腰痛の注射 ― 神経ブロック注射は何回受ければいいの?

2018/5/11 記事改定日: 2018/12/5
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ブロック注射とは、腰痛をもたらす原因となっている神経や、その周辺部位に局所麻酔薬を注射し、痛みを抑える治療法です。
ここでは、ブロック注射を受けてみたいけど、実際どんな治療法なのかよくわからないという人のために、ブロック注射の回数や期間、腰痛への効果などについて解説していきます。

腰痛のブロック注射の期間や回数は?

治癒までに必要なブロック注射の回数や期間は、症状や状態によって異なります。腰痛の原因や病態によって、一人ひとり適した方法でブロック注射が行われていきます。基本的に、ブロック注射に医学的な限界や制限はありませんが、医療費の補助は、保険連合会が週に1回の支払いのみと定めています。また、医師の技量や判断などで回数が制限されることもあります。

腰痛のブロック注射の効果は?

局所麻酔薬を注入することで、痛む部位の筋肉をほぐし、血流を改善させる効果があるとされています。その結果、広がった血管が酸素やたんぱく質などの栄養を痛みのある場所に効率よく運ぶことができるようになり、痛んだ神経や筋肉を効果的に回復させることが可能と考えられています。

ブロック治療とは単なる対症療法ではなく、人間の持つ自然治癒力をサポートするための治療ともいえるでしょう。また、他の薬物療法などに比べて、痛みの部位に限局して治療を進めていくため、全身への影響が少ないとされています。

ブロック注射治療は、手術治療と薬治療の中間的な位置づけで、薬を飲み続けても痛みが改善しない場合などに、治療として効果を発揮します。痛みは、安静や薬物療法から、コルセットなどの装具療法、そしてブロック治療や手術療法まで、多角的に治療することで、より高い治療効果を得られます。

ブロック注射はどんなときに使われる?

ブロック注射は、神経に直接局所麻酔液を注入して痛みを和らげるものです。このため、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症など神経が圧迫されることによって生じる腰痛に効果があります。
また、いわゆる「ぎっくり腰」と呼ばれる重症な急性腰痛症患者に対しても、腰の痛覚を低下させる目的で行われることがあります。

ブロック注射は、歩行や体動が困難なほど強い腰痛がある場合や足の痺れ・電撃痛などの神経障害による症状を伴う場合に行われることが検討されます。
ブロック注射は神経に注射をするため、通常の注射よりも強い痛みがありますが、麻酔液が直接神経に作用するので痛みを和らげる高い効果が期待できます。

腰痛のブロック注射の種類って?

仙骨裂孔ブロック

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、ギックリ腰などによる腰痛に使用されます。

「注射方法」

ベッドにうつぶせになり、尾骨近くの仙骨裂孔から針を刺入します。仙骨から下部腰椎の硬膜外に麻酔薬やステロイド剤を注入し、30分ほど安静にしながら、効果を確認します。

硬膜外ブロック

対象になる患者さんは仙骨裂孔ブロックと同じで、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、ギックリ腰などによる腰痛に使用されます。

「注射方法」

ベッドに横になり、皮膚に局所麻酔をしてから行います。脊髄の外側、硬膜外腔に薬液を注入し、その後血圧を測りながら、1時間ほど安静にして様子をみます。

神経根ブロック

仙骨裂孔ブロックと硬膜外ブロックで改善が見られない神経痛に使用されます。

「注射方法」

うつぶせになって皮膚に局所麻酔を行い、X線(レントゲン)で透視しながら針を進めて、神経根に直接薬液を注入します。30分ほど安静にして様子をみます。

腰痛のブロック注射の副作用は?

一般的なリスクは注射の針で血管や神経、靱帯、結合組織、筋線維などが損傷させてしまうことが挙げられます。また、それに伴う腫れ・出血・感染などもリスクも伴います。しかし、何か他に基礎疾患を持っていない限り、これらが「後遺症を残すほどの重症」になることはあまりありません。

それよりも注意すべきリスクは

薬液が深く脊髄内に入り込んで、麻酔が効き目が増大し血圧が低下
→ 循環不全
→ 場合によっては死に至る

ことです。

ブロックする場所が頭に近いほどリスクは高くなるとされ、頸部の硬膜外ブロックでミスをした場合、意識不明や呼吸困難に陥る場合があります。高血圧や糖尿病・心臓病などの基礎疾患があるとそのリスクは格段に高くなり、年齢が高いほど重篤になりやすいので注意が必要です。

ブロック注射が効かないときは、どう対処するの?

腰痛に対するブロック注射は高い効果が期待できる場合が多いですが、効果には個人差があり、あまり効果が見られないことも多々あります。

ブロック注射が効かないときは、さらなる安静の維持や鎮痛剤・湿布などによる対処療法を続けることもありますが、重症な腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などでは神経の圧迫を解除するための手術が検討されることも少なくありません。治療方法は、腰痛の原因や重症度によって異なりますので、担当医と話し合って最善の方法を選択するようにしましょう。

おわりに:ブロック注射は痛み止めで緩和しない腰痛でも効果がある場合も。

ブロック注射は、痛みで緊張した神経の興奮を抑えたり、血流の改善や、自然治癒力を高める効果があります。
また、薬物療法に比べて全身への影響が少ないので、体への負担が少なくすみます。セルフケアで良くならないような腰痛も、ブロック注射治療で緩和できる場合があるので、腰痛が続くときは医師に相談してみることをおすすめします。

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