日本の赤ちゃんが1歳前に接種する主なワクチンは6~7種類あり、接種回数は10回以上にのぼります。そんなとき、同時接種は必要な免疫を早くつけられるだけでなく、保護者の通院回数を減らすことができる点がメリットとされていますが、本当に安全なものなのでしょうか?予防接種の種類や同時接種について解説します。
予防接種の種類には定期接種と任意接種がある
予防接種には、法律に基づいて市区町村が主体となって実施する「定期接種」と、希望者が各自で受ける「任意接種」があり、定期接種は公費ですが(一部で自己負担あり)、任意接種は自己負担となります。
市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容の詳細については、市区町村などに確認しましょう。また、定期の予防接種による健康被害が発生した場合は、救済給付を行う制度があるので、お住まいの市区町村に相談しましょう。
予防接種の種類:定期接種
集団予防を目的とする感染症(A類疾病) 〔ワクチン名/予防できる感染症〕
- Hib(ヒブ)ワクチン/Hib(ヒブ)感染症(細菌性髄膜炎、喉頭蓋炎等)
- 小児用肺炎球菌ワクチン/小児の肺炎球菌感染症
(細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎等)
- B型肝炎ワクチン/B型肝炎
- 4種混合ワクチン/ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ
- BCG/結核
- MR(麻しん風しん混合)ワクチン/麻しん、風しん
- 水痘(みずぼうそう)ワクチン/水痘(みずぼうそう)
- 日本脳炎ワクチン/日本脳炎
- HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン/HPV感染症(子宮頸がん)
個人予防を目的とする感染症(B類疾病)
- インフルエンザワクチン(高齢者が対象※1) /インフルエンザ
- 成人用肺炎球菌ワクチン(高齢者が対象※2) /成人の肺炎球菌感染症
※1 以下の方々が定期接種の対象です。
- 65歳以上
- 60~64歳で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活が極度に制限されている方。
- 60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障害があり、日常生活に大きな支障が出ている方。
※2 以下の方々が定期接種の対象です。
- 平成30年度に、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える方(記事執筆段階での情報です)。
- 60〜65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり、自己の日常生活活動が極度に制限される方。または、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方。
定期接種の種類:任意接種〔ワクチン名/予防できる感染症〕
- ロタウイルスワクチン/感染性胃腸炎(ロタウイルス)
- おたふくかぜワクチン/おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
- インフルエンザワクチン/インフルエンザ
- A型肝炎ワクチン/A型肝炎
- 髄膜炎菌ワクチン/髄膜炎菌感染症
数種類の予防接種を同時に受けても大丈夫?
最近乳幼児で接種するワクチンが増えてきていますが、何のワクチンをどんなスケジュールで接種すればいいのでしょうか。
例えば、0歳児の赤ちゃんは、定期接種だけでも10本、任意接種と合わせると16本接種することになります。これらをできるだけ最適な時期に接種するためには、複数のワクチンを同時に接種することもあるでしょう。基本的に、同時接種には以下のメリットがあるとされています。
- ワクチンを早期に打てる
- 医療機関に受診する回数が減る
- すすめられている標準的な接種間隔で打てる
- 副反応が起こる回数が少ない
その他、予防接種に関してわからない事や心配な事がある時は、医療機関に相談しましょう。
おわりに:特別な事情がない限りは、同時接種が推奨される!
同時接種には、予防接種のスケジュールが簡単になる、赤ちゃんが早くワクチンを受けられるなどのメリットが多く、デメリットは基本的にはありません。このため、世界中の小児科医が同時接種を推奨しています。また万一、ワクチンが原因で重大な副反応が起こってしまった場合でも、原則として定期接種の救済制度が適用されますので、安心して予防接種を受けましょう。
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