましょう。
指に巻くタイプやひざに貼るタイプのものなど、水仕事や入浴中もはがれない防水タイプのものなど、種類はさまざまあります。用途やライフスタイルにあわせて使い分けましょう。
手首の捻挫したときなどの応急処置に使えます。また、大きな切り傷を圧迫して止血することもできます。
包帯を固定するために、医療用テープとはさみも一緒に入れておきましょう。
熱っぽいときや風邪気味など体調の悪いときは、病院に行く前に体温計で体温を測っておきましょう。
とげや破片が残っていると感染するリスクがあります。ピンセットは、とげや破片を取り除くために使いましょう。
包帯を巻く前や絆創膏を使うまえに、感染予防のために使いましょう。また、虫刺されや化膿、にきびなどの症状を和らげることにも役立ちます。なお、アルコールを含んだ消毒薬でかぶれやかゆみなどの症状が出たことがある場合は、アルコール成分を含まない消毒薬を選んでください。
目の中のほこりや汚れを洗い流すのに役立ちます。
常備薬を置く際は、以下の点に気をつけてください。
いかがでしたか? 「常備薬」と聞くと、風邪薬や胃薬などを思い浮かべますが、絆創膏や消毒薬なども用意しておくといざというときに便利です。使ったら元の場所に戻すことに気をつければ、何があっても万全です。さっそくご自宅にないものをチェックして、薬局やスーパーに行きましょう。