寝起きの腰痛は椎間板ヘルニアかも?仰向けで痛みが強くなるのはなぜ?

2018/5/7 記事改定日: 2018/10/2
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寝転がった姿勢は腰に体重がかからないため、負担が少ないと思われがちですが、寝ているときに腰が痛むという人は少なくありません。そして、腰椎椎間板ヘルニアは寝ているときに悪化することがあることをご存知でしょうか。
ここでは、寝起きの腰痛と腰椎椎間板ヘルニアとの関係性について解説していきます。寝起きの腰痛の予防法についても紹介していくので、参考にしてください。

寝起きに、椎間板ヘルニアの腰痛がひどくなるのはなぜ?

腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎と腰椎の間でクッションのような役目をする椎間板の一部が飛び出して、脊髄や脊髄から分岐する神経を刺激することで生じる腰痛です。
一般的には、強い腰痛と下肢のしびれなどが生じ、ひどい場合では歩行が困難になったり排尿障害などを引き起こすこともあります。

ヘルニアの原因となる椎間板は、多くの水分を含んでいます。この水分の含まれる量は一定ではなく、一日の中でも変動するものです。特に就寝中は重力に従って体内の水分が腰などに集まりやすくなるため、椎間板の水分量も増えて大きくなる傾向があります。その結果、椎間板が神経をより大きく刺激することになり、寝起きに症状がひどくなりやすくなるのです。

腰椎椎間板ヘルニアの症状の特徴は?どんなときに病院へ行くべき?

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の骨と骨の間の軟骨(椎間板)が後ろに飛び出すことにより、軟骨の後ろを通っている神経に接触してしまっている状態で、腰やお尻に電気が走ったような痛みやしびれが生じます。

ほかにも、以下のような特徴がありますが、とくに朝起きがけのときに症状が悪化しているケースも多いといわれているので、毎朝起きたときに腰痛がひどくなっている、しびれが出るという人は早めに整形外科を受診しましょう。

症状

せきやくしゃみをすると腰に激痛が走る
せきやくしゃみをすると、お腹に強い圧力がかかり、椎間板が神経に触れることで触り激痛が走ります。特に中腰でせきやくしゃみをした場合、腰からお尻、または足にかけて電気が走るような痛みが生じます。せきやくしゃみをするときは、腰を伸ばした状態で行うと痛みを軽減できる場合があります。
朝起きたとき、いつも腰が痛い
上記でも説明したように、椎間板は夜寝ている間に水分を吸収してふくらんで大きくなります。椎間板がふくらんで大きくなっているということは、飛び出している部分も大きくなり、神経に触れやすい状態になっているということです。
そのため、腰椎椎間板ヘルニアは、朝一番に腰痛やしびれなどの症状が強く現れやすくなる傾向があります。
長時間同じ姿勢でいると、足のしびれや腰痛がひどくなる
長時間同じ姿勢でいると、偏った負荷が椎間板にかかり続けることになるため、椎間板ヘルニアが悪化しやすくなります。とくにデスクワークや長距離のドライバーなど、座りっぱなしの人は悪化しやすいといわれてるので注意が必要です。

ただし、上記で説明した特徴が必ず現れるわけではありません。椎間板が変形する部位によっては、腰を反らせたときに痛みやしびれが強くなることがありますし、朝起きたときや、せきやくしゃみをしたときに症状がひどくならないこともあります。
長く続く腰痛や、しびれやひどい痛みを伴う腰痛があるときは、早めに整形外科を受診しましょう。

腰痛は内臓の病気が原因のことも!

腰痛は内臓や血管の病気が原因のことも少なくありません。
代表的なものでは、尿管結石や胆石、膵炎、腹部大動脈解離などが挙げられます。どれも放置すると死に至ることもある重篤な病気です。
突然襲う激烈な腰痛や、冷や汗、吐き気などを伴う腰痛、意識が遠のくような腰痛が見られた場合には放置せずに必ず病院を受診するようにしましょう。

仰向けで寝たときに腰痛がひどくなる原因と対処法とは?

腰痛のときに仰向けで寝ると痛みがひどくなるのは、下記のような原因が考えられます。

マットレスがやわらかすぎる

やわらかいマットレスを使っていると、マットレスが重い腰を支えきれずに沈みこんでしまい、背骨が不自然に曲がった状態で寝ることになるため、腰が痛くなってしまうことがあります。昼間は痛くないのに、寝起きに腰が痛くなるというような場合は、一度マットレスをチェックし、沈みこみがひどいようなら、マットレスの買い替えを検討しましょう。

背中や腰の筋肉がかたまっている

日頃あまり体を動かさない人や、長時間デスクワークをしている人は、筋肉が緊張してかたまってしまい、リラックスできずに睡眠の質が下がってしまうことがあります。この状態だと体が休まらないため、朝起きると腰が痛い、体がだるいといった症状が起こってしまうケースがあります。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎脊柱管狭窄症などが原因でない腰痛なら、寝る前にストレッチしてみてもいいでしょう。また、痛みが強くならない程度でウォーキングなどの適度な運動を習慣化し、腰回りの筋肉や軟骨などを刺激してあげることも大切です。

反り腰

反り腰は特に女性に多いといわれています。反り腰の人は腰椎と腰椎の間が狭くなりやすいので腰痛を引き起こしやすいです。とくに膝を伸ばして仰向けで寝た状態でいると、腸腰筋や大腿四頭筋に引っ張られてさらに反り腰ひどくなってしまうことが多く、このことで朝起きたときに腰痛がひどくなることがあります。
反り腰気味の人で普段から腰痛がある、朝起きたときに腰痛がひどくなるという人は、横向きに寝るようにするか、膝の下に枕やクッションを入れて腸腰筋や大腿四頭筋が緊張しないようにしましょう。

おわりに:寝具を見直し、寝方を工夫して寝起きの腰痛を予防しよう!

腰痛は非常につらく、痛みのせいでなかなか熟睡できないことも少なくありません。寝具の見直しや寝姿勢を工夫して、良い睡眠が取れるようにしましょう。
ただし、たかが腰痛と軽く考えるのは危険です。腰痛には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、悪化すると日常生活に支障をきたす病気が隠れていることがあります。また、内臓の病気の関連通として腰に痛みが出ることあるのです。
腰痛があるときは、なるべく早く病院で診てもらうようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

腰痛(107) マットレス(7) 腰椎椎間板ヘルニア(8) 脊柱管狭窄症(8)